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文学フリマ札幌8参加レポ

こんにちは!
とらお。です!

私は「もふもふ天国!」というサークル名で
創作BL同人誌を制作・頒布している いわゆる同人屋です。
今回は同人誌頒布のために【文学フリマ札幌8】に参加してきたので
その時の様子やイベントに参加して なんとなく気がついたことなど
日記とか備忘録的な意味合いも兼ねて お話できたらなと思います。

結構長くなってしまったので
時間のある時に読んでみてくださいね。



イベント全体の流れについて

この段落ではイベント全体の流れについてお話します。

文学フリマ札幌8のサークル受付時間は10時半~11時50分まで。
イベント時間は12時~16時までの4時間でした。

事務局から届いたイベントの案内には
「10時半が一番込み合う」と記載があったので
11時に着くように家を出ようと思っていたんですが…。

早め早めに動く性格が災いしてか
気がついたら10時20分に会場着いてました。不思議。

しょうがない、並ぶか…。
と思ったんですが全然スムーズに入ることができたので結果オーライ。
というか全然混んでませんでしたね。

その後も受付が混んでいる様子は見られなかったので
今回は運良くサークル参加者さんの来場時間がバラけたのかもしれません。

ちなみに文学フリマ札幌を開催する際はいつも
朝設営のお手伝いを募集されています。

朝設営とは サークル参加者さんが頒布物を並べるテーブルや
イベント中に座っている椅子を 並べる作業のこと。
サークル参加のため会場に入ったら いつも椅子とテーブルがビシッと並んで
サークル番号のシールとか 案内の紙とか
イベント参加のノベルティとか 置いてあったりしますよね?

イベントにもよると思いますが
文学フリマ札幌では 全部有志の方が やってくださってるんです。

実は過去、第七回文学フリマ札幌に参加したときは
朝9時に会場入りして 設営をお手伝いしたんですが
今回は前の日に私用があって疲れていたため参加できず…。
事務局の方、ボランティアの方、いつも本当にありがとうございます。

そんな感じで会場入り&設営をして、イベントスタート!

拍手とともにイベントが始まるあの感じ 本当になんとも言えません。
ああ、イベントだなって感じ。
何回でも味わいたい。

さてさて 今回思ったことは「思ったよりも人が来る!」というところ。
前回の第七回文学フリマはコロナが収束した直後だったため
最初にドバッと入ってきて あとはまばら
終了間際には もうほぼ一般参加者さんはいない という印象でした。

しかし今回の文学フリマ札幌8では
一気にドバッと というよりかは
ドバッとではないけど 常にお客さんが入り続けている感じです。

しかも ほぼ12時と同時に入ってきて
イベント終了までいらっしゃる方もいました。

滞在時間が伸びたのは コロナが落ち着いたということと
それに伴って 見本誌コーナーが復活したという部分が大きい気がします。
しかも見本誌コーナーの復活は文学フリマ札幌では四年ぶりとのこと。
いやぁ めでたい。

さてさて そんな感じでイベントも進みまして
来場者さんとお話をしたり 本を買ってもらったり
色々楽しんでるうちに気がついたら終了時間でした。

前回の文学フリマ札幌と違うところは
終了間際に 本が動いたという部分でしょうか。
さきほど話をした通り 前回はお客さんの滞在時間が短かったのに対して
今回のイベントでは 長いこといる人もいれば
イベント終了一時間前に入ってこられる方も結構いましたので
全体通して賑わっていたような気がします。

ちなみに 他の同人イベントでは結構
時間前に帰られるサークルさんも少なくない印象なんですが
今回のイベントでは殆どのサークルさんが
終了時間まで残っていらっしゃいました。

それだけのんびりとイベントを楽しめるようになったんだなぁと
しみじみ感じたものです。

そんな感じでイベントはつつがなく終了。
成果もホクホクで 思っていたよりも手にとって頂けましたし
とっても楽しいイベントになったのでした。


設営について

この段落では設営についてのアレコレなんかを お話します。

まずは設営が終わった後の様子をどどん。
はい、こんな感じ。

設営完了した様子

いやぁー……。
本、多くね?

