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健康優良児、難病患者になる 〜病名発覚篇〜

※「身体の異変篇」の続きです。


2022年5月 初めての受診


「あんた足むくみすぎじゃない?」

ゴールデンウィークで帰省していた私に母が言った。
そう、4月の中頃から、腰から下の下半身が昼夜問わずパンパンに浮腫むようになっていた。
明らかな心不全症状である。

しかし「浮腫み」というものがあまりに身近だったせいか、
「なんかねぇ、マッサージはしてるんだけど」
なんて返しつつ、おかしいなぁと言いながら浮腫み取りのマッサージをしたり着圧ソックスを履いたりして過ごしていた。

今思うと、朝起きた瞬間から浮腫んでいる時点でそれはもう異常事態だし、この時には体重も普段より10kg近く増加していたのでますます異常である。

ただ、母親に指摘されたことで
「やっぱり私おかしいのか」
とようやく自覚し、帰省から戻った私はついに近所の内科クリニックに予約を入れたのだった。


次なる病院へ


初回は簡単な問診と採血を行い、その結果が出た時のこと。
気の良さそうなおばちゃん先生は眉間に深い皺を寄せていた。

「あなたの検査結果、すごく変なのよ」
と告げられ渡された結果用紙を見てみれば、H(基準値より高い)とL(基準値より低い)のオンパレード。

疑われていた貧血や甲状腺機能の値は正常だったものの、肝機能も腎機能もガタガタなうえ、何よりBNP(心不全の状態を示す値)が500近い数値だった。
正常値は20以下なので、この時点で自分がどれだけ危険な状態にあったのかを考えると恐ろしくなる。


結局そこの内科ではこれ以上詳しくは調べられないとのことで、地域の総合病院を紹介されることとなった。


命の恩人との出会い


紹介された総合病院では、有休を丸一日使って様々な検査を行った。

慣れない採血やらレントゲンやら心エコーやらを恐る恐る行い、看護師さんに車椅子を勧められたことに戸惑い、待合室にひしめくご年配の方々の中に埋もれ、ようやく問診の順番が来た。


プーさんのような見た目で人当たりの良い先生は、問診も早々に私に告げた。

「あなたの病気はね、恐らくこれだと思う」

見せられたメモには、見慣れない文字の羅列。
「肺…動脈性…肺…高血圧…症…??」
「そう。肺動脈性肺高血圧症。指定難病です」
「………指定難病?」

鳩が豆鉄砲を食ったよう、とはまさにあの瞬間のことだったのかもしれない。
あまりに聞き慣れない単語の連続に、脳の理解が全く追いつかなかった。
肺が?なんだって?指定難病?え、パーキンソン病とかALSとかの?てか私、病気なの?もしかして結構やばい?

事態を飲み込めていない私に、プーさん先生は優しく説明してくれた。
指定難病で患者の数もごく少数であること
病気の簡単な概要
今の状態だと早めに治療を始めた方がいいこと
治療をするにはもっと設備の整った大学病院に通った方がいいこと

非常に幸運なことに、プーさん先生は元々、私が現在通っている大学病院にいた人だった。
そして現在の主治医との繋がりもあり、そのおかげで私は驚きの速さで主治医の元に辿り着くことができたのである。

この病気はマイナーゆえになかなか診断がつかず、その間に症状が進行してしまうことも多いようで
そんな中一発で病名を当てて主治医のところへ紹介してくれたプーさん先生は、私にとって文字通り命の恩人であった。


…ちなみにこの後
「○○先生(主治医)が明日来いって言ってるけどどう?」
「あ、明日!?」
「明日の午前中に来てだって」
「わっ…かりました…」
という感じで怒涛の展開が待ち構えていた。そこには2日続けて有休を取る恐怖もプラスされていた。


そして闘病生活へ


かくして「肺動脈性肺高血圧症の患者」となった私は、主治医のもとで現在も治療を続けている。

病気が発覚して何度も考えたのは、「どうしてもっと早く病院に行かなかったのか」ということ。
兆候はいくらでもあった。おかしすぎるくらいに。
その時に行っていれば、重症化する前に手を打てたはず。

だが仮にあの頃の私に「それおかしいから病院行きな」と言ったところで、恐らく聞く耳は持たなかったとも思う。

一人暮らしで、貯金もまだそんなに無くて、仕事も毎日あって。
息切れするくらいで、ちょっと体調が悪いだけで、病院なんか行ってられない。こんなのただの運動不足。もしくは栄養不足。
そう言って結局先延ばしにするのだろう。

だからやはり周りの人が異変に気づいてあげることが重要で、そのためにはこの病気の認知度がもっと上がらないといけないなと思う。

一患者の自分にできることなんて限られているけど、まあ備忘録がてらこういう発信をして、あわよくば病気の認知度が上がればいいなという次第。
そのためにはもっと更新していかないとなんですけどね。

とりあえず発覚の経緯という書きたかったテーマは書けたので、あとは検査入院のことなんかをつらつら記録していこうかな。

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