見出し画像

思わずマネしたくなる 好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい

画像1

はじめに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんにちは。伊藤 航です。
いつも本の紹介をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日はANA、ディズニー、ジャパネットたかた、再春館製薬所といった異色のキャリアを誇るマナー講師である桑野 麻衣さんの『 思わずマネしたくなる 好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい 』をご紹介いたします。

敬語を使うのは誰のため?

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 「ビジネスにおいて信頼されること」をゴールにした場合、第一印象のよさだけでは補いきれないものがあります。外見だけではなく、話す言葉。その中でも「敬語の使い方」で相手の信頼感は大きく変わってきます。

敬語が正しく使えないと、“親しみやすい” ではなく “馴れ馴れしい” 印象を与えてしまいます。「人の領域に土足で踏み込んでくる」と言ってもいいでしょうか。このことは、ビジネスだけでなくプライベートにおいても気をつけてもらいたいことです。

では改めてなぜ敬語を使えることがビジネスにおいての信頼を勝ち取るのかについて考えてみましょう。文化庁の発行している『敬語の指針』によれば、実は敬語を使うのには大きく分けて二つの意義があるのです。

一つ目は「敬語は、人と人との相互尊重の気持ちを基盤とすべきものである」という考え方。年齢や立場に関係なく、目の前の相手のことを尊重するのであれば敬語を使いましょう、という意味です。

ただこの一つ目は確かに正論なのですが、従来からある敬語の固くて難しいイメージが残ります。実は、私自身はこれを知った際に、より真剣に敬語を勉強しようと思ったのです。

二つ目は、「敬語は、自らの気持ちに則した、より適切な言葉づかいを主体的に選んだ自己表現として使用するものである」という考え方です。つまり、敬語はあなたにとって、あなたの気持ちを正しく伝えるための武器になる、という捉え方もできます。

ビジネスにおいては、どんなに仲がいい相手でも、真剣に自分の意見や主張を発表する場面では敬語を使いますよね。そのようなときに敬語が使えていないことによって、相手に真剣に聞く耳を持ってもらえなくなったら、どうでしょうか。そこでビジネスチャンスを逃すのはあまりにももったいないことなのです。

画像2

相手の表情やしぐさをマネする(ミラーリング)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 あなたは「ラポールスキル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「ラポール」というのは、フランス語で「橋を架ける」という意味です。心理学においては、人と人との間が和やかな心の通い合った状態、親密な信頼関係にあることを意味しています。

そのラポールを築くための具体的なスキルを、ここでは3つご紹介します。取り入れやすい ❶ ミラーリング、❷ページング 、❸バックトラッキングの順にご紹介していきますね。

まずここではミラーリングからご紹介します。「ミラーリング」という言葉は、その名のごとく、鏡写しのように、相手の表情やしぐさをマネするテクニックのことです。よく傾聴というと、人の話を聞くときについつい “気の利いた返し” というものを意識してしまいがちです。しかし、気の利いた返しというのは、その場ですぐ簡単にできるようなものではありません。

では、まず何をすぐに意識したらいいのか。これがミラーリングなのです。あなたの目の前の相手は、どのような表情で話しているでしょうか。

私は相手の身振りや手振りのミラーリングよりも、表情のミラーリングをしていただきたいと強く思っています。

身振り手振りや仕草のミラーリングは、状況によっては非常に不自然になります。相手は、「話を聞いてくれているな」と心の距離が近づくどころか「なんだかこの人、話聞いてないんじゃないかな」「なんだか話しづらい」と、真逆の印象を抱いてしまうこともあります。まずは相手の表情をしっかりと見てください。そして、相手の話題に合った表情をできるだけ完全に、まさに鏡写しのようにコピーしてみてください。

そうすることで、決して上手な返しがなくても、相手は「この人はわかってくれているな」「共感してくれている」「より添ってくれているな」と、心の距離を近づけることができます。

ぜひ、まずはしっかり相手の表情をよく見て、それに合うミラーリングをしてみてください。

画像3

相手の話にペースを合わせる(ページング)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ミラーリングに続いてご紹介するのは、ラポールスキルの中の2つ目のスキルである、ページングです。

「ページング」というのは「ペース」という名の通り、相手の話し方や状態、そして呼吸などに合わせるテクニックです。たとえば話すペースを相手に合わせる。また、話のトーンを合わせる。あいづちのタイミングや、相手と呼吸のタイミングを合わせることをページングと言います。

ページングにはミラーリングと同様、相手と自分の心理的距離を近づける効果があります。また、ミラーリング同様、何か頭を使って気の利いた言葉であいづちを打ったり、切り返す必要はありません。あくまで相手の話し方や状態、呼吸を相手のものに合わせていくことを意識します。

たとえば、早口な人に対して、ゆっくりと「はい・・・・・・はい・・・・・・」とあいづちを打っては、相手としては非常に話しづらいですよね。逆に相手がゆっくり話をしているのに、「はいはいはい」と立て続けに、間髪入れずにあいづちえおしてしまっても、「早く話を終わらせてほしいのかな」とか「つまらないにかな」と思われてしまいます。

