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WILDERNESS AND RISK/ジョン・クラカワー

荒ぶる自然と人間をめぐる10のエピソード

トップサーファーが命を落としたのは、世界でも有数の大波スポットとして知られてまだ日が浅かったカリフォルニア「マーベリック」。ビッグウェーブ・サーフィンの世界には、真剣な目的意識を超えた高潔があるという。

人類がエベレスト登頂を目指し約100年。欧米ガイドやツアー客にとって登頂は格段に安全になっている。機材の進化などがそれを助けている一方、「シェルパだけが、大きなリスクにされされつづけている」事実がある。

名クライマーが主宰するロッククライミングの講習中に、受講者が転落死。責任の所在を確かめるべく事故は分析される。現場での指導を取った人間、講習の運営会社。訴追先は登山用品メーカーにも向けられた。

アメリカでポピュラーということはないだろうが、問題のある少年少女、我が子を、スパルタ式の訓練を組み合わせた「荒野療法」へ預ける親がいる。その手の講習プログラムを運営する会社も複数存在。満足な食べ物を与えらない砂漠の行軍に、死亡事故も起きている。

自然と対峙する人間を巡るドキュメンタリー

自然と対峙する人間を巡るドキュメンタリー。
読後、著者ジョン・クラカワーの、徹底したニュートラルな目線に気が付いた。
善に立って悪を指摘するようなことがない。自然相手に勝算があるわけがないとわかっているかのようだ。


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