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【格闘技とプロレス】 統失2級男が書いたエッセイ

僕は小6の時には祖母から、「プロレスは芝居だよ」と聞いていたのだが、当時はそれが信用出来ず暫くはテレビによるプロレス視聴を続けていた。しかし中2くらいになると「やっぱり芝居だよな」と思う様になり、プロレスから離れる事となった。そんな僕だがリングスという団体の事だけは、19歳頃まで真剣勝負だと思っていた。とは言ってもリングスの試合はレンタルビデオで1度見ただけで、つまらないと感じファンになる事はなかった。僕がリングスの八百長に気付いたのは『格闘技通信』という雑誌に拠るもので、この雑誌には「リングスは八百長」とストレートな文章が載る事はなかったが、抽象的な文章と構成でリングスは八百長と窺わせる誌面作りは行われていた。『格闘技通信』を購読していた目的はリングスの記事を読む事ではなく、アルティメット大会とグレイシー一族の記事を読む事であり、当時の僕はこの2つに夢中になっていた。少し説明すると、アルティメット大会とは制限の少ないルール下で男たちが戦うアメリカで生まれた真剣勝負の格闘技団体の事で、グレイシー一族とはその大会に出場していた、ホイス・グレイシーという男の一族の事だ。グレイシー一族の多くはブラジリアン柔術という格闘技をやっており、今日、世界中にブラジリアン柔術が普及したのは、グレイシー一族の功績と言っても過言ではない。グレイシー一族とは本当に偉大な人々なのである。さてここでプロレスに話を戻すと、ファンを辞めた時、僕はプロレスに対して悪い感情は一切持っていなかった。しかしその後、アルティメット大会やグレイシー一族に向かって、ファンを含むプロレス界の人間たちが罵詈雑言を浴びせているのを見て、僕はプロレスの事を不快に思う様になり、更にその後、プロレスラーたちが
VTやMMAと呼ばれる格闘技の試合で、八百長を行っているのを見て、僕のプロレスに対する怒りは沸騰した。また、アルティメット大会批判やグレイシー一族批判ほど活発では無かったが、一部のプロレスマスコミはこちらも、旗揚げ以来一貫して真剣勝負に拘っていた修斗という日本の格闘技団体の事も批判していた。当時のプロレス界の人間たちは、真剣勝負に対して強烈なコンプレックスを抱いていた様である。あの時代の日本のプロレス界は卑劣以外の言葉では言い表せないほど歪んでいたと思う。この様な事情があり僕はずっとプロレスを嫌悪していたのだが、ネットにプロレス批判を書き込み続けている内に、ガス抜き作用が発生したのか、今ではプロレスに対する怒りも、だいぶ沈静化してしまった。とは言っても「あいつ等(全日本プロレス)は見せる為の稽古をする。うち等は真剣勝負の為の稽古をする」と言っておきながら、新日本プロレスで八百長をやりまくっていたアントニオ猪木や、「リングスはプロレス団体ではなく、格闘技団体」と言っておきながらリングスで八百長をやりまくっていた前田日明や、「UWFではプロレスをやっていたが、PRIDEでは真剣勝負をやっている」と言っておきながらPRIDEでも八百長をやりまくっていた高田延彦には、今でも悪い感情しか持っていない。現代のプロレスラーたちが自分のやっている命懸けの肉体芸術を『八百長』呼ばわりされたくないと言うのなら、猪木、前田、高田の3人を反面教師にし、一刻も早く団体の社長に記者会見を開かせ「プロレスは筋書きのあるショーです」と宣言させるべきだろう。真剣勝負を装ってやらせを行うから八百長と呼ばれるのであって、最初から筋書きのあるショーと明言しておけば、八百長という指摘は的外れになる。今の時代にプロレスを真剣勝負だと思っているのは、小学生と一部の中学生くらいなものだ。そして小学生や中学生はプロレスの主要な客でもない。従ってショー宣言したところでプロレス界のダメージは微々たるものだろうし、逆に曖昧でダーティーなイメージが消え去って新たなファンが増えるかも知れない。「プロレスは超人たちによる命懸けのスタントショー」プロレスラーたちは、こう言って胸を張りプロレス道に邁進して行けば良い。そして最後に格闘技界の事を少し書いておくと、UFC(アルティメット大会)でも過去に1試合だけ八百長があった事が発覚している。しかし、それは運営が関与した八百長ではなく、選手同士が勝手に企図した八百長だった。真剣勝負に拘り続ける格闘技界の良心と言っても良い2つの団体、UFCと修斗の運営が八百長に関与する事は、これまでも無かっただろうし、これからも無いだろう。しかし選手同士が勝手に行う八百長までは、残念ながら完全には防げない。格闘技界は八百長を行った選手に強力なペナルティーを与えて、八百長の発生を抑えて行くしかないのだ。すっかり長くなりましたが、この辺りで今回は終わりにしたいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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