見出し画像

【投機の流儀 セレクション】今はバブルではない。自分が儲けていない人々が、嫉妬でバブルというだけだ。「嫉妬は正義の仮面を冠って主張される」

日本は今年になってから年初来7000円幅を上昇して、他の先進国の市場を上上回った。それは決して説明できない上昇ではない。平成バブルの時に比べて経常利益は3倍近い。PERは16倍前後で、89年バブル当時の4分の1である。PBRは当時の3分の1である。バブルが崩れて一番底を付けた後の95年と比較するとしても、一株当たり利益は当時の8倍ある。決して不合理な値段ではない。また、日本株を支える基本的な要因も不合理なものではない。

一つは明らかに数字で出ている春闘である。昨年、春闘が30年ぶりの賃金上昇を示し、今年は34年ぶりの上昇を示した。賃金上昇は日本のインフレの継続を意味する。
もう一つはコーポレートガバナンスの明らかな改革である。これは東証の求めに従って動いたものであるが、企業決算は今までになく、多くの企業がROEや資本コストについて言及し始めた。これは大きい。
最後の一つは大手損保会社を中心とする政策持ち合い株の削減のスピードの加速である。大手損保会社の政策保有株は中期的には完了を目指すとした。大いにマトモである。政策保有株の解消余地は日本のコーポレートガバナンス改革における大きな役割を果たすと思う。日本のPERは、過去の13.7倍を少し上回っているが、米SPも20.9倍より低いし、先進国平均よりもやや低い。決して不合理な値段ではない。コーポレートガバナンスがどんどん進むことに関しては、海外の人は非常に信頼を高めていると思う。決して不合理な高さではない。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)調整があっても「スピード調整」「時間調整」であって、深押しはない。
(2)「スピード調整」は「時間調整」の問題、つまり「日柄調整」の問題であり、「値幅調整」ではない。
(3)指標面から見て、先行き不安感は多少増えた。 
(4)欧州勢の日本株買いが突破口を開いた。
(5)週初の下げは、国内機関投資家による期初の利益確定売りとトヨタグループの持ち合い解消の売り
(6)新NISAに対応する企業の株式分割が急増
(7)新NISAを通して、新たな市場参加者の将来を慮る。

第2部;中長期の見方
(1)「(神の)見えざる手」と「見える手」─「運動」ではなくて「動向」に定着させることが肝要だ。
(2)設備投資が景気の牽引役
(3)GDPを引っ張るのはその6割を占める家計であるが、その牽引力は企業だ。
(4)日本製鉄の橋本会長─「アニマルスピリット」─「投資と賃上げは経営者の責任」=岸田政権の「成長と分配の好循環」
(5)「需給に勝る材料はない」が、需給関係改善のためには企業の経営改革と規制の緩和撤廃が肝要だ。
(6)設備投資の進捗と機械関連株
(7)人手不足はコロナ前の水準以来の厳しい状況で、これは賃上げの後押しになる。但し、若年層のハローワーク離れが進んだ。
(8)多くの経営者が企業を次の飛躍の舞台に向かわせ始めた。企業は停滞30年の縮小均衡を脱しようとしている。
(9)今はバブルではない。自分が儲けていない人々が、嫉妬でバブルというだけだ。「嫉妬は正義の仮面を冠って主張される」
(10)今は客観的係数から見ても、世俗もバブルの気配は全くない。
(11)トルコ事情

第3部;読者との交信蘭
読者A様との東電株と北電株についての交信

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?