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遠野醸造缶ビール、リリースします!

2020年冬。私たちは缶ビールを発売します。4月から準備を始め、ようやく皆様にご報告できることを心より嬉しく思います。日本では珍しい超マイクロブルワリーでの缶ビール発売。なぜこのタイミングで、なぜ缶ビールを始めるのか。その背景にある想いをお伝えしたいと思います。

◎私たちのビールについて

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“ドリンカビリティの高いビールを”
苦味、甘み、酸味、香り、それぞれの要素が突出することなく調和し、雑味のないクリーンな味わい表現すること。何杯でもおかわりしたくなるようなビールで、飲み手に幸せな時間を提供すること。私たちがビール造りで大切にしていることです。1仕込みは250L。業界の中ではかなり小さな設備です。小規模ながらも地域の生産者とコミュニケーションを取りながら、これまで多種多様なビールを醸造してきました。

◎缶ビールを始めようと思ったきっかけ

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免許や設備の都合上、これまで醸造したビールは全て樽詰し、主に直営TAPROOMで販売してきました。ありがたいことに開業から2年半が経ち、延べ1万人以上の方が私たちのビールを飲むために遠野へ足を運んでくれました。

“自分たちが造ったビールを、自分たちの言葉でお客様へ届け、ビールを通じたコミュニケーションをともに楽しむ”

TAPROOMでのビール販売は、私たちにとって何より大切な時間でした。しかし昨今の新型コロナウイルスの影響で、その状況は大きく変化。4月にはTAPROOMを1ヶ月休業し、売り上げは激減。一時は存続が危ぶまれるほど、厳しい状況に追い込まれました。当時は本当に苦しかったのですが、ありがたいことにそういった状況下でも「遠野醸造のビールを家で飲みたい!」「落ち着いたら絶対遠野に行くからね!」という温かいメッセージをたくさんんいただきました。

"樽生ビール以外の選択肢を作り、遠野に来たくても来れない方達に私たちのビールを届けたい"

これまで応援してくれた方々の期待に応えるべく、ありとあらゆる可能性を検討しました。クラウラー、ボトル、OEMなど様々な選択肢がある中で、私たちは最終的に缶ビールを選択しました。通常缶ビールを始めるには、莫大な設備投資と機械を置くための広いスペースが必要です。限られた醸造スペースしかなく、資金力もない私たちにとって、缶ビールを始めるということは非常に高いハードルでした。幸いなことにベストなタイミングで超小型卓上缶詰機を紹介していただき、申請していた補助金が採択されたことで、思い切って缶ビールへチャレンジすることを決めました。

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◎ボトルではなく、缶を選んだ理由

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日本のクラフトブルワリーでは、缶よりもボトルビールが一般的です。かくいう私たちも当初の事業計画上は、事業が軌道にのってきたタイミングでボトルビールにチャレンジする予定でした。ではなぜボトルではなく、缶ビールを選んだのか。その理由は大きく3つあります。

・品質
缶はビールの大敵である紫外線を完全に遮断できます。また密封性が高く、品質劣化の原因となる酸化リスクを極力抑えることができます。そのためTAPROOMで提供されるビールに近い味わいをご自宅で楽しむことができます。
・利便性
ボトルに比べ圧倒的に軽く、かさばらないというのが缶ビールの特徴です。より気軽に持ち運びすることができ、冷蔵庫へも2段重ねてすっきり収納できます。
・環境への配慮
軽くてコンパクトな缶ビールは、輸送におけるCO2及びコストを削減することができます。また2019年度の缶リサイクル率は97.6%を誇り(参照:アルミ缶リサイクル協会「2019年アルミ缶の需要量と2019年度アルミ缶のリサイクル率」)、省資源化に貢献することができます。

繰り返しになりますが、日本のマイクロブルワリーにおいて現状缶ビールは主流ではありません。しかし上記にあげた缶ビールの優位性が徐々に理解され、近い将来その流れが来るのではないかと考えています。実際2019年10月にビール視察でアメリカを訪れた際には、多くのマイクロブルワリーが缶ビールへとシフトしているところでした。某大手スーパーマケットでは、缶ビール以外は基本取り扱わないという方針を出しているほど。もちろん、ボトルにはボトルの良さがあります。しかし私たちの目指すビールの方向性、免許、醸造所のキャパシティ、今後の展開などを総合的に判断し、最終的に缶充填機導入を決断しました。

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◎私たちらしいラベルデザインを目指して

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今回のラベルデザインでは、創業前からお付き合いがある株式会社富川屋にプロデュース&ディレクションを依頼。さらにデザイン:grams design office、撮影:yui sugawaraというチームで制作を行いました。それぞれ岩手に拠点を置きながら、素晴らしい仕事をされている尊敬すべきパートナーです。

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デザインの過程で大切にしたこと。それは既存のお客様はもちろんのこと、新たに出会うお客様にも遠野醸造らしさを伝えることです。全体を通して”シンプルかつ潔く、まっすぐで力強い”、私たちらしさが伝わるようなデザインを意識しました。
ベースデザインでは、必要最低限の情報をシンプルかつ大胆にレイアウト。さらに背景は白、文字を黒にすることで、商品名とロゴマークが力強く主張し、プロダクトへの自信や潔さを前面に押し出しました。最終的には遠野醸造らしさがぎゅっと凝縮された、素晴らしいデザインに仕上がったと思います。細部までこだわり、一緒に伴走しながらデザインしてくれたチームメンバーに改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。本当にありがとうございました。

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◎缶ビール発売開始時期と今後について

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2020年12月12日(土)12:00〜、店頭及び公式オンラインショップにて缶ビールを発売開始します。製造量に限りがあるため、当面はオンラインと店頭を中心に販売していく予定です。取り置き等の対応は致しかねますので、ご了承ください。また今回の缶ビール発売にあたり、オンラインショップをshopifyへ移行しました。今後よりスムースな購入体験が実現できるよう、随時アップデートしていきたいと思います。既存のショップでご購入いただいていた皆様にはお手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。新たしいショップはこちらから↓

無事缶ビールをリリースできたものの、まだまだ課題は山積みです。というのも私たちの規模感で缶充填機を導入しているブルワリーがほとんどないため、毎回自分たちで試行錯誤しながら改善を重ねているところです。品質の安定化、空き缶の保管場所確保、持続可能な缶詰体制の構築など・・・。
1つ1つ課題をクリアしながら、自分たちが目指す味わいに少しずつ近づけていきたいと思います。ぜひ温かく見守っていただけると幸いです。
缶ビールの販売量は今後少しずつ増えていくと思いますが、私たちのベースがTAPROOMであるということは今後も変わりません。TAPROOMでビール片手に皆さんと過ごす時間が、私たちにとって何よりも大切です。現状お店に行きづらい状況が続いていると思いますが、いつかまた皆さんと笑顔で乾杯できる日が来ることを信じています。今後とも遠野醸造をどうぞよろしくお願いいたします。

BEER TOGETHER!

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Produce&Direction:株式会社富川屋
Design:grams design office
Photo:yui sugawara
Special Thanks:Black Tide Brewing / 有限会社ファーマーズ
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◎この記事を書いた人◎
袴田大輔
株式会社遠野醸造 代表取締役
"クラフトビールをもっと身近に、もっと楽しく"
ホップの産地遠野で、新たなビール文化を醸成すべく奮闘中。遠野醸造では、ブルーパブ運営、人事、総務、会計、広報など幅広く担当。何でも屋です。
Facebook : https://www.facebook.com/d.hakamada
Twitter : https://twitter.com/journey_dai 
Mail : hakamada@tonobrewing.com


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