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77歳の母と行く(おそらく最後の)大旅行

かれこれ半年前、いきなり母が「ダブリンに行った時、ついでに北極圏も行きたい」とわけのわからないことを言ってきました。
「定期便で安いフェリーがあるはずよ!」と知ったような口で言うのでむかつきましたが、そこは100歩譲って私なりに探しました。

果たして77歳のばあちゃんが北極圏に行けるのか?
ってか、50歳の私も行けるものなのか?


調べれば調べるほど、行けるわけがありません(素人が自然をなめちゃーいけない)。しかもむちゃくちゃ高い。
そもそも飛行機の乗り継ぎすらできないくせに、口だけは達者で言いたい放題で、コノヤローって感じです。

とはいえ、私の外国人の友達はみんな家族をとても大切にしています。
いつもその姿を見ているので、私もそこをしっかり見習って、母が楽しめるものはなんなのかをひたすら調べまくりました。
そして最終的に行きついたのが豪華客船のクルーズ旅行
これなら高齢の母でも移動がラクチンです。
船に乗りながら北欧のフィヨルドが見えると思いました。
ということで、ドイツ→デンマーク→エストニア→フィンランド→スウェーデン→ドイツ→ノルウェー(4都市)→ドイツの2週間のコース。
かなり贅沢かな?とも思いましたが、母と一緒に旅行できるのもこれが最後かもしれないと思って奮発しました。
そして私の語学留学の最後、集大成の大旅行です。

母と過ごした2週間のクルーズ旅行

クルーズ旅行初日、私たちはドイツ北部のキール運河までいかなければいけません。
ダブリンの自宅から
①タクシーでダブリン空港へ
②飛行機でハンブルグ空港へ
③特急電車でハンブルク中央駅へ
④ローカル電車でキール中央駅へ
⑤ローカルバスでキール運河へ
⑥クルーズ船で出発!

という長い道のりでした。

こういうのが自分の力だけでできるようになっただけ、めちゃくちゃ成長したなと感じるのです。3年前の私だったら絶対に無理です。

まさにタイタニックの世界

タイタニックっぽい階段(船の中です)

そして無事にクルーズ船に乗り込みました。
船内はとても豪華でまさにタイタニックです。
でも私たちは窓のない一番安い部屋(笑)。だけど十分広くて超快適です。

この旅行は母と一緒なのでとにかく母のペースで行動しました。
ゆっくり観光、歩いたり、バスに乗ったり、すぐに休憩して、お茶しながらおしゃべり。
観光地のすべてを周ろうとはせず、1つか2つ程度。
それでもドイツ→デンマーク→エストニア→フィンランド→スウェーデンを終えた頃、母に疲れが!!!

そしてその後、母はひたすら眠りました。(死んでないか途中で何度も確認しました)
寝て、少し起きて、船の中を散歩して、また寝る。起きて甲板でぼけーと座って、また寝る。食欲も減ってきて、衰弱したようにも見えて、私は心配でなりませんでした。
そんな日が3日間続きました。
そんな母を見て「いつまでも動けるわけではない」「母と一緒にいられる、旅ができることにはリミットがあるんだ」と痛感しました。

母が寝てる間はひたすら外をボケーっと見ていました。

母がいつまでも元気でいるのが当たり前だと思っていた自分に反省をし、
旅行の後半はもっとペースを落として、ゆっくりの旅をしました。

30日(ダブリンからキール運河)12118歩
31日(デンマーク:コペンハーゲン)20271歩
1日(船の中)8245歩
2日(エストニア:タリン)18687歩
3日(フィンランド:ヘルシンキ)14171歩
4日(スウェーデン:ストックホルム)13916歩
5日(船の中)4810歩 ※母ダウン
6日(ドイツ:キール運河)9350歩 
7日(船の中)2938歩
8日(ノルウェー:ベルゲン)14212歩 ※なんとか復活
9日(ノルウェー:ノールフィヨレイド)9763歩
10日(ノルウェー:オルデン)16886歩
11日(ノルウェー:スタヴァンゲル)12931歩
12日(船の上)6703歩
13日(ドイツ:ハンブルク)7242歩 ※母2度目のプチダウン
14日(ドイツからダブリンに戻る)18626歩
↑これは倒れてもおかしくないというくらい歩いている😅

