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自己の加害性について

皆さんは自己の加害性について考えたことがありますか?

自分が他者に加害する、という可能性について想像すらしたこともない人が多いかもしれません。だからこそ我々は誰かが誰かに加害したというニュースに対し怒り大きな声で批判ができるのでしょう。

みんな自分は清廉潔白、無味無臭で綺麗な世界を生きてきたつもりなのです。その背景には加害というものを一線を超えたやたら過大なものと捉える誤解があるのかもしれません。

しかしどうでしょう。そもそも誰にも害を与えず生きている人など存在するのでしょうか。他者はあなたが想像するよりもずっと小さな行動に害された、と感じているかもしれません。

こんなことを言うと清廉潔白な誰かに、そんな訳ないだろうと叱られてしまいそうですね。でもだからこそ、あなたたちは誰かに嫌われると凹むのではないですか?こんなに無害な自分が他人に嫌われるなんていうとんでもない理不尽が起こってしまう、だから悲しい気持ちになって当たり前だ、と無意識にそう思っているのではないでしょうか。


しかし人は誰かにとっては常に害を与えて、嫌われて当たり前の生き物です。


想像して下さい。
例えば日中歩き回りクタクタで乗った新幹線。少しでも快適に過ごすために靴を脱ぐ。あなた自身は気づかないかもしれませんがその靴から発する匂いで横の人は気分を害したかもしれません。

犯罪じゃない?それはそうでしょう。
そんなの気にする方が悪い?それも一理あるでしょう。

しかし気分を害した横の人からしてみれば犯罪でなかろうと、気にしすぎであろうとそれが害になっていることは間違いないわけです。


混雑している改札。出ようと思ってSuicaを出そうと思ったがカバンの中から財布が見つけられない、ようやく見つけて引っ張り出しタッチをしたのに残高不足で改札が開かない。後ろの人からは舌打ちをされてなんてかわいそうな自分。

それは災難な話です。ご自身にとっても後ろの人にとっても。取引先との打ち合わせに遅れそう。電車を降りたら混む前にタクシー乗り場に走るしかない。改札ではSuicaが必要で、残高がないと出られないから電車に乗っている最中に確認して、万全の準備をして出口に向かったのに前の人が改札の目の前まで来てからゴソゴソし出した。早く出せよと思って見ていてようやく出したと思ったら今度は残高不足。こうしている間にタクシー乗り場には長い列ができてしまったに違いない。思わず舌打ちが出てしまった。

さぁどっちが加害者でしょう。

見方次第ではどちらも相手に害を与えているかもしれません。


夜道、他人の後ろを歩いていた。なんなら同じマンションの住人だったようで、エントランスに一緒に入り、エレベーターが閉まりそうだったから飛び込んだ。

あなたにとっては自然な行動が、相手からすると震え上がるほど怖かったかもしれません。相手が自意識過剰じゃないか?そういう見方もあるでしょう。

では例を変えてみましょう。

治安の悪い外国に旅行をし、歩いていたら屈強な男性がずっとついてくる。怖いと思いながらもなんとかホテルに逃げ込んだがエレベーター閉めようとしたら滑り込んできて、今、自分の後ろに立っている、自意識過剰の一言で済みそうでしょうか?

自身は意識をしていなくても相手の立場に立ってみると自分が無意識の加害者になっていることは非常に多くあります。

ここまで極端じゃなくても、人が人と関わって生きている以上、誰かに嫌な思いをさせたり傷つけたりすることは無意識下でも常に起こり得ます。年齢を聞くこと、恋愛について話すこと。国によっては、人によっては、大きなハラスメントとなり得る行為がまだまだ当たり前に行われ、それを指摘された人は心の底から驚くのです。こんなことがハラスメント?こんなことで加害と言われるのか、と。


自己の加害性に無頓着な人ほど、相手の態度に対して怒りを示しショックを受けます。自身が加害をしていることに気づいていないが故の、何もしていない自分が嫌われる謂れはないという清らかな怒りや悲しみです。多くのハラスメントが反省なく繰り返されるのはここに原因があるのでしょう。

我々は常に誰かにとって無意識の加害性を抱えています。そりゃあ全員に好かれることなんて出来るわけがありません。ただ、それを認識することで、少なくとも意識的な加害は減らそうと思えますし、無意識の加害にも素直に反省ができるようになるでしょう。


誰だって誰かにとってはいい人で誰かにとっては悪い人。

全員とは仲良くやれないことを受け入れられる。これは相手との関係を守る上でも自分の心を守る上でもとても大事な考え方です。

残念ながら我々は生きているだけで嫌でも誰かを傷つけます。それが故に、少なくとも意図的に誰かを傷つけることはやめようと思う人が増えたらいいなと思います。



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