見出し画像

四月に新しい風

 この四月から、人生においていくつかの新しいことが始まります。私にとってはそれらが全て「書く」ことに関連していると思っているので、noteでの記事にしておこうと思いました。

 まず、大学院に通うことになりました。
 私の記事には、ぐちぐちと研究や学術活動への未練めいたことを書き散らすものがしばしばあったのですが、そう書きながらもアカデミズムの世界で研究するなんて全然向いてないと思っていました。ここ数年は大学に戻るとは考えたこともなく、趣味としての研究や独学の道をマイペースで進むのがちょうどいいのかなと考えていました。
 しかし、一人でやっていても知的水準の高まりを感じず、考えも洗練されていかず、やる気にもムラがあり、負荷をかけないと筋力が増加しないように、多少のストレスや強制力がなければ結局モノにならないのではないかと徐々に思いはじめました。
 そこで、昨年の夏頃になんとなく大学院の説明会に参加し、社会人入試の受験資格があるかどうかを聞きに行ったことから、思いがけず事態が動くことになりました。その後、研究室訪問で指導について相談・内諾していただき、形ばかりの試験を受けて(という割には何十年ぶりの試験が不安で不安で挙動がおかしくなり、周囲の人間に苦笑され、そして試験の出来もひどいものでしたが…)、四月から晴れておじさん院生となります。
 社会人で大学院に入ることについては事前にいろいろと調査しましたが、「とにかく動いてみるべきだ。動けばあなたが思うよりはるかに物事はスムーズに進む」というような、Yahoo知恵袋かなにかのぶっきらぼうなコメントが、今となっては一番しっくりきます。迷っているうちにやったほうが良いというのはその通りで、その簡単なことがなかなかできないわけですが、やはりやらないよりは思い切って進めてみるのがよいのでしょう。10年以上前には何度か大学院に戻ろうかと考えたことがありましたが、試験のハードルの高さに加え、研究テーマも絞れなかったことから、やがて日常に取り紛れて、そんなことは考えないようになっていました。その当時はまだ学歴コンプレックスにとりつかれていたに過ぎず、真に学ぶべき時期ではなかったのだと思います。
 今どき社会人学生はそれほど珍しくないのでしょうけれども、働きながら学校に通い、論文まで書くというのはなかなかの苦行荒行だと思います。私は書くことについては一丁前の顔をしていますが議論は得意ではないですし、おまけに最近は体力にも視力にも記憶力にも衰えを感じ始めているというのに…。あらゆる方面で自信はありませんが、とはいえ学びを得ること自体は生きる活力ですので、学位うんぬんは深刻に考えず、気軽にやろうと思っています。ぼんやりしていても忙しくしていても、どのみち死ぬまでの時間は刻々と迫ってくるのです。
 また、大学院では当然研究をするわけですが、その最後の目標は論文ですから、これは「書くことによって立つ」という私の人生における最終目標に向けた実践であると考えています。論文を書こうとすることで、考えたことを論理的に、矛盾なく伝えるということ、そして他人の論理の穴を衝いて新しい見解を伝える訓練を行うことで、書き手としての水準を高めたいと考えています。


 次に、文芸同人誌の立ち上げに参加します。誌名は『夢幻』です。
 紙媒体の印刷物を作って自由に好きなものを書くということには、以前から興味と憧れがありました。しかし文章を書き散らすだけならこのnoteで充分だと考えて、特に動くこともありませんでした。
 そんな折、こちらも昨年の秋頃でしたが、以前から相互フォローをさせてもらい、コメント欄などを通じて交流している螺鈿人形さん(螺鈿人形|note)から同人誌活動立ち上げのお誘いをいただき、二つ返事でOKしました。私はその時すでに大学院の準備を進めていましたが、断る選択肢はありませんでした。逆に同人誌の話を先にいただいていたら、おそらく大学院の話は進めなかったと思います。それも不思議なタイミングです。
 その後も螺鈿人形さんのご尽力で、総勢8人の男女のnoteクリエイターが『夢幻』同人として参加することになりました。サークル名は「夢幻編輯所」としていて、noteアカウントとX/Twitterのアカウントで随時広報していますので、もし気が向いたらご覧ください。フォローなんてしてくださった日には泣いて喜びます。

 そして細々と準備を進め、ついに創刊号が出せる見通しができました。
 創刊号は四月中に通販サイト(今のところBOOTHを考えています→変更予定です。2024年4月2日追記)で発売開始予定です。全138ページでたったの400円(ただし通販なので送料がかかります…)に設定しました。大赤字ですが名刺替わりというつもりで廉価にしています。文学フリマをはじめとする即売会への出店は今のところ未定ですが、もしご要望があれば前向きに考えたいと思います。創刊号では、私はこのnoteに書いた文章をいくつか加筆修正して寄稿しています。
 今回の発刊に伴って今後、雑誌に掲載した私の記事については、予告なく非公開や部分的に有料化というかたちで閲覧制限をかける場合がありますので、大変申し訳ありませんが、ご了承いただければと思います。これは出し惜しみというより、単純に購入してくれる人への配慮ということに尽きますから、もちろん今後投稿する記事については引き続き無料公開です。また、関連グッズの販売も検討しています。とはいえ、別にこれでバカ売れしたいとか、一大事業にしようとは今のところ考えていません。なったらありがたいですが、それこそ夢幻の如きお話です。地道にやっていきます。


 あとは、講師として大学院で講義をすることになりました。何名かの講師が順番で担当するアラカルト講義のうちの2回分を担当するという感じですから、いわゆる非常勤講師よりもさらに軽いものです。こちらの内容は仕事の関係なので、上述の大学院に通う話とはほぼ関係ありません。
 たったの2回だけとはいえ、100分の講義を2回というのは、喋るのが苦手な素人にはだいぶ重いのですが、5月にあるそれの準備をまだしていません。おそらく泥試合になると思われます。


 それからもう一件、『夢幻』とは異なる別の同人誌への寄稿をご依頼いただきました。これもまた昨年の夏頃にお受けしたもので、また毛色の異なるものなのですが、ちびちびと書いております。ご報告できる段階になればお知らせします。


 これらはいずれも「できたらいいな」くらいに漠然と考えていたことでしたが、全てが昨年の夏から秋にかけて進み始め、今年の四月から始まるように動くとは思ってもいなかったことで、未だに不思議な気分です。これまでの人生、あれこれとくだをまきながらのんべんだらりと過ごしてきましたが、ここにきて全部重なってくると、人生における一大転機の薫りさえします。

何かが起こりそうな気がする
毎日そんな気がしてる
ああ うるせい人生さ そう今日も
何かがきっとはじまってる

何だかじっとしてられない
誰かが何処かで待ってる
ああ 短けえ人生の中で
誰かが何処かで待ってる

♫エレファントカシマシ「四月の風」

 そんなことも、あるのかもしれません。
 どれかが挫折しても、別のどれかが生きているからいいやというくらいの気持ちで、老い先に向かう人生を開拓していければいいかなと思っています。
 また、私は極めて身の程知らずで欲張りなので、現時点でnoteをやめるつもりはありません。今後ともよろしくお願いいたします。(とかいって自然消滅していたら、ああ、やっぱ無理だったかと察してやってください…)






この記事が参加している募集

自己紹介

新生活をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?