心配しながらも、ビールやカクテルを飲みながらボケーっとしている私

親がいつまでも元気なわけではないことを知る

2年前の私は当時75歳の母を残し、日本を離れました。
今思えば、その間に母に何もなくてよかったと思いました。
親の老化を安易に考えていた自分に気づき反省しました。

母は口だけは達者なので、元気なもんだと思い込んでいましたが、それは口だけで、体力は昔に比べたらこんなに落ちているものかと実感しました。
いつまでも元気なわけじゃない。体力があるわけじゃない。
元気なころを知っているから変わらないと思っているけど、母は明らかに老いていました。
一緒にいないとこんなにも気づいていないものかと本当に反省をしました。
クルーズ旅行(すぐにベッドで寝られる状態の旅行)だったので、それは本当によかったと思います。

人生初めてのクルーズ船

ちなみに私は今回、生まれて初めてクルーズ旅行をしたのですが、本当に本当にタイタニックの世界でした。
一等級の部屋がどんなもんかは知りませんが、一番安い部屋でも十分広いです。
12畳くらいの部屋にトイレとシャワールームがついていて、毎日ベッドメイキングに来てくれてホテルと同じです。

食事はオーダーするレストランとビュッフェスタイルのレストランがあります。
海を見ながら優雅にお食事が食べ放題。
イタリアのクルーズだったのでピザが本当に美味しかったです。
だからいつもおなかいっぱいでした。

そして甲板にはプールが!しかもそこら中に。

夕暮れ時はまた違う雰囲気ですてきです。

夜は劇場で毎日違うショーをみせてくれます。

スペインからプロのフラメンコダンサーを呼んで見せてくれます
ロビーではバイオリンやピアノでライブミュージックが聞けます。

毎日イベントが満載です。

カジノもバーもナイトクラブも。
テニスコートもフットサルコートもありました。
おったまげるほど長い廊下(これはほんの一部)

なんじゃこりゃの優雅な世界です。
私も母もケチケチ星人なので、ショーは毎日欠かさずみて、おなかが空いてなくてもレストランで食べまくって、ジャグジーにも入ってお金持ち気分になって、元は十分にとれていると思います。

とにかく食べまくる(だから太ります)

でもこの北欧クルーズ旅行の旅費は(日本からドイツまでの飛行機代は含まず)一人25万円くらい(2023年7月当時)。
宿泊費14日分、6か国への移動費、3食の食事代、ショーなどの入場料などを
考えると、特に高いわけではないような気がします。
もしこれをホテル・飛行機・食事・ショーなどの入場料などで計算したらもっともっと高くなると思うので、なんてコストパフォーマンスのいい旅行なんだろうと思いました(あくまでも個人的な推測)。

そして驚くことに船の中にいるお客さんはファミリーが多いのです。
小さいお子さんを連れた家族やおじいちゃんを含めた3世代家族、おそらく仲のいい3家族で来た、などなど。
老夫婦だけのカップルもいるけど、とにかく若いファミリー連れが本当に多かったです。
これが(1週間や2週間とか休みがとれる)ヨーロピアンの休暇の楽しみ方なんだなと改めて知るのです。

それにしても豪華客船というのはすごいですね。
MSCクルーズのサービスは日本のおもてなし以上のホスピタリティを感じました。
私と母はこのクルーズで思いっきり楽しみ、母娘旅行のいい思い出を作ることができました。
母も私と一緒にいれて、いっぱい話せて、なんだかとっても嬉しそうでした。

私もいつか自分の娘とまた行きたい。25年後くらいに…と思うのでした。

コペンハーゲン(デンマーク)
タリン(エストニア)
ヘルシンキ(フィンランド)
ストックホルム(スウェーデン)
ノールフィヨレイド(ノルウェー)
オルデン(ノルウェー)
スタヴァンゲル(ノルウェー)
ハンブルグ(ドイツ)
猫の写真を撮って大満足の母

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