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記事一覧

【通信講座】 小説「闘う中学生」 講評

【通信講座】 小説「闘う中学生」 講評

平易で簡潔な文体に好感を持てないでもないが
ただ表現が稚拙なだけだった。
登場人物の行動理念が一貫せず、主題がなんなのかも読みとれない。
主人公「竜彦」に共感することなどできず、ヒロイン「姫香」にもまったく魅力を感じない。
『天気の子』の影響で「拳銃」を出したくなったのだろうが、引用元と同じようになんの必然性もない。

『オフィーリア』の描写にだけ、多少の個性を感じられそうだったが、なんの象徴なの

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【通信講座】 小説「バーマリモ」 講評

【通信講座】 小説「バーマリモ」 講評

抑制のきいた、おだやかな文体は
おさない子供に語りかけるようで
そのゆったりとしたリズムが心地よくないこともない。

 

人物造形が表面的で
全員、常識的で良識円満ないい人たち
でしかない。
特に「マリモちゃん」は男である必然性もなく
必死に魅力を伝えようとしているが
まったく成功していない。
なぜ語り手と「晴彦」が好意を持つのか理解できない。
というより
その好意が、小説で表現する価値のある

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【通信講座】 小説「今年は父の七回忌だった」 講評

【通信講座】 小説「今年は父の七回忌だった」 講評

(作者より)
これはエッセイで小説とはいいがたい気もするのですが……提出させていただきます
アドバイスいただけるのならば「文章の牽引力」、つまりとりあえず最後まで読んでいただける力が欲しいので、そこをご指導いただけますれば幸いです

よくまとまったエッセイで
「文章の牽引力」というより、なんらかの魅力があるというより
安全運転で、定型を守り、傷がないことで
ストレスなく最後まで読ませる。

ベスト

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【通信講座】 小説「反戦歌」 講評

【通信講座】 小説「反戦歌」 講評

抑制がきいた
きわめて淡い、水彩の小品。
語り手のあやうい潔癖さ、離人症めいた
冷酷なまでに即物的な描写が一種の個性になっている。
マチエールの存在感とキャンバスの平面性があからさまな静物画のようで
ひとつひとつの事物、行動はなんらかの象徴であるのか
理解しようとするたびに突き放され、語り手と同じ孤独を味わわされる。
ねらって書けたのか
偶然の産物か
よく分からない。
タイトルは石川淳『マルスの歌

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【通信講座】 小説「なぜ、どこまでも僕。」 講評

【通信講座】 小説「なぜ、どこまでも僕。」 講評

砂を噛むような味気ない文体。
この作者だけの表現など薬にしたくもなく、
あたらしい人間性への視角を欠いた、退屈至極な小品。
ゲイの少年の内面を書くだけで小説になると思っているなら
大いなる勘ちがいというべきで
着想の段階ですでにつまらないことに気づくべき。

(作者より)①単なるポルノとなってしまっているかどうかポルノとしての精彩も欠けている。
なにかに似ているとしたら
習作めいているとしか言えな

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【通信講座】 小説「克服」 講評

【通信講座】 小説「克服」 講評

https://ncode.syosetu.com/n0952hn/

迷ったが
個性そのもののような、この作品を評価しないのは嘘なので
辞退されなければ
第7回 川光俊哉賞 佳作をさしあげたい。
 
何者?

 
 僕が野球選手を好きな理由は、日々、感覚を維持しようとしているからだ。勝った時の感覚、ホームランを打った時の感覚、いい曲がり方をしたカーブを投げた時の感覚。再現性。肉体の感覚と精神の感

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【通信講座】 小説「幸福な子ども」 講評

【通信講座】 小説「幸福な子ども」 講評

18/43 まで読んだ。
(まだタイトルの意味は分からない)
31,325文字の短編。
垂れ流しの感動と繊細な叙情のあやういバランスで
生き生きとした描写がたのしげに踊り、しずかに瞑想し、いまにも咆哮しようとしている。
辞退されなければ
第6回川光俊哉賞をさしあげたい。