毎回自分で思います。種類多すぎだろって。
まあでも仕方ないんです。
だって気付いたら本できてるんだもん。
不思議ですね。

今回の新刊は真ん中のでっかいB5のやつ。
新刊出せないからせめて立派な無配を持っていこうと思って
作品紹介パンフを作ろうとしたらページ数が54になって
結局ちゃんとした本として出すことになったという逸話を持つ猛者です。

ちなみに前回参加したリアイベ【J.GARDEN53】では冊数が多くて
全部並べられずに既刊は立てておくという設営になったのですが
今回はギチギチになりつつも全部 平置きしました。
文フリ札幌のスペースは いつも広々でとても助かる…。

で、全部並べてみて思ったんですが
やっぱり平置きが一番わかり易いし見やすい と思いました。

私も以前まではつい スマートに並べるとか
雑貨とかを使ってオシャレに並べるとかを 意識していたんですが
なんなら雑多に置いたほうが
手にとって貰いやすいと個人的には体感しています。

雑貨屋さんとかで すっごく綺麗かつオシャレに
ビシーッと陳列してある商品って 手に取りにくかったり
敷居が高くなる感じ しませんか?
せっかく綺麗に並んでるのに これズラすの申し訳ないなぁ とか
自分が手にとって 元に戻す手間をかけさせるの 嫌だなぁ とか

これ サークルの設営でも同じことが起こると思うんです。

汚い陳列というのは論外ですが
逆に 一寸の隙もない美しい陳列というのは
一種の芸術作品というか 展示になってしまうのでは と。

ただ立ち止まって見てほしいなら それで良いかもしれませんが
イベント参加の目的は本を手に取ってもらって 購入してもらうこと。
誰かに 欲しい! と思ってもらうためには
購入者の入ることが出来る隙というのが必要なんじゃないかと
私は思っています。

人間は本能的に 完璧なものを目の前にすると
感動と畏怖に似たものを感じますが
ある程度 抜けた部分があると 一気に親近感を覚えるもの。

その「抜け感」をいかに上手く作れるかが
立ち止まってもらえるスペースの作り方の根幹になるのかなぁと
勝手に思ったりしました。

あとは単純に 本が平積みしてあると
イベント感があって すごく好き っていうのもあります。
でもきっとこの感情も
雑多であるがゆえの親しみとか 可愛らしさとか
そういうところから来るものなのかもしれませんね。

ちなみに並べ方もこだわりじゃないですが
ちょっと考えてまして。

今回のイベントで一番売りたかったのは もちろん真ん中の新刊。



そんで次に売り出したいのは 新刊の左横にある二冊。

で あわよくば目に留まればいいなーってのが
左側に並んでいるという具合。

左側も 手に取ってもらいたいやつとか
手に取りやすいであろう内容のやつを
真ん中 もしくは手前側に置いてあります。

さて ここでちょっと難しいお話になるんですが…
皆さんは「Zの法則」という言葉をご存知でしょうか?

簡単に言うと人間の視線の動きには ある程度の法則性がありまして
その法則を「Zの法則」と呼ぶんです。

Zの法則とは文字通り 人間の視線は
左上から右上 さらに左下から右下へ… と
アルファベットのZを描くように動くことから
その名前がつけられています。

WEBページやネットニュースなんかは
左上にメインの画像があってその右横にタイトルや 謳い文句
そこから本分が続いていく… という構図 よくありますよね?
あれも「Zの法則」に基づくものです。

他にも「Fの法則」とか「グーテンベルク・ダイヤグラム」とか
色々あるんですが 脱線してしまうので詳しくはお話しません。
気になる人は自分で検索してみてね!!

さて話を戻しまして。
こういった視線の動きの法則では全て共通の部分があるんです。
それは視線は基本「左から右へ流れる」ということ。

だから私は 左側に優先度の高い(手にとって欲しいor見て欲しい)ものを
置いて 徐々に優先度をグラデーションさせていくようにしています。

今回の場合 左上にあるのは新刊のお品書き。
まずはお品書きを見てもらわんと話にならんというのが自論です。
そして視線はお品書きから真ん中の新刊を通って 左側の二冊に行き
最後は既刊達を通る… という具合。

この作戦が功を奏したのか
お品書きを見た後に新刊を手に取って パラパラ見つつ
お品書きと睨めっこ… という方が多かったです。

そうして見てくださった方の 半数は購入に繋がったので
大成功という感じですね。


お品書き

さて ちょっと話は逸れますが お品書きについても工夫をしたので
少しお話をさせてください。

まず私は前回のイベントぐらいから お品書きに
作品のあらすじを載せるのをやめました。
じゃないとお品書きじゃなくて「説明文」になっちゃうし
スペースを取るので。

そして代わりに「要素の羅列」をするようにしたんです。
要素というのは作品を形作る細かい部分。
「ほのぼの」とか「殺伐」とか「シリアス」とか
誰が受けで誰が攻めなのか とか
簡単に言えば 作品の細かいジャンルですね。

ちなみにあらすじを載せていた頃のお品書きはこっちで…。

今回のお品書きはこんな感じ。

比べてみてもわかると思うんですが
あらすじが載ってる方のお品書き… なんかうるさいし
見辛くないです?

