見出し画像

肺動脈性肺高血圧症 …って何よ?


唐突な告白で失礼するが、私は難病患者である。

それも結構なりたて。
難病ルーキーとでも言うべきか。言わないべきかもしれない。


とにかく私は今現在難病と共に生きている。多分これから先も。

その病気の名前こそが、「肺動脈性肺高血圧症」だ。


“高血圧”なんてついてるから、
健康診断で「あー血圧高いですねー、ちょっと運動しましょうかー」とか言われて焦る…といったいわゆる生活習慣病の「高血圧」の類と思われてしまいそうだが、
こちらはれっきとした「指定難病」である。

こんな感じでは、まったく無い


現在、この「肺動脈性肺高血圧」の患者は日本国内に約4,000人いるとされている。

日本の総人口は1億2475万人とのことなので、
実に0.00003%の確率を引き当てたことになる。

簡単にいうと、100万人に1人いるかいないかの確率だ。

正直なところ、笑うしかない。
なぜ私がこんなことに。至極真っ当に人生を歩んできたのに。

もしかしたら年末ジャンボ宝くじとか当たっちゃうんじゃない? とさえ思えてくる。

しかし人間とは案外しぶといもので、こんな確率を引き当てたなら、いっそ全部記録に残してやろうと思えてきた。

元々文章を書くことは好きだし、いかんせんこの病気は患者数が少ないから得られる情報も限られてくる。
(実際ネットで病名を調べると「すぐ死ぬ」だの「予後は極めて不良」だの、縁起でもない言葉ばかり並んでいる)

というわけでここまで長々と言葉を並べてしまったが、病気のことや自分の生活のことなどを記録していこうと考えた次第である。




・そもそもどんな病気?


そもそも「肺動脈性肺高血圧症」とはどのような病気なのか。

「肺」という単語が病名の中に2回も登場しているのだから、肺に何かしらの原因があることは明らかだがイマイチ想像がしづらい。

というわけで信頼できるサイトを引用させていただく。

PAHは、肺の細い動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなることにより肺動脈圧が高くなる病気です。

肺小動脈の内腔が狭くなる原因は十分に解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的な要因、その他何らかの環境因子が関与していることがわかっています。
肺の血管内腔が狭くなると、心臓の右側はより強い力で肺へ血液を送らなければならなくなります。
強い力で血液を送り続けると、肺に血液を送る心臓の右側に負担がかかり、心臓の筋肉が肥大します(右心肥大)。すると、心臓の右側の筋肉が負担に耐えきれなくなり、ポンプの機能が低下し、十分な力を出せなくなってしまいます。
これらの結果、全身に血液(酸素)を必要なだけ送れなくなり、全身の機能が低下します。

この通り、肺動脈性肺高血圧症では原因は肺の血管にあるものの、直接的にダメージを受けるのは心臓なのである。

心臓が正常に働かないことがどれほどヤバいことか。

私が身体の異変を感じて病院を受診した時の血液検査の結果に、それは如実に表れていた。

・赤血球の量
・白血球の量
・腎機能
・肝機能
・心機能

これら全ての項目が、正常値から大きく外れていたのだ。

病院を受診したきっかけなどはまた別の機会に書こうと思うが、とにかく初めて受診した時すでに私の心臓はだいぶ弱ってる状態であり、
その結果あらゆる臓器がやられていた、というわけである。

恐るべし、心臓。
恐るべし、肺高血圧症。


・どんな症状があるか


ここまで「結果的に心臓が弱る病気」と書いてきたが、具体的にどんな症状が現れるのか。

もちろん症状には個人差があるので、あくまで私の場合ではあるが、

・動いた時の息切れ
・目眩や失神
・異様に疲れやすい

これらが主な症状だった。

これだけだと「なんだ、案外大したことないじゃん」と思われるかもしれない。
実際のところ、これらの初期症状で「自分は病気かも」と疑う人は少ないようだ。


しかし病気が進行していくと

・階段を1フロア分昇っただけで激しい息切れ
(ひどい時には呼吸困難)
・立ち上がるたびに立ちくらみが起きる
・ぐったりして動けないことが増える
・足が浮腫む

といったように「明らかにおかしい」という症状が増えていく。

しかしこのような症状が出始めた頃には時すでに遅し、心臓は見事に弱りきっている、という次第である。

肺高血圧症の患者は、もちろん症状に程度の差はあるが、
こうした動いた時の息切れをなるべく起こさないようにする生活を余儀なくされる。

とはいっても私自身、現在治療を続けながら病気発覚前とほとんど変わらない生活を送っているので、
そこまで悲観的になるものでもないかな、とは思う。

※あくまで個人の感想です


・どんな治療をしているの?


さてこちらの肺高血圧症だが、「指定難病」の名を冠するとおり明確な治療法は見つかっていない。

たった数十年前までは本当に病気に対して為す術がなく、いわゆる不治の病であった時代もあったようなので
それに比べれば、医療は画期的に進歩している。

だがそれでもなお、この病気を完治させる手段は見つかっておらず、対症療法(症状の進行を抑えること)が中心となっている。

こちらも治療の方法は症状や主治医の方針により人それぞれなので、
あくまで私の場合は

・肺高血圧症に対する内服薬(3種類)
・浮腫を取るための利尿剤

2022年現在これらを毎日服薬している。

この他に、身体にカテーテルの管を通して薬を常に流し続ける、なんて治療法も結構メジャーである。
(これに関してはほとんど知識が無いので割愛)

毎日欠かさず薬を飲まないといけないというプレッシャー、薬の副作用など
健康体だった頃には想像もしていなかった不便を強いられてはいるものの

服薬のみで症状の進行を抑えられている、という現代の医療の進歩には心から感謝しないといけないなと思っている。

服薬治療で済んでいるから、仕事や今まで通りの生活も続けられている訳だしね。


(欲を言えばもうちょい副作用の少ない薬が開発されるといいなー、なんて。関係各位、何卒よろしくお願いします)




ここまで病気のことを書いてきたので、次からは病気発覚までの経緯や検査のことなんかを書いていこうかと。

最初にも書いたように私はこの病気との付き合いもまだ短く、
だからこそ記憶の新鮮なうちに色々残しておきたいのだ。

というわけで次回、


健康優良児、難病患者になる  の巻


乞うご期待。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?