(作者より)
とくにアドバイスいただきたい点は、物語として成立しているか、です。後半がとくに読みにくくなっている感じがして、そ

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【通信講座】 小説「ハッピー・メリー・ナイト」 講評

【通信講座】 小説「ハッピー・メリー・ナイト」 講評

掌編。
内容はなく、文体のみがある。
その文体も村上春樹のへたなパスティーシュでしかない。

 僕は彼女が良く眠っているのを確かめてから、サンタ・クロースを縛っているロープを切った。ロープを丁寧にほどいてやると、サンタ・クロースは少し驚いた顔をしたけれど、すぐに窓を開けて飛び出していった。 窓の外から小さな鈴の音が聞こえた気がするけれど、そんなことは僕にはどうでもよいことだった。

「僕」と「彼女

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【通信講座】 小説「白い父の話」 講評

【通信講座】 小説「白い父の話」 講評

着想は凡庸で
あたらしい視角など薬にしたくもないが
小川のように清冽で、なめらか、かつ淀みない
精彩に富んだ文章。
これだけ書ける人が
なぜつまらない思いつきに固執するのか分からない。

(作者より)
・「父」が狛犬であったことが文面から伝わったか。(オチになっているかどうか)
・今後、より長いものを書くうえで私に必要なこと。
・早急に改善すべき点があればいくつでも。の、三点をおうかがいしたいです

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【通信講座】 小説「関係」 講評

【通信講座】 小説「関係」 講評

https://ncode.syosetu.com/n5869hk/

凡庸なプロレタリア小説かと思ったが
描写は生動し、感傷ならぬ叙情が奔逸している。

何者?

辞退されなければ第5回川光俊哉賞佳作をさしあげたい。

(作者より)
こういう書き方を続けていいのか、もっと大きく変えていく必要があるのか、変えるとしたらどういった部分か、小説をこれからも書いていきたいので、教えて頂けると幸いです。

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【通信講座】 小説「とある昭和」 講評

【通信講座】 小説「とある昭和」 講評

具体的なエピソードが
ていねいな描写で展開され
とてもいいエッセイだと感じる。
しかし、小説ではない。

(作者より)
はじめまして
僕は日本語はおかしいと言われるのですが
そういうのをアドバイスとかなど
お願いしてもいいのですか文法的におかしいところは発見できなかった
あるいは、発見できなくなるくらい没頭できるエッセイだった。
しかし、小説ではない。

【通信講座】 小説「彼と彼女の好きなもの」 講評

【通信講座】 小説「彼と彼女の好きなもの」 講評

【通信講座】 小説「嘘をつく女」 講評で
https://note.com/toshiyakawamitsu/n/n559acc88d18e

ありふれたカップルのありふれたやりとりをスケッチしたにすぎない。
「嘘」が絶望的につまらない。
よって、「美々子」になんの魅力も感じない。
落とし話にもなっていない。
なにを読まされたのか分からず、気味が悪い。

(作者より)
構成も「葛藤」も、なにもない

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【通信講座】 小説「嘘をつく女」 講評

【通信講座】 小説「嘘をつく女」 講評

ありふれたカップルのありふれたやりとりをスケッチしたにすぎない。
「嘘」が絶望的につまらない。
よって、「美々子」になんの魅力も感じない。
落とし話にもなっていない。
なにを読まされたのか分からず、気味が悪い。

(作者より)
構成も「葛藤」も、なにもないように思います。そう思う。
凪いだ海にも詩情はあるのに
情緒も興趣もまったくのゼロであるとは信じがたい。
気味が悪い。

【通信講座】 小説「論理学」 講評

【通信講座】 小説「論理学」 講評

おもしろい。
タイトル、中国人の新人、ペットのハル、母、妹、
さまざまなイメージ、主題が錯綜して個性的な紋様をえがく。
しかしながら、散漫な印象を受ける(中華料理屋など)。
ラストで収束せず、散漫なままに終わってしまった。

おそらく無意識にイメージが浮かぶままに書いている。
特にタイトル「論理学」は作品のなにを象徴しているのか分からない。
イメージの数をしぼり、ばらばらにちらかすのではなく
深く

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