まあ 一つ目は 単純に色選びと デザインセンスが悪い
っていうのもあるんですが…。

そもそも 飲食店とか小売店の「お品書き」って
商品名バーン! 値段バーン!
あとは「麺類」とか「ご飯物」とかのカテゴリー分けと
何の材料を使っているかが 載っているぐらいで

「この料理ができるまでには こういう材料を使って
こういう調理をして こういう経緯を経て…」とかいう長い説明
ないですよね。

ある程度の説明があったとしても「注文する側への配慮」が殆どです。
「結構辛いです。お子様や辛いのが苦手な方は注意!」とか
「麺柔らかめです」とか「エビカニなど使ってます」とか
「うどんと蕎麦を同じ釜で茹でてます」とか。

料理の作り方が気になるのは
その料理を食べたり 頼んでみて 気になった後じゃないですか?

だから案外 あらすじを読むのって
その作品に興味が湧いてからの話になってくるんです。

あらすじって結局 物語の最初の部分とか
一部分を切り取っていることが殆どで
あらすじの後はどうなるかわからないし
物語の後半になったら あらすじの内容が一気にひっくり返るような
どんでん返しもあり得るわけで。

だから購入者側からしてみたら
「あらすじ」ってあんまり判断材料にならないんじゃないかと
私は思っています。

あらすじが刺さる瞬間ってのは
表紙とかタイトルとか その本の要素が 購入者に刺さってから。
いわゆる「最後の決め手」になるんじゃないかなと。

となると なにで興味を引くのかと言うと
「タイトル」とか「表紙」。
そしてタイトルとか表紙から
あらすじが気になるという場所まで 読者を引っ張ってくるには
その内容が好みに合うかどうか を判断して貰う必要があるわけです。

表紙やタイトルからは
好みに合うかどうか ちょっとわからない…。
そうなったら人間って 結構な確率で
リスクを避けるために 諦めてしまうんです。
もしかしたらめちゃくちゃ好みの本かもしれないのに。

何でもいけるぜ! っていうテンションで
とりあえず買ってみる人もいるかもしれませんが
せっかくお金を出すのなら 失敗したくないというのが
一般的な感性ですよね。

何が入っているかわからない料理を食べるのはかなり勇気が必要ですが
その料理を構成している材料や調味料が事前に分かれば
ある程度 味の想像も付きますし 心の準備も出来る。
だからこその「要素の羅列」です。

特にこの要素は
「苦手な人もいるだろうけど刺さって抜けない人もいるだろう」
と思える部分を選ぶようにしています。

ジャンルに引っ張られることもありますが
不特定多数に浅く刺すよりは
少人数の心臓に思いっきり突き刺して抜けなくしてやったほうが
案外太客になってくれるものです。

ということでお品書きは「簡素」かつ「見やすく」。
お品書きというものの 根本に立ち返って
最低限 必要な情報だけを記載するという感じにしました。

実際この方式に変えてから 長いことお品書きを見てくれる方が
増えた印象です。

長くお客さんの視線を奪っていたいときは
「ずっと見ていないといけない」ものを作るのではなく
「これを見ながら考えたい」ものを作ることが必要 ということですね。


「文学フリマ札幌」というイベントの空気感

さて 今度は文学フリマ札幌というイベント全体の空気感というか
イベントの特徴について。

前回はイベント参加にあまり慣れていなかったこともあって
イベントの雰囲気なんか 考える余裕はなかったんですが…。
今回は他のイベントにも参加している影響か 少し慣れてきて
お客さんと話をしたり 客層を分析したりという余裕があったので
それらから気がついたことをちょっとお話しますね。

まず「文学フリマ札幌」全体の印象は
かなりライトな即売会という感じ。

今まで参加したことのある「J.GARDEN」とか「コミティア」とかとは
全然印象が違います。
J庭とコミティアはもう本当に オタクの祭典というか
熱量がハンパじゃないです。

