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Sapporo Game Campから見えた2022年のゲームジャム

10月22日(土)〜23日(日)に札幌を拠点とするゲーム会社8社と札幌市で「Sapporo Game Camp」を合同開催しました。
小中高生向け「ぷよぷよプログラミング講座✖eスポーツ体験会」と、専門・大学生・社会人が参加する「ゲームジャム」の同時開催で、全年齢対象でゲームの開発からプレイまでの全ての体験が一堂に会したイベントです。

開催企業の一社である(株)セガ札幌スタジオの社外取締役をつとめていることもあり、今回久々にオンサイト(現地)開催のゲームジャムの運営と司会/ファシリテーションに携わったので、オンサイト開催できなかった数年で何が変わって、何が変わらなかったか共有します。

ゲームジャム?

短時間でソフトウェア開発を行うイベントを「ハッカソン」と呼びますが、ゲームに特化したハッカソンが「ゲームジャム」です。
2009年から毎年開催されている「Global Game Jam」(GGJ)は、100カ国で4万人が48時間での開発を楽しんでいます。

ところで、IGDA日本が東日本大震災からの人材育成による産業復興支援を目的に開催した「福島GameJam」などの運営の他、ジャムの企画段階を参考にしたアイデアソンワークショップの研究を大学院でしてきました(こちらに掲載の2019年度文部科学省事業報告書に論文等が掲載されています)。
しかし、この数年は人が集まるイベントは困難で、ゲームジャムやワークショップは断念しており、開催に携わるのは久々となりました。

変わったこと

"盛り上がれば盛り上がるほど地味"の加速

ゲームジャムでは、アジャイル的開発手法が多く用いられます。

  1. ブレインストーミング / 企画

  2. 制作 / 素材・プログラミング

  3. チーム内フィードバックや中間プレゼンテーション

  4. 具体化・詳細化を進め2に戻る

  5. (時間切れで)開発完了

デジタル付箋を活用

ブレストで徹底議論すると各素材制作・プログラミングに集中していくので、制作が盛り上がるほど黙々と地味化していきます。
また、ブレストでよく用いるツールとして今回は付箋を用意しましたが、最初こそ付箋を使ったチームも、早々にデジタル付箋(Google Keep)に移行し、コミュニケーションもチャット(Discordなど)に。
リモートワークなどでデジタルツールを常用している恩恵とはいえ、この"盛り上がれば盛り上がるほど地味"の加速は、見学者にも興味を持ってもらいたいイベントでは、ますます頭を悩ませるところです。

ノウハウの断絶

ゲームジャム参加者は楽しさに駆られてまた参加するので、開催毎にジャム向けのノウハウが蓄積・継承されていくのを、これまで多く見てきました。
しかしながら、オンライン開催のみで参加者が激減した数年の間にノウハウ継承が途絶してしまった模様。
とはいえ、この断絶は必ずしも悪いことでもなく、新たなスタンダードが再構築される機会でもあると期待しています。
ちなみにプレゼンテーションでのアピールについては別記事に書いたので、そちらをどうぞ。

変わらないこと

ゲームジャムの運営もジャム

ゲームジャムは、それ自体楽しむもので、時間やテーマ縛りといったルールに基づくゲームでもあります。
ゲーム性を持ったイベントをどう盛り上げるかは運営チームの企画力が試されます。
今回も運営チームの各社楽しみつつ、GGJ札幌会場、SEGA Game Jam、福島GameJamという異なるジャムの運営経験者が揃ったのも幸いして、「できる人ができることをやる」ジャムらしいスタイルで、準備から運営まで常に最善が尽くされました。

"つくる"は楽しい

今回はプロゲーム開発者2人+主に専門学校生・大学生5人の7人で、プログラマ、デザイナー、プランナー各若干名を基本としてチーム編成しました。
開会式では、参加者自身ですらつくれるかわからないという意見が多数だったものの、32時間後の最終発表会では全チームのゲームが動いていました。
また、ゲームジャムそのものを準備・運営するプロセスも、運営チームにとっては、つくるプロセスそのものです。
ゲームに限らず、0から1をつくりあげるプロセスの言いようのない楽しさは中毒性があり普遍です。

ゲームジャムをこっそり見守るソニック

おわりに

というわけで、間もなく2023年1月下旬開催のGlobal Game Jamの情報がアナウンスされます。
これを読んで興味が湧いたら是非!

※プロフィールとかはこちら↓


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