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ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)&ピアプロリンクを「完全に理解する」ためのページ

問題

 あけましておめでとうございます。試験官です。

 新年早々、「ミクスパート検定」のTwitterアカウントから、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(以下「PCL」)に関して1問出題いたしました。

 たくさんのリアクション(ご解答・RT・いいね)ありがとうございました。この1問について解説をしたいのですが、色々説明して長文になりそうなので、note記事として公表したいと思います。

正解

 こちらの問題の正解は[4]です。80%を超える方が正解されましたが、一定数誤答があるようです。
 正解された方も誤答された方も、本記事でPCL周りを確認していきましょう。
 目標は、「完全に理解」していただき、先ほどの問題なら楽勝で解けるようになれば……と思います。

PCL周りの勉強法を紹介しながら解説

 
 PCLとピアプロリンクといったものの定義をざっくり言えば初音ミクさんたち「ピアプロ・キャラクターズ」を使った創作活動をするための決まりごとです。著作権法のピアプロ・キャラクターズ版とも言えます。
 これらの規定をざっくり理解するには、下記3ページを閲覧すればいいかと思います。上記の問題は、こちらを押さえていれば解けます。なお、3ページ全てクリプトン・フューチャー・メディア(以下「公式」)が運営しているもの(一次情報)ですので、ご安心ください。

  1. Youtubeチャンネル「SONICWIRE (@cfm_sonicwire)」の動画『著作物の利用範囲を拡げるPCLとピアプロリンク』

  2. ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL) 要約

  3. piapro「キャラクター利用のガイドライン」の一部

1.『著作物の利用範囲を拡げるPCLとピアプロリンク』

 動画は下記のものです。公開が2009年と古めですが、著作権法・PCL・ピアプロリンクの概念を理解するにはピッタリです。図解もされており、非常に分かりやすいものですので、ガッツリ見てください。

 動画が見られない方のために抜粋しますと、初音ミクさん達「ピアプロキャラクターズ」の使用可否は下記の通りです。末尾の括弧内は、動画内で言及されている時点です。

著作権法→公式の許諾があればOK。「私的使用」「引用」など著作権法上OKでないもの以外は全てNG。(1:40~2:00)
PCL→上記NGのうち、「非営利かつ無償」で「公序良俗に適合」し、かつ「第三者の権利を侵害しない」ものは、公式の許諾を得なくてもOKとする(その他はNGのまま)。(2:35~2:45)
ピアプロリンク→上記NGのうち、「非営利」で「材料費程度(=利益を得ない程度)の対価を受け取る有償」は「公式に申請」すればOKとする(その他はNGのまま)。(3:47~4:15)
その他(営利目的の利用)→公式と契約とかわし、ライセンス料を
支払えばOK。(4:33~4:41)

動画『著作物の利用範囲を拡げるPCLとピアプロリンク』

各選択肢解説 part.1

 選択肢[1]は、楽曲の使用に関する事項です。厳密に言えば、初音ミクの声だけを使う場合、その楽曲に関する使用可否は、PCLではなく、著作権法と初音ミクのソフトウェア使用許諾契約(EULA)がカバーしています。したがって、「PCLによって」認められているものとは言えないため、不適です。ちなみにEULAは、初音ミクのバージョン(V4Xまで vs. NT以降)によって異なっていますが、話が脱線するので詳細は割愛します。
 また、楽曲に付随してキャラクターとしての「初音ミク」も使用した場合(曲中で「初音ミク」と名乗ったり、映像で「初音ミク」が登場したり…など)は、PCLも確認した上で使用可否が判断されます。今回の場合に当てはめてみると、「実店舗の宣伝」という商用利用にあたり、PCLを逸脱した活動です。
 いずれにしても、不適となります。

 選択肢[2]は、有償の活動のためPCLを逸脱しております。よって不適です。さらには利益を得ているため「ピアプロリンク」の規定も逸脱しております。2重の意味で良くありません。

 選択肢[3]も同じく、有償の活動のためPCLを逸脱しております。よって不適です。また、「クラウドファンディング」は、対価が「材料費程度」を超過する可能性が高く、集められた資金の使途が不透明です。したがって、「ピアプロリンク」の規定も逸脱する(公式に申請しても受理されない)可能性があります。

2.ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL) 要約

 PCLが適用できる範囲を、具体的にかつ簡潔に記載されている箇所が下記のページです。「要約」の名の通り、ページそのものは短いので、一瞬で読めます。PCLの理解の補助に役立ててください。

Q:ところで「二次創作物」って何?

