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ハンサムじゃないとダメですか? ──かたすみの女性史

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歴史ドラマの主人公が女性なのは、もちろんうれしいけれど、 エンターティメントの悲しさ、ドラマの女主人公は、みな有能で勇ましく、美人で自信満々の“勝者”です。 来年のNHK大河ドラ… もっと読む
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#フェミニズム

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その10)

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その10)

壺井栄をナメるなよ !(その10) 栗林佐知

←(その9)からつづき

■ 発展してゆく壺井栄文学のテーマ

 ここで、一つ、訂正しなくてはならない。

 (その7)で、“深く考えるには、壺井栄はあまりに忙しすぎた”などと偉そうなことを書いたが、これはまったく、的を射ていないと、改めて思った(書く前に思え!!)。


 栄がその後も結婚制度に疑いを持たずにいつづけた、とか、
「ミネ」の「

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かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その1)

かたすみの女性史【第2話】壺井栄をナメるなよ !(その1)

壺井栄をナメるなよ!(その1)  栗林佐知

■ニコニコ顔のおばさん作家

 壺井栄の名を知らない人は、あまりいないだろう。
 国語の教科書でその作品を読んだことのない若い人でも、映画「二十四の瞳」の原作者、といわれれば、そのイメージを呼び起こすことができると思う。

 「台所からエプロン姿で手を拭き拭き現れたニコニコ顔の善良なおばさん」(鷺只雄『評伝 壺井栄』翰林書房、p7)といわれる、えくぼが

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