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東京でモーニングを

 ――サンドウィッチをほおばる。パン、それもトーストを食べるなんて、ずいぶんと久しぶりだ。香ばしいにおいと、心地よい食感を楽しみつつも、どこか気持ちが晴れない。やっぱり「考え事」をしているからなんだろう。

 いや、「悩み事」と言った方が正確かもしれない。ふとそう思ったのは、それが「自分ではコントロールできない問題」だから。自分がどうするのかだけではなく、自分以外の誰かと、何かをするとき。そこで生じる問題が、いまの自分を暗い気分にさせている。

 何の話かというと、お堅く言えば「組織の在り方」とか「人間関係」で。簡単に言ってしまえば「みんな自分のことしか考えていない」という現実。何もしない人に限って、文句だけは言うよねって、そんなよくある話です。

 用事があって東京に来たけれど、悩み事のおかげで、何かを楽しもうとは思えなくて。目的地までとぼとぼ歩きながら、ふと目に付いたものを撮る。こんなに心が動かない写真撮影、初めてかもしれない。

 ならいっそのこと、カメラはバッグにしまおうか。そうも思ったけれど。それでも続けることに意味があるかもしれない。なんとなくそう考え直し、気の向くままにシャッターを切ってみた。

 顔をあげると、桜が咲いていた。もうすぐ春なんだな。ずっと冬が続く、なんてことは、ないのかもしれない。

 他人は思いどおりにならないし、しようとしちゃいけない。相手の考えを尊重しながら、自分にできることを続けていく。うまくいかないときこそ、本質的な課題に、自分自身に向き合っているのかもしれない。

 でも、疲れたときは休んだっていい。甘いものを食べたり、温かくして、たっぷり眠ろう。疲れていたら、考えだって悪い方向に進んでしまうから。まずは肩の力を抜いて、リラックスして。

 ――なんて。自分が言われたい言葉を、自分自身にかけてみる。そうしてあれこれ工夫しながら、なんとかやっていこうと思うわけです。


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