A(ゆるふわ版):
 ピアプロ・キャラクターズに関連したアイデアを基にして、自分で(もしくは自分のチームで)作った創作物(絵とか小説とか)。

A(がっちり版):
 以下のように、PCLに定義されています。

改変物および二次的著作物、その他著作物に依拠して作成された著作物を総称したものをいいます。

PCL第1条第1項第5号

 ここで述べられている「二次的著作物」もPCLに定義されています。著作権法に書いてある「二次的著作物」の定義のコピペっぽいですね。

著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいいます。

PCL第1条第1項第3号

 PCL前文に「二次創作物」の例が、少しだけ記載されています。

一般に「版権物」と称されるキャラクターについて、 (中略) みずから描いたイラストなどのかたちにして(いわゆる「二次創作物」)、その権利者の許諾がないままインターネットなどで公表することは、著作権法などの法律によって禁じられています。『初音ミク』などの当社キャラクターも、法律によって同じように扱われます。

PCL前文

各選択肢解説 part.2

 選択肢[4]は、上記ページの「つくった二次創作物を公開すること、または配ること」に含まれており、正解となります。

3.piapro「キャラクター利用のガイドライン」

 率直に言えば、このページだけで事足ります。しかし、長文でかつ少々難解な箇所もあり、初見の方にはお勧めできません。ですが、このページは頻繁に更新されるため、最新の情報が記載されているという特長があります。
 上記1の動画・2のページをガッツリ閲覧して理解した上で、カバーできていない不足部分を「つまみ食い」程度に読むのが良いかと思います。

 特に見ておくと良い箇所は、PCLおよびピアプロリンク利用規約で許される利用・許されない利用の具体例」のA・B・Dです。OKとされている活動の具体例も記載されており、ピアプロリンクの申請やミクスパート検定の対策に役に立つかと思います。

各選択肢解説 part.3+α

 選択肢[4]は、「A.非営利かつ無償の利用について」の「1.ご利用いただける例」で挙げられている活動に含まれます。ピアプロリンクの申請は不要です。
 ちなみに、我らがミクスパート検定において受験料を徴収する場合は、「B.非営利かつ有償の利用について」の「(2)個人や同人サークルが行う非営利有償サービス」が適用されます。したがって、ピアプロリンクを申請する必要があります。(第0回ミクスパート検定を実施したとき、実際に予め申請を行い、受理されました。)

まとめ

 PCLやピアプロリンクの規定は、難しいように見えます。しかし、公式から数々の媒体で発信されています。今回は、その中から、分かりやすいものをピックアップいたしました。PCL周りの規定を正しく理解して、健全な同人活動をしましょう。本記事が、その一助になれたら、幸いです。

 「PCLとピアプロリンク、完全に理解した!」と思えたら、「スキ」と「フォロー」をよろしくお願いいたします。
 ミクスパート検定のTwitterのフォローをしていただければ嬉しいです。

更新履歴

 たくさんの閲覧、ありがとうございます。フィードバックをありがたく頂戴しておりますので、下記の通り適宜更新いたしました。

  • 2023年01月07日:新規作成&誤字脱字修正

  • 2023年01月10日:見出しの最適化&「各選択肢 part.1」の選択肢[1]の解説を修正&その他細微な箇所修正

  • 2023年01月11日:サムネイル画像を改良

  • 2023年10月31日:タイトルとサムネイル画像改変&追記

 以上、試験官でした。

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