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日銀がマイナス金利政策を解除

「日銀がマイナス金利政策を解除」のニュース。

今回の決定は、大規模緩和策によって激しく歪んだ日本の金融システムを正常化するための、長く険しい道のスタートラインに過ぎない。金利の上昇によって、むしろ国民生活への逆風は強くなる可能性が高く、ここからがむしろ本番といえるかもしれない。

経済ニュースには疎いのですが、「異次元の金融緩和」は故安倍晋三が進めた「アベノミクス」を代表する施策で、明石順平著「アベノミクスによろしく」を読んでいたので馴染みがある。

著者の明石さんは本業は労働事件に強い弁護士ですが、当時話題だったけど中身がよく分からなかった「アベノミクス」を分かりやすく解説してくれた。

日銀の金融緩和の中心的方法は、具体的に言うと、民間銀行が持っている国債を買い入れることだ。…日銀が国債を買えば買うほど民間銀行にお金が貯まっていく。…銀行がたくさん貸し出しをするようになれば、市中に出回るお金の量が増える。…皆が持つお金の量が増えれば、それに合わせて物の値段を上げても、みんな買ってくれるだろう。だからどんどん物の値段が上がっていく。

「アベノミクスによろしく」P16

マイナス金利というのは、日銀当座預金の一部にマイナスの金利をつけるというものだ。…いわば罰金を科して無理やり貸し出しを促すようなものだ。でも、マネーストックの推移を見る限り、効果はなかったと言ってよいだろう。貸したくても資金需要が低いからしょうがない。

「アベノミクスによろしく」P33

アベノミクスは、「市場にお金を流して物価を上昇させ、景気を良くする」というリフレ派の考え方に基づいていたが、需要がないため投資が増えず、円がだぶついて価値が下がると考えた投資家が円売りをして、賃金が上がらないまま円安による物価上昇が起きて消費が落ち込む結果となった。

本の最終章で、「異次元の金融緩和を止めたらどうなるのか?」について解説してくれている。

①日銀が金融緩和をやめる、つまり国債の買い入れをやめると、国債が暴落する可能性がある。
②国債が暴落すると、円と株も暴落する可能性がある。
③国債が暴落すると長期金利が上昇し、国の借金返済が余計に困難になる。
④上記①~③の事態を避けるため、このまま金融緩和を続けたとしても、どこかで円の信用が失われ、円が暴落する可能性がある。

「アベノミクスによろしく」P212

日本がマイナス金利を続けていると、米との金利差で急速に進行する円安が止められない。①を回避するために、日銀は「マイナス金利政策は解除するが、国債の買い入れは続ける」と言っている訳ですね。

ただ、これまでと同じ程度の国債の買い入れは継続し、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に国債の買い入れ額を増額したり指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペと呼ばれる措置を実施したりするとしています。

しかし、市場は円安に…。

「国債の買い入れは継続」と言っているので、投資家は引き続き円の価値は下がるとみているのでしょうね。

「アベノミクスによろしく」のメッセージ。

いつかの時点で円と株価の大暴落が起きて経済に大混乱が起きれば、さすがに国民も目を覚ますかもしれない。…もの凄いインフレが起きるとか、とっても痛い目にあうかもしれないけど、この国が消えてなくなるわけじゃない。諦めちゃいけないよ。もう痛い目にあわずに済む方法はないかもしれないけど、どん底に落とされたってそこから這い上がればいい。

「アベノミクスによろしく」P217

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