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環境と経験が人を強くする 豪州放浪記④(食事編)

前回のオーストラリア住居編の記事が思いの他、好評価でした。 

当時を振り返りながらの記事起こしは楽しさ半分、忘れてしまった記憶の多さも再認識して切なさ半分といった感覚です。

今回は食事編です。

前回の記事↓


食文化の違いを痛感した ホームステイ生活

オーストラリアで生活する中で大きく認識できた項目の一つに、日本(東洋)と欧米(西洋)との間には、食事でのスタンスに対して大きな隔たりがあるということでした。

特にホームステイから始まった、現地生活の食事は戸惑いの連続だったのです。

当初、朝夕食時は、ホストファミリーから食事を提供してもらうのが、向こうでの日常スタイルでした。

朝食は食パンという日本となんら変わらない光景でしたが(食パンとコーヒーのみですが)、夕食では驚愕の事実が判明します。

炭水化物系(ご飯や食パンなど)がテーブルに並ばないのです(今、振り返ると当たり前ですが)!

事の発端は、現地に到着して迎えた最初の夜の出来事。
夕食の肉料理や野菜料理は並んでいますが、待てど暮らせど、パンが出てきません。

自分の困惑をよそに、ホストファミリーたちはお祈りをして、静かに食べ始めています。ここは自分も黙ってそれに従うしか仕方ありません。

その日だけの出来事かと思っていたのですが、次の日もまた次の日もおかずのみ。

オーストラリアの家庭では、食事メニューに炭水化物が必須ではないことを、その時にようやく体で理解できたのでした。

とはいえ、炭水化物の無い食事は、想像以上に満腹感に程遠く、口寂しさを感じてしまうもの。

しかも日本のようにちょっと歩いて、コンビニや飲食店で食い足ししようにも、辺りは街から遠い閑静な住宅街。自転車も車もないのでどうしようもありません。

その為、夜はよくお腹を空かしながらベットに入っていました。

幸いにも私は、睡眠欲>>>食欲タイプだったので、特に問題はなかったのですが、ホームステイ先の家にいる時は、常にガッツリご飯とお菓子をお腹いっぱい食べるイメージを頭の中で膨らませていました。笑

この時は、人の家でお世話になっている身分なので、ご飯の量を増やして欲しいとはなかなか言いづらいかったのです。

更に外でたくさんお菓子を買い込んで家に持ち込むのも、何だか失礼な気がしていました。

とにかく完全アウェイでの食事生活は気を使うことが多くて、大変だった印象があります。

「日本の非常識 海外の常識」という言葉がありますが、食文化の違いは実際に体感しないと到底理解できない世界だと思いました(味覚を使う必要があるから)。

倹約質素な食事で 1年を乗り切る

オーストラリアにいた期間は1年でしたが、滞在時の中盤あたりまでは、先の見えない生活によって、頭の中では常にお金の不安が付きまとっていました。

その中でも、食生活における倹約質素は最重要命題でした。

幸い、学生時代に飲食店でのアルバイト経験があったことで、調理が苦もなくこなせたことは大きかったです。なんだかんだいっても、自炊が一番食事コストを抑えやすいのです。

向こうで出会った日本人の中には、それまでの料理経験がほぼ皆無の人もいましたが、普通にそれぞれで自炊をしていました。

タイトルテーマではありませんが、人は極限環境下に置かれたとしても本当の覚悟さえがあれば、とりあえず何とかなるのだと感じたのです。

ここでオーストラリア滞在時の食事ネタをいくつか挙げてみます。

🔶日本人だとやっぱりお米とお茶が欲しくなる

以前よりも消費量は減ったとはいえ、日本人の主食はやっぱりお米です。

ホームステイ生活期間、パンは食べていましたが、白米とはほぼ無縁でした。

しかし、その後のシェアハウス生活では食生活も一変。自炊暮らしとなったことで普通にお米も食べれるようになりました。

その時はようやく好きなものを存分に食べられるという開放感や素直な喜びを感じました。


あとはやっぱりお茶ですね。

オーストラリアではミネラルウォーターの品数は豊富ですが、お茶は売ってません(当たり前ですが)。

水ばかりを飲み続けていると、ヤッパリ飽きてくるのですよ。

かといってコーヒーや紅茶で代用する訳にはいきませんし、これには最初のうちは結構悩まされました。しかし水だけ生活も何となく慣れていき、いつの間にかお茶無しでも割り切れるようになりました。

