『なけなしの創作心』

なけなしの創作心をこねくり回して
私は私を生きた気になる
白い紙粘土を練った思い出を
いつまでも大切にしているようだ

乾ききった絵筆を
目の前へ持ち上げて
かつては彩だった汚れを眺める

こんな筈ではなかったのに
もっとこうなる筈だったのに
なるほどこれが怨嗟というものか
確かにこの毛先に乗っているものに似ている

白は灰に
白以外は黒に
これは濁りや淀みではなく
また廃りや腐りでもない
ただこの世の全てに運命付けられた変容を
聞こえの良い言葉では経験と成長を
直視できない故の錯覚に過ぎない

何かと交じった
何かが混ざった
何かへ紛れた
何かに巻かれた
元々なけなしの創作心を振り絞って
私は私を作り上げた気になる
拙い成形も不適当な彩色も
全てわたしらしさだと宥めすかして

白は今も白のままで
灰も黒も見て呉れの話
これは真理や説教ではなく
また強がりや心構えでもない
ただ埃や煤を含んだ油が
聞こえの良い言葉では経験と成長が
私の目を曇らせているに過ぎない

それすら希望的観測なのだろうけれど

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