一方 文学フリマ札幌は
イベント名の通り「フリーマーケット」という感じ。
お客さんも のんびりお散歩するような感じで
好みの本を探しています。

だから客層もオタクバリバリ!って感じよりも
本が好きな人が来る印象です。
お上品なマダムから ご高齢の方
お子様連れまで 幅広い年代の方がいらっしゃいます。

出店ジャンルも純文学からSF小説、ライトノベルに絵本と
同人は同人なんですが
どちらかというと ライトジャンル向けなんですよね。

ちなみにBLジャンルの出店は 私含め5サークルでした。

じゃあBLジャンルは戦いづらいのか というと
そういうわけでもありません。
実際 本は手にとって頂けていますし。

ただ 一つ思うのは ガチガチのBLジャンルは
もしかしたら戦いにくいかも という部分です。
特にR18とか R18G。

実際今回の文フリ札幌で動いた本のうち
R18は一冊しか動きませんでした。
逆にJ庭に参加した時は 動いた本の殆どはR18。

まあJ庭は「BLが好き」という大前提を持った方が来るので
そりゃそうですよね。
客層が違うわけです。

まあそんな感じで イベント全体がのんびりのほほんとしてるので
ガッチガチに性癖を刺す作品とかよりも
ライト層が気軽に手に取れるような本が
動きやすいのかな―という印象です。

それから 第七回文学フリマ札幌のときも本を買ったという方が
本を買ってくださいました。
これめちゃくちゃ嬉しい。

前回買った本を気に入ってもらえたってことですから
そりゃ嬉しいです。

サークル参加者さんだけでなく
一般参加者さんも 毎回来てるよーって方 多いみたいです。

そんな感じ。


同人誌作ってるやつってスゴくね?

ふざけたタイトルで すみません。
でもこれしか思いつかなかった。

ということで 本題。

実は今回のイベントで何度かこう言われました。
「これ、全部お一人でやってるんですか……?!」

ええ、やってます。
やってますとも。

表紙から 本分から 編集から 印刷の発注から イベントの参加から
何もかも一人でやってますとも。

でもこれって 別に特別すごいことだとは思ってなかったんですよ。
だって私の周りの同人やってる人は
全員普通にやってることだから。

でも今回の文学フリマ札幌では
「全部一人でやってます」って言うと結構驚かれたんです。
ここも もしかしたら 来場者さんがライト勢という部分の
裏付けになるかもしれませんね。

そういった話をした中で印象的だったのは とある御婦人。

なんでも娘さんが同人をやりたがっているらしくて
全部一人でやってますと説明したら
参考にと 新刊を一冊 買ってくださったんです。

これ本当にめちゃくちゃ嬉しかった。
同人っていうジャンルを その楽しさを
次世代に繋ぐに一助になれたんだと思うと
そりゃもう感動も感動です。

いつかその娘さんと同じ文学フリマ札幌に出られたら
もっと嬉しいな。

娘さん!!
何かあったら相談乗るからいつでも連絡してね!!!!!(?)
本の奥付に連絡先書いてるからね!!!!!!!!

閑話休題。

で、そんな感じで驚かれるたびに思ったんですよ。
同人誌自分で作ってるヤツって 実はめちゃくちゃスゴくね? って。

だって冷静に考えてみてくださいよ。

本の内容を考えて(企画)
実際に書いてor描いて(制作)
印刷してもらえる状態にして(編集)
印刷所に印刷お願いして(発注)
SNSとかでお知らせして(宣伝)
イベントに参加して売る(販売)

普通の小売店が部署ごとに分かれてやってる一連の業務
全部ワンオペで しかも個人でやってんだぜ。

しかもここに どうやったら手に取ってもらえるかとか
どうしたら人の目に留まるかとか
マーケティングの話も入ってくる。

いや凄いでしょ、どう考えても。
でも楽しいんだこれが。

まあそういうわけで 今回のイベントを通して
同人やってる人ってすげーなーと気づいたわけです。


まとめ

まとめというか、今回のオチ。
それにしてもイベント参加って楽しいわぁ……と思った一日でした。

今までは一人でイベント参加するの ちょっと寂しいというか
抵抗があったんですが 今はそんなことありません。

特に今回は 慣れてきて余裕が出たので
客層の分析をしたり お客さんの表情とか 目線から
声をかけるタイミングを伺ったりと
色々 実践できて かなり収穫があったんじゃないかなと。

ちなみに次回の文フリ札幌は 来年9月。
しかもシルバーウィークのド真ん中とのこと。

こりゃ行くっきゃないでしょ!ってことで
次回も参加予定です。
もし機会があれば 遊びに来てくださいね。

ではでは そんな感じで。
最後までお読み頂き ありがとうございました。


とらお。

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