君へ


ねえ君はどこへ行ってしまったんだい

今、思うととても懐かしいよ

君と同じ頂きを目指して語り合った日々が

時には、意見が合わず離れ離れになったこともあったけれど

目指すものが同じだから、結局は同じ道で会うことになったよね

そして、お互いのわずかばかりの収穫を見せ合った

君がいたから僕はとても励まされて成長できたんだと今では本当にそう思うよ

君がいなくなった理由もわかる気がするよ

誰も上などは目指してはいない

目指しているようにみえても全てが偽物だ

何でも簡単にできるようになって

人間は本当につまらなくなってしまった

簡単にこわせるから、それらは皆価値のないものだと思っているらしい

本当は壊している奴らよりも、それらは遙かに価値のあるものなのに

嘘をついてでも利得を得よう

人を陥れても利得を得よう

そんなことが普通に平然と行われている

今では

人を殺してでも利得を得よう

もうそこまできてしまったよ

それでも、僕はまだ相変わらず上を目指しているよ

君がいてくれたらと思う時もある

君を求めてさすらって

君だと思って声を掛けても,皆違うんだ

君がいないから、全然進んではいないよ

自分の無力を嘆くばかりさ

今日これを書く前に

君のことを思い

今の自分をしみじみと俯瞰したら

もうとっくに捨てたはずの

自分のための

涙が

抑えることもできず

どっと溢れてきたんだ

黒い船を見に行った時をピークに

僕たちは

一人また一人と

欠けていってしまった

最後には

君と僕だけになって

そして君も

今度は

産まれてはこなかった

多分次は

僕も

もうその力はないだろう




2019年1月30日 mixiにアップしたものを、そのまま転載しております。

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