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ショートショート

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#旅する日本語

避暑地へ

サラサラと水音が近くもなく遠くもない所で流れている。 川かな、と思ったらそれは水路であっ…

小さな箱

ここは小さな箱。 箱の中は自由気まま。 好きな所へ歩いて行ける。 眠い時はベッドで横になる…

お腹が空いているのかい?

おやおや、 冴えない顔をしているね。 お腹が空いているのかい? そんなにしかめっ面をしてい…

あなたへの餞別

「お母さんが子供の頃、トマトはオヤツだったのよ」 幼少期、母はトマトを食卓に出す度にそう…

生ひ優る

那覇空港で乗り換えて、もう1便。 そこでやっと、彼女の住む島に着く。 石垣空港だ。 飛行機…

奇偉(きい)

彼女は僕の知らないところで、僕の知らない人たちとも信頼を築いてきた。 僕がまだ子どもだっ…

涼飇

ペンションの軒先に出ると、いくつかの畑と家があってその先には船着場と海がみえる。 畑には美味しそうな野菜や花が見え隠れしていて、家には洗濯物や布団があちこち干されていた。 人っ子一人見当たらず、それでもはっきりとこの街の穏やかに息づかいを感じる。 小さくて、優しくて、美しい街。 天国かな、と本気で思った。 横で彼女も目を細めていて、口元は無意識だろう、笑っている。 僕たちは天草のペンションに来ていた。 友人が教えてくれたこの天草という地は、歴史の教科書で出てくるから名前

幸先

「ほんと、すごい偶然だよな」 ざわざわとした居酒屋で、彼の友人は興奮しながらビールを回す…

寸景

北海道の食べものは全てが美味しい。 道すがら売られている焼きトウモロコシも、回転寿司も、…

碧空

「近くの山にロープウェイがあるから行ってみない?」 彼に誘われて私達は近くの山に向かっ…

礼遇

私達はどこへ向かっているんだろう。 飛び乗った新幹線の中、彼は行先を調べていて、私は窓…

恋草

僕らは動物園にやって来た。 パンダの赤ちゃんが目的だったが混んでて観る事は叶わなかった。 …

炎節

ミーンミンミンミン。 蝉の声が僕の身体を焼いている。 暑い、熱い。 東京の夏は、多分沖…