【ショート・ショート】貴宅部員の日常ー副部長の独白ー
大貫のぶっちゃけ話に一瞬凍りついた荒井が我に帰った。
「えっと・・・、じゃあ、気を取り直して。副部長を紹介するわ。真夏、私の隣に来て」
荒井は、そう言いながら、離れたところに佇んでいる副部長の腕を掴んで春香の近くまで連れてきた。
「真夏、自己紹介して」
「あ、はい・・・。副部長の米原真夏です・・・」
小さい声で、ゆっくりとした喋り方だ。おどおどしているわけではなく、春香の目をまっすぐ見て話してる。
「真夏、あなたも3年でしょ?」
「ええ・・・。おっしゃるとおり、私は3年です」
「よろしくお願いします」
春香は頭を下げた。
「あ、はい・・・」
「真夏、あんた副部長なんだからもうちょっと気が利いたこといいなさいよ」
「そうね。ごめんなさい・・・」
米原は、そう言った後、春香をじっと見たまま数秒沈黙した。
(え、え、何?私をじっと見て黙らないで)
「ちょっと、真夏!あんた、また違う世界に行ってたでしょ?」
「あ・・・。家で紅茶飲みたいなぁって思ってました。そういえば、家の冷蔵庫にショートケーキがあったなぁって。ショートケーキ美味しいわよねぇ」
(マジか・・・)
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