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なつかし劇場/ミリオンダラー・キンチャン

へーちゃんと小生、それに欽ちゃん。

3人は飛鳥山公園の展望台にいた。

地球ゴマのような形の展望台、芯棒の部分にあるエレベーターで登って、コマのように30分で一回転するラウンジは冷暖房完備。

8月の暑い夏の日。

涼しい展望台で夏休みの宿題をやろうという、へーちゃんの名案に小生が乗っかり、虚言癖のある不思議な友人、欽ちゃんも登場。

へーちゃんと小生がテーブルにプリントや筆記用具を並べるも、欽ちゃんは窓の外を見てヘラヘラしております。


「欽ちゃん、そう言えば、お父さん救出するトンネル、どーなったの」


数カ月前、欽ちゃんは無実の罪で刑務所に入っているという、とおちゃんを助ける為、トンネルを掘ってると、言っていたのです。


「裸族ちゃん、覚えてたの!」


「あれから、大変だったんだ。まあ、その前になんか飲もうよ。今日はオレのおごりだぜ」


「すいませ〜ん。クリームソーダ3つと、ポテトチップ3つ!」


ラウンジの芯棒部分にある、喫茶カウンターに注文する、欽ちゃん。

そして、その代金を、聖徳太子の1万円札で払っています。

いぶかしげにお金を受け取る、カウンターのおねえさん。


中坊が万札に触れるなんて、お年玉くらいだった当時の事。

貧乏をネタに、みんなから小馬鹿にされてる、あの欽ちゃんが、、、


「欽ちゃん大丈夫なの?」


不安そうなへーちゃん。


「大丈夫、大丈夫。それよか裸族ちゃん。トンネル掘ってると、モグラが最大の敵なんだぜ。オレを食おうとして襲って来るんだ。そういうヤツにはシャベルを縦に持って脳天唐竹割りだぜ!」


コーラフロートやチートスもおごってくれ、勉強そっちのけで虚言を披露する欽ちゃん。


帰り道。


へーちゃんと別れ、欽ちゃんの誘いのままにプラモ屋に入る小生。欽ちゃんは戦艦プラモのウォーターラインシリーズでも高額な、戦艦大和と、空母の赤城を同時購入。


「すげえな、欽ちゃん!」


思わず小声で叫ぶ小生。


「裸族ちゃんの事、気に入っちゃったからさ。プラモおごってやるよ」


ビビる小生でしたが、いちばん安い、日本海軍艦載機セットを買ってもらい、欽ちゃんと別れ、家に帰ってしばらくすると、


「裸族ちゃ〜ん!」


家の外から、へーちゃんがチャリにまたがり、息を切らせて叫んでおります。何やら、ただならぬ雰囲気です。


へーちゃんの話を聞くと、


欽ちゃんが持っていた万札は、欽ちゃんのとおちゃんからくすねたお金で、罰として欽ちゃんはこの炎天下、家の前で立たされてるというのです。

欽ちゃん一家が住む、貧乏長屋のような平屋のアパートに駆けつける、へーちゃんと小生。

戸口を見ると、殴られたのか、ほおが腫れ上がり、うつむきかげんで、たたずむ欽ちゃん。

お金を出し合い酒屋でコーラを買い、家の人にさとられぬよう、そっと近づき、コーラを手渡す2人。


美味しそうにゴクゴクとノドを鳴らして飲み干す、欽ちゃん。


「また、おごってやっかんな」


立たされたぐらいじゃ音をあげない、さすがの大物、欽ちゃんでございました。











最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)





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