ちなみに、時々お茶を持っている友人(現地で買うと高いので日本からの仕送り)に出会うのですが、相手が凄く羨ましかったです。笑

お茶とお米、どちらも無くなってみて初めて分かる、日本食の有り難さです。


🔶アジア人は倹約思考 欧州人は浪費思考

バックパッカーズ(旅行者用格安ホステル)ではキッチンが共用なので、必然的に色々な人たちの調理や食事風景を目にすることになります。

日本人とも一緒に料理することはありましたが、やはり皆、節約には貪欲でした。

基本スーパーの買い物は、スーパーの自社製品を主に使用したり、おつとめ商品を狙って買い物時間を調整したりと、日本の主婦のようなマインドで日々を過ごしていました。

韓国人とも交流することが多かったのですが、彼らも基本、日本人と同じような倹約家が多かったです。

一方で、欧州人の食事はというと、外食を当たり前にしたり、出来上がりのピザを買ってきては食べている光景をよく目にしました。

その為、日本人の間でも、「あんな食生活をしていて、お金は大丈夫なの?」的な会話をよくしていました。

勿論、欧州人みんなが浪費家では無いですし(ドイツ人はキッチリしていた)、アジア人みんなが倹約家ではありませんが、互いを比較すると欧州人の方が、基本、楽観的思考が強いのかなと思っています。

大陸周遊時に一緒に持ち歩いていた 調味料一式。意外と重いのです↓

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🔶オーストラリアはワインとビールが美味しい

オーストラリアはワイナリーが多く存在することでも有名ですが、その為比較的にワインが安く手に入りました。

質はピンからキリまで色々ありましたが、自分がよく好んでいたものは、4リットルパックで約1000円でした。(日本と比較しても十分お値打ち)

下手をしたら、ミネラルウォーターよりワインの方が安いと思います。(海外では普通に有りうる話)


あとは、地元名産ビールですね。

オーストラリアは、大きく7つの州に区分されているのですが、各州ごとに特産ビール、いわゆる地ビールが存在しています。

・メルボルン擁するビクトリア州の代表ビールは、VB(ブイビー)

・ブリスベンやゴールドコースト擁するクイーンズランド州の代表ビールは、XXXX(フォーエックス)

といった感じです。

日本では、ビール会社ごとで代表ビールが異なるという図式ですが、オーストラリアでは地域ごとでの棲み分けでした。なかなか面白い文化だなと思います。

*全くの主観ですが、タスマニア州の地ビールが自分の舌に凄く合っていました。その中でのお気に入りがcascade(カスケード)。品名も格好良くてお洒落な感じがしました。

食から始まる 生命への活力

前回の投稿では住について、今回の投稿では食について触れてみました。

自炊生活を続ける中、お金回りが良くない時(仕事がなく、収入が無い時期)は、1日2食生活や、パスタ生活(塩+ニンニク+パスタのみ)などで、空腹を凌いだりしていました。

海外貧乏生活をすると、「どうやって1日1日を生き伸びていくか?」という生命の根幹部分に、否が応でも触れることになります。

ちなみに、約700年前に、随筆『徒然草』を記した、兼好法師は作中でこんなことを述べています。

(原文)  思ふべし、人の身に、止むことを得ずしていとなむ所、第一に食ふ物、第二に着る物、第三に居(お)る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。饑(う)ゑず、寒からず、風雨にをかされずして、閑に過ぐすを楽(たのしび)とす。
(現代語訳)思うべきだ。人の身に、やむを得ずして営む所は、第一に食う物。第二に着る物、第三に住む所である。人間にとっての大事は、この三つに過ぎたものはない。飢えず、寒く無く、風雨におかさず、静かに過ごすのを楽しみとする。


日本の恵まれた環境で生活していると、なかなか衣食住について深く考える機会は少ないと思います。

衣食住とは、いわゆる死生観にも関わること。

このテーマに真剣に向き合うことで、多少なりとも自分自身が成長したのであれば、海外貧乏生活にも大きな意義があったのだと改めて感じています。


次回は、現地お仕事編です。

ここまでご愛読ありがとうございました。

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