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ガラスの天井指数 GCI 2020(国際女性デーに寄せて)

英国エコノミスト誌が毎年、国際女性デーのこのタイミングで発表する「ガラスの天井指数Glass Ceiling Index (GCI)」が今年も更新され、今年はスウェーデンやフィンランドを抑えて同じ北欧のアイスランドが首位となった。日本は男女のキャリアの平等については最下位から2番目の相変わらずの不名誉な位置づけである(最下位は韓国)。安倍政権の下で女性活躍推進法が制定されてから5年になるが、少なくとも外部から評価されうるほどの成果は見られていないようである。

GCIはOECD加盟国でもある先進29か国において、女性が男性と比べて職場においてどれだけ平等に扱われているのか、ということを表現した指数である。「ガラスの天井」というのは、ウィキペディアによれば「資質又は成果にかかわらずマイノリティ及び女性の組織内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁」のことだそうである。例えば日本には男女雇用機会均等法なる法律が存在し、職場において性別を理由にした差別が禁止されている。にもかかわらず、この最新のGCI 2020によれば日本企業において女性管理職は管理職全体の14.9%に過ぎない。このように、制度上の明確の障壁が無いにもかかわらず、現実には女性が職場において活躍すること、特に昇進することが妨げられているように見えること、あたかも目に見えないガラスの天井があってそれより高く女性が出世できないように見えることを「ガラスの天井」と呼んでいる。ちなみに、英語では出世のことを「会社のハシゴをのぼるclimb the corporate ladder」という表現を使ったりするのだが、このハシゴをこれ以上、のぼれなくなるということで、ガラスの天井という表現が使われるのである。

さて、エコノミスト誌によれば、今回首位を飾ったアイスランドにおいてはまずは女性に対する教育が優れており、全女性国民の半数以上が学士以上を保有しているとのこと。さらには2013年には企業の取締役の40%以上が女性でなければならないことなどを定めていることから、女性取締役が全体の45.9%と半数近くに達していて調査国中1位。女性管理職も41.5%で2位、MBAの登竜門たるGMAT試験の受験者数も半数が女性である。

一方の日本はどうか。GCIは以下の10個の要素を総合的に評価したものであるが、それぞれについて以下に見てみよう。

高等教育

最下位から7番目ながら、日本では高等教育における女性の成績は男性よりも1.8%優れている。つまり女性の方が学業成績は優秀なのである。

労働参画率

最下位から6番目、日本では女性の就労率が男性よりも14.8%低い。

賃金格差

最下位から2番目で、日本では女性の賃金が男性よりも24.5%低い。ちなみに最下位は韓国で、その男女差は34.6%である。

管理職

最下位から3番目、全管理職中14.9%が女性である。ちなみに最下位は韓国、2番目はトルコである。

役員

最下位から2番目、全役員中8.4%が女性である。ちなみに最下位はやはり韓国で3.3%の役員が女性。

GMAT受験者数

最下位。24.8%のGMAT受験者が女性である。

国会議員

最下位。すべての国会議員のうち10.1%が女性である。

育児費用

最下位から5番目。総育児費用は平均賃金の35%を占める。

女性の育児休暇

上から9番目。女性の有給育児休暇は35.8週取得できる。

男性の育児休暇

第1位。男性の有給育児休暇は30.4週取得できる。

どのような感想を持たれただろうか。私のそれを一文でまとめるとすると以下のようになる。

日本の女性は本来は優秀であるにもかかわらず、有形無形の様々な障壁に遮られ、活躍の機会を奪われているだけでなく価値的にも低く評価されているが、女性自身も総体としてはそれに甘んじていることを良しとしている。

厳しいだろうか。私が常々申し上げているのは、日本の女性が社会的に活躍できていない一番の理由は男性にあるが、二番目の理由は女性そのものにあるということだ。いわば女性の側の態度が、男性に既得権益を守らせる口実を作っているのだと思う。例えばGMATの受験者数。日本は一流MBAの保持者が多いとは言えないが、女性はとりわけ少ない。なぜMBAを取って世界で通用する人材になりたいと思わないのか。日本人が世界で活躍できない理由は明白で、それはコミュニケーション能力ということに尽きる。それを克服するもっとも効果的な手段は海外の一流MBA取得なのだ。なぜそれをしないのか。それは、女性の側がキャリアについては、まあそこそこでいいと思っているからだ。女性にも野心的であってほしい。なぜなら、会社というのは出世or die、役員になれるかなれないかが全てだからだ。だから、女性も会社に勤める以上は役員になることを目指すべきだ。そうでなければ、起業を目指すか年金も含めた退職後の保証が厚い公務員になるべきだ。民間企業にいる以上、ぬくぬくとした安定を求めてはいけない。なぜなら、21世紀の日本企業にはそんなものは存在しないからということと、リタイアしてからの人生が特に女性は長すぎるからである。忘れてはいけないのは、役員になれなければ50過ぎで減給、60過ぎで事実上クビになるのが役員でない会社員の定めだということだ。人生100年時代に、そこそこでいいと思っている会社員の晩節はどのようなものになるのか。

もう一つ気になるのは、専業主婦=勝ち組の構図がキャリアを追求したい女性の足を引っ張っているということである。これだけ世の中に、専業主婦の惨めさに関する情報が満ち溢れているというのに(専業主婦は事実上の奴隷だ)いまだに「私は古風な女なので家庭に入ります」などとこいているアホ芸能人がいて、退場するなら静かに去れよなといつも思う。そういう諸々が労働参画率の低さに表れている。日本には富裕層が100万人いるそうだが、日本人の良いところはそういう連中が表に出てきて他の人の劣等感を駆り立てないところだと思っている。専業主婦なら専業主婦でもいいから、静かにしていてほしい。そもそも専業主婦になりたくてもなれない人もいるのである。

私が常に言っていることではあるが、日本の優秀な女性には、今自分がいる環境を改善しようなどとは考えず、自分にとって都合のいい環境を探して移動することを考えてほしい。こういう数字を見て、特に賃金が男性の3/4しか出ず、会社役員はおろか管理職になることが事実上できないというこの日本の現状を見て、さっさと日本を見捨てて海外に行ってほしいと思う。間違っても、日本のこの現状に変革をもたらそうなどと考えてはいけない。先ほど申し上げたことと矛盾するようだが、それをするためには人生は短すぎるのである。では具体的には、移動できるようになるためには何をすべきか。私のおすすめは、繰り返しになるが海外の一流MBAの取得である。日本の女性は世界的に見ても人気No.1。そのチャームが生かせるのは海外の労働市場なのであって、決して世界的にも不人気な日本の男性の下で専業主婦という名の奴隷としてかしずくことではないはずだから。

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