でも、相手の話しているスピードと、あなたが返す言葉のスピードが合っていれば、相手との距離がグンと縮まるということを覚えておいてください。

これに加えて私は、ページングではペース以上にトーンを合わせることをおすすめします。

日本には、「感情を表に出すことは美徳ではない」という価値観があります。そのため、多くの人にとっては、表情を豊かにすることにすら慣れていないのが現状です。しかし、相手とトーンを合わせることができれば、相手にとってあなたはなくてはならない聞き手になれるのです。

相手がうれしい、楽しいという元気な話題のときには、同じような明るく元気な声のトーンであいづちを打つ。そして、相手が辛い、悲しい、苦しいなという話題のときには、あなたも同じように少しトーンを下げて、声の響きを静かにする。たったこれだけで相手との距離はぐっと近づきます。

ぜひ、ミラーリングと共に、ページングも意識してみてくださいね。

画像4

相手の話した言葉を繰り返す(バックトラッキング)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ミラーリング、ページングとともに、ラポールスキルの1つといわれているバックトラッキング。

「バックトラッキング」というのは、日本語でいうところの「オウム返し」です。会話において、相手の話した言葉を繰り返すことによって、相手の潜在意識(無意識)に安心感や親近感を持ってもらうことができます。

実際にレストランで注文した後、店員さんがメニューを復唱してくれたり、電話越しにレストランの予約をした際に、予約日時や名前を再確認してくれると安心しますよね。日常的な会話においても同じで、安心感が生まれ、自然と距離が縮まります。

これもミラーリング、ページングと同様に、特に何か頭で考えて、気の利いた返しや質問はする必要がありません。相手が言ったことをそのまま繰り返すだけなのに、相手の心にぐっと近づくことができる手法です。

ただ、このバックトラッキングを勘違いしている人がいます。相手の言っていることをただ単純に繰り返せばいいと思っているからか、非常に深いなバックトラッキングをする人がいるのです。

そこで、上手にバックトラッキングができる方法をお伝えします。
実はこのバックトラッキングには、3つの方法があります。

相手の話した事実を繰り返すこと
 「この前ね、映画を観に行ってきたんだ」と言われたら、「映画観に行ったんだ~」と、その事実を繰り返します。ここでポイントとなるのは、相手の話のテンポに合わせて、バックトラッキングをする部分の長さが変わるという点です。相手の話すテンポが速い場合は、単語のみを繰り返してください。「この前ね、映画を観に行ってきたんだ」と言われたら、「あ、映画ね!」というように、短く相手が口にした単語を繰り返してみましょう。
相手の話した言葉の中の、感情の部分を繰り返すこと
 「今日歯医者さんに間に合って本当によかった」と言われたときに、「それはよかったね」と感情部分を繰り返します。もしくは、口にした言葉だけでなく、相手が表現できていない感情を汲み取って伝えることもできます。「今日歯医者さんに間に合って本当によかった」という言葉に対して、それはよかったね。ひと安心だね」と、相手の気持ちを代弁します。
相手の話を要約して返すこと(応用編)
 たとえば相手が「好きな場所は沖縄、ハワイ、カンクンです」と言ったのに対し、「鈴木さんは国内外問わず、リゾート地がお好きなんですね」と、相手の話をそのまま繰り返すのではなく、簡単に要約するということです。これは相手が話してしることを理解していることが必須のため、少々応用力が必要です。
 相手の話を聞きながら、「相手がこのメッセージの中で一番伝えたいことはなんだろう」「この話を通して、私に話したいことはなんだろう」と考えて聞くと、ちょっと気の利いた言葉を返すこともできるかもしれませんね。

まずは、相手の話した「事実」を繰り返す、次に相手の「感情」を繰り返す。それができるようになったら、相手の話している中で、大事な部分を見つけて要約して返す。ちょっとずつでいいので、バックトラッキングの達人を目指していってください。

画像5

おわりに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回ご紹介した本書の要点をまとめると以下のようになります。

❶ 「敬語の使い方」で相手の信頼感は大きく変わってくる
❷ ラポールを築くための具体的なスキルは、
   「ミラーリング」「ページング」「バックトラッキング」の3つがある
❸ 日本には、「感情を表に出すことは美徳ではない」という価値観がある

下記に本書のあとがきを抜粋して、筆を置きたいと思います。

❝ この本を書くにあたり、気がついたことがあります。この本は信頼感や好感につながる話し方や言葉づかいをテーマにしたビジネス書ですが、それらはそもそも一人ひとりの「生き様」や「心のあり方」に通ずるということです。話し方や言葉の使い方によって「目の前の相手とわかり合い、信頼関係を構築したい」「自分のことも相手のことも大切にしたい」という「ココロ」がなければ、それは「カタチ」にできないのです。❞

最後までお読みいただきありがとうございます。


この記事が参加している募集

推薦図書

私は本で世界を変えられると信じています。そして常に既存の考え方とは違う考え方をします。世界を変えるために美しいデザインかつ情報に優れた記事を世に送り出そうと努力するうちに、このような『note』ができあがりました。一緒に世界を変えてみませんか?