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「ジャイビーム」の意味とは? What does 'JaiBhim' mean?

現在撮影中の映画の仮タイトルとして使っている『ジャイビーム!』。インドロケ中のヤスくんも、挨拶だったり締めくくりだったりでよく使ってるこの言葉。その意味についてヤスくんに解説してもらいます。


ジャイビーム!!

インドの中央都市ナグプールでは、朝からインド人同士がこんな言葉で挨拶を交わします。「ジャイビーム」とは、主にインドの仏教徒たちの挨拶の言葉。日本語では何だか光線を発するような印象ですが、あながち間違いでもありません。


3000年以上に渡ってインドの根底にまで染みついたヒンズー教におけるカースト制度、それは制度という名の、脈々と続いてきた終わりなき差別の歴史でもありました。そのそびえ立つカースト・ピラミッドに亀裂を入れるが如く、カースト差別の禁止を謳い、インド憲法に記すという歴史的変革の1ページを刻んだインド人がいました。
彼の名は「ビームラーオ・アンベードカル」。


アンベードカルの名は、教科書では決して出てきませんが、生涯あのガンジーのライバルとして、ガンジーが黙認したカースト制度に対して体を張って、真っ向から立ち向かった(故意的に隠された)偉人です。


彼もまた「不可触民」という、生まれながらに虐げられた存在でありながら、命懸けの勤勉な努力と、屈しない行動力で政治家へと這いあがり、独立後インドの初代法務大臣にまで上り詰めました。


彼の放ったペンの力は、ヒンズー教でありながらカースト階級に入ることすら許されなった、アウトカ―スト「不可触民(ふかしょくみん)」というインド人口4分の1を占める、奴隷のように扱われていた人たちの何かを目覚めさせました。


そして、人間たる尊厳を取り戻すために、ヒンズー教から仏教に改宗する大きな運動が、アンベードカルを中心にナグプールの都市で行われたのです。今から約60年前のことです。

「ジャイ」は万歳、「ビーム」はアンベードカルの名。
アンベードカル博士の存在と行動は、虐げられた人たちにとって、人間として生きるための微かな光になり、大いなる勇氣となりました。


アンベードカル亡き後、その遺志は時空を超え、日出る国からインドの大地に現れたひとりの僧侶に引き継がれることになります。路頭に彷徨う人々の新しい光となり、今もインド民衆から多くの尊敬を集めている、佐々井秀嶺上人その人です。


ずっと続いてきたカースト差別は今日もインド社会のあらゆる場面で残っていますが、そんな現実にも立ち向かい、人として生きる希望の光(ビーム)を称えるかのように「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「さようなら」「ありがとう」といった様々な場面での掛け声として、今日もインド仏教徒たちの間では「ジャイビーム」が使われています。

ジャイビーーーム!!!

(by ヤス)

(佐々井秀嶺上人写真撮影:山本宗補)



ドキュメンタリー映画『ジャイビーム!(仮)』絶賛撮影中です!


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