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[読書記録] 銀河鉄道の父 (門井慶喜 著)

「お前は、父でありすぎる」宮沢賢治さんの優しさは政次郎さんから譲り受けたものなのだとあたたかくなりました。
政次郎さんを通した、賢治さんの生涯を辿ったお話です。

われながら有能だったのではないか。ときおりは賢治と無駄ばなしができたのも貴重な時間だった。その代償として下腹の激痛と高熱を得たくらいなら、収支はじゅうぶん、
(黒字だな)
政次郎はいま、ベッドの上でもだえつつ、心から満足するのだった。

「銀河鉄道の父」門井慶喜より

銀河鉄道、宮沢賢治ワールドに首まで浸かろうとなんとなく思っている年始です。

政次郎さんの賢治さんに対する父親としてのあたたかさは、ある程度歳を重ねて気がつくものなのかもしれません。親子の難しさは、あとになって分かることもあるのかな、と思います。
宮沢賢治さんと宮沢一家全員の視線のあたたかさや、お互いを思いやったり尊敬したりしあう気持ちにどんどん惹かれていくのを感じました。

賢治さんとトシさんの関係や、面白さを共有したり、笑顔溢れる二人の幼少期のことを少し覗けたのかもしれない、賢治さんが作る作品への、数々の土台となるものはこうやって積み上げられたのか、と思うとなんとも嬉しく、愛しい気持ちがこみ上げます。

私にとってずっと手元に置いておきたい一冊となりました。


終わり方もとても良かった。
本当はどうなったんだろうな。

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