UXとUXデザインの概念

はじめまして。デザイナーのSasaki(@toshiyassk)です。

Fintech企業ではたらきながら、UXデザインやサービスデザインを軸とした研究をしたりしています。

先日会社でUXについての勉強会(初心者向け)をさせていただく機会があったので、UXとUXデザインの概念についての資料の一部を記録しておきます。(参考文献に基づいた内容ですが、表現を変えている部分もあります。)


UXとは?

UXの定義にはさまざまなものがあるが、決定的な一つの定義はない

2010年に世界のUX研究者30名によってUXの定義について議論され、UXを一つに定義する代わりにUXをとらえる視点が明確にされた。
27件のUXの定義が All About UX に掲載されている。


UXをとらえる3つの視点

① 主観的評価

ユーザーが製品やサービスを使った体験を通して、結果としてどのような認識をし、どのような感情や評価を抱くか。

② 消費者とユーザーの連続性・一体性

人は製品やサービスを使う前の段階では「消費者」であり、それらを使う段階になると「ユーザー」となる。名称が違っても同じ人間の体験であり、製品やサービスを使う前の段階も使う段階と同様に扱う。

③ 時間的・長期的視点

ユーザーと製品やサービスとの関わりは一時的なものだけではなく、長期的に使う経験のすべてがUXの範囲となる。


UXの3つの要素

① Context:文脈
文脈が変われば、同じ製品やサービスであっても得られるUXは異なる。
例えば、同じビールでも、夏にテラスでみんなでビールを飲む体験と家で一人でビールを飲む体験は異なる。

② ユーザー
ユーザーの感情、モチベーション、気分、期待、行動などがUXにとって重要になる。

③ システム
システムの見た目、ブランドイメージ、機能性、インタラクションの動作などがUXにとって重要になる。


UXっぽいけどUXではないもの

UI(User Interface:ユーザーインターフェース)

UIはユーザーが接するプロダクトの画面やボタンなどのことであり、UIはUXに影響する。アプリの場合は画面で得られるUXに焦点があたりやすいため、UI/UXという言い方をされることがある。

ユーザビリティ

ユーザビリティは「製品、サービスが指定された利用者によって、指定された目標を達成するために用いられる際の、指定された利用の状況下における有効さ、効率、満足度の度合い」であり、UXに影響するが同義ではない。


そもそも「ユーザー」とは?

狭義のユーザー:製品やサービスの利用によって便益を得る個人またはグループ
・直接ユーザー:製品やサービスと直接的に相互作用する人
・間接ユーザー:製品やサービスと間接的にその出力を受け取る人

広義のユーザー(ステークホルダー):製品やサービスに関連する多様な人を対象とする
・サービスを提供する人
・サービスの提供をサポートする人
・サービスを運営する人


UXとUXデザイン

UX
ユーザーの主観的なもの。

UXデザイン
デザインの対象を限定せずに、理想のUXを実現するための手段。


なぜUXをデザインするのか

ユーザーにとっての本質的な価値を提供するサービスをいかに実現するかが企業にとって重要になり、ユーザーにとって価値のある満足度の高いサービスは、ユーザー数や継続率などのビジネス的な目標の達成にもつながる。
しかし、理想のUXを実現するためのデザインプロセスと意思決定は別次元である。


おわりに

今回の勉強会では、あいまいで捉えにくいUXとUXデザインの概念について整理することを主なテーマとしたので、今後はプロジェクトやチームの状況に応じてワークショップなどもやっていけたら良いなと思います。


参考文献

UXデザインの教科書
人間中心設計入門
人間中心設計の基礎
UX白書(日本語訳版)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?