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映画『1秒先の彼』 | 一途な恋をあっさり見せる【時差】ラブストーリー

この映画が気になったのは、脚本がクドカンだからでも、

監督が『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘だからでもなく、

私の好きなタイムトラベルっぽい要素がありそうだったからです。
タイムトラベル系、大好き!


さて、『1秒先の彼』のあらすじはこちら。

郵便局の窓口で働くハジメは、何をするにもとにかく1秒早い。記念写真では必ず目をつむり、漫才を見て笑うタイミングも人より早い。街中で路上ミュージシャン・桜子の歌声に惹かれて恋に落ちたハジメは花火大会デートの約束をするも、目覚めるとなぜか翌日に。“花火大会デート”が消えてしまった…!? 秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくる、何でも1秒遅い大学7回生のレイカ。
ハジメとレイカのふたりの異なる視点から描かれる、「消えた1日」をめぐる物語。

「消えた1日」……。
タイムトラベル的な要素がプンプンするぞ!
しかも脚本はクドカン、監督は山下敦弘(『天然コケッコー』も好きです。かわいい映画でしたよね)。
絶対よさそう!!!

ということで、1週間の癒しの時間、子供を寝かしつけた後の至福の時間、土曜の夜にprime videoで見ました。


クドカンにしてはめずらしくリメイク!
と、思ったらリメイクは初めてらしいです。そうですよね、イメージないですもんね。
というか、原作もののイメージもあんまりないです。クドカンと言えばやっぱりオリジル。

映画『GO』がクドカンの脚本だったと後から知った時は驚きました。クドカンと聞いて想像するような雰囲気じゃなかったので、クドカンは『GO』みたいなのも書ける上で現在の「クドカン」というジャンルを書いているんだなと思いました。
普段オリジナルであんなにクドカン色が強い人たちを描いているのに、原作の根幹をぶらさずにまとめることもできる。
今回はまさに後者のクドカンでした。


『1秒先の彼』は、台湾映画『1秒先の彼女』(2020年)のリメイク作品ということで、おそらくその空気感的なものは残すことを前提に書かれたんじゃないかなと思います。
(あ、すいません、私台湾映画『1秒先の彼女』は見てないので全部、想像です。)


前半は正直ちょっと我慢の時間です。
私はもう「消えた1日」が気になってたんで、早くそのくだり来ないかな〜とウズウズ。

ポスターはどどんと岡田将生と清原果耶の2人が出てるのに前半の岡田くん視点ではほとんど果耶は映らず(見切れてる感じ)で、リメイク元も『1秒先の彼』の詳細のあらすじも見てなかったんですけど、絶対後半は果耶視点だなと思いました。
早く……早く果耶視点をください!!!!!

ということで後半は果耶視点。
ここからネタバレになっちゃうので、観てない方はご覧になってからどうぞ!


……もうご覧になってない方はいないですよね?
はい、では観た者同士の会でよろしくお願いします。




普通に時間止まるんすね!



いやー、びっくりしました。
しかもそれに気づいた果耶が取り乱さないんですよ。あ、なんかみんな止まってる……くらいのテンションです。
そんな中、時間が止まってることにちゃんと取り乱してる荒川良々登場。荒川良々は岡田くんが乗ってるバスの運転手です。

岡田くんパートで岡田くんは変な女に見事にお金をせびられてて、見てるこっちは「何そんな嘘信じてんだよ!病気の家族がいてお金足りない、バイト掛け持してるってもう詐欺のテッパンじゃねーか!!!」って感じでしたけど、それより問題なのは40万もの大金をバスの中で札束数えて、しかもズボンのポケットにしまったとこですよね。
いや、お前どんだけ危機感ないんだよ!世の中変な奴いっぱいいるからな?!後ろの奴すろうとしてるぞ!ズボンのポケットに40万入れんな!!!!と岡田くんのほっぺたを引っ叩きたくなりました。


まぁ、時間が止まったお陰で盗まれなくて済みましたけどね。よかったですよ。40万あったらめっちゃいいバック買えるし(あ、そんないいやつ持ってないです)、子供の歯科矯正の足しになるし(マジで高すぎます……なんで保険きかないんですか?)、ちょっといいとこに2、3泊できるし(旅行は出発した瞬間からすでに寂しくなり始めるタイプです)、盗まれなくてほんとによかったです。


にしても設定がすごいですね。
ワンテンポ遅い人たちは神様から1日プレゼントされるって、そんなことがあったら世界中大パニックになっちゃうなって考えて却下しちゃいそうな設定。
でも、時間が止まらなかった3人は時間が動き出した後も止まっていた時間について周囲に何も語らなそうだし、そういう人たちだからこそ、ワンテンポ遅くて、神様から「1日あげようかな」と思ってもらえるのかもしれないです。
ちなみに確認ですけど、岡田くんだけ1日消えたのは、岡田くんがワンテンポ早く生きている分、反対に1日神様に取られちゃった?ってことでいいんですかね?思いの外、そこはするっと行ったので、ん?そういうことでいいんだよね?となりました。


この映画は不思議な空気が流れていますが、1番は時間が止まっている時の、出演者たちの静止にあると思います。
編集技術で止めてるんじゃないんですよね。風はそよそよ吹いてるし、波も寄せては引いてます。
人だけが止まっていて、それも機械的な感じはなくてアナログなので、それがなんとも言えないぬくもりのような雰囲気を出していてよかったです。


よくよく考えたら、小さい頃の恋を今も持ち続け、彼に会うために郵便局に通い、彼が不幸にならないために彼の彼女に接触、時間が止まったら彼を連れて約束の場所に行きツーショットを撮り、最後は止ったままの彼にキスまでしかけるってかなりやばい子かもしれませんが、果耶からは全くそんな印象は受けません。

ああ、ずっと岡田くんが心の支えだったんだな、静かに岡田くんのことを見ていたんだな、写真2人で撮れてよかったね、キスしようとして止めたとこ偉いぞ!
と逆に褒めてしまったくらいです。


もーーー!!!
キスしちゃってもよかったんだぞ!!!!
(いや、ダメか)


そんな感じで、一歩間違えたらストーカー的にも見える女の子を、視聴者に全くそう感じさせずにあっさり見せてるんですよね。
映画の空気感と、何より清原果耶の力かなと思います。



さて、それにしても、改めて言いたい。

みんなちゃんと信号は見よう。
お願いだから、信号でぼんやりしないでくれ。
車が100パー悪かったら仕方ないけど、自分の身は自分で守ろう。
私たちは登場人物のこと好きなんだから、あなたたちには元気でいてほしいんだよ!
信号はちゃんと見よう!果耶も太陽も!!!(←『君が心をくれたから』の山田裕貴)

ちょっと待て 安全確認 ちゃんとした?

令和5年交通安全年間スローガン 
こども部門 全日本交通安全協会会長賞受賞作品


おしまい。

画数多い人に1日プレゼントされるなら、私の周りもそろそろ止ってもいい頃じゃない?あ、でもダメだわ、あなたと結婚したから画数かなり減ってるわ!などと夫に話していたら「大丈夫、前の苗字のままでも時間止まらないから」とクールに言われました。

……そういうことじゃないんだよ!!!


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