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【投機の流儀 セレクション】「バーナンキショック」とか「バフェット効果」というが、或る著名人の発言で大相場が生まれるということはない。

年初から1ヶ月弱で、上昇幅は3000円幅を超えた。この調子で行ったら、年末には6万円を超えてしまうことになる。本稿が昨年から述べている「5年内で6万円」の比ではない。
しかし「年末には6万円を超えてしまう」なんてことはないし、またあってはならない。

去年の3月の東証の企業経営改善要請に加えて、その直後にW・バフェット氏が来日して、商社株の買い増しを発表し、そこで火がついた形になっていたので、これを「バフェット効果」などと呼ぶ筋もあるが、冷静に考えれば著名人の発言によって大相場が到来した例はない(★註)。

他の例で言えば、2012年11月下旬から始まったアベノミクス相場の初期は翌年の5月に約8000円上がって、バーナンキFRB前々議長の一言で上昇分の半値を急落した。垂直の急落だった。ここでアベノミクスの青春期相場はとどめを刺されたかに見えたが、そうではない。これはあくまでも中間反落であった。一人の発言によって、相場が終わったものではない。このことは銘記しておきたい。

その発言がどういう事実に基づくか、どういう予兆に基づくか、その「事実」その「予兆」によって動くのである。

(★註)立花証券の石井久創業社長が「桐一葉落ちて天下の秋を知る」と言って、スターリン暴落を的中させたが、石井氏の一言で「特需相場」が終わったわけではない。「特需相場」は朝鮮動乱によって漁夫の利を得た日本が戦後の急成長と時期が合致したので、大きな上昇転機となった。それを「特需相場、特需景気」と言った。それの終わりを的中させただけであって、石井氏の一言で特需相場が終わったわけではない。著名人の一言で大相場が終わることはない。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)1月はこんな月だった。そして2月は?
(2)近い将来の乱調予測は小さくなった。
(3)信用取引の買い残が1ヶ月ぶりの高水準
(4)上場企業の6割が増益
(5)日銀、マイナス金利解除は近い。
(6)当面の市況─「成長と分配の好循環」は今年の春闘で占われる。
(7)日銀の早期修正を読んでの動き
(8)企業間の株式持ち合い解消が進んでいる。
(9)マイナス金利解除の時期
(10)外部要因として、地政学上のリスクや「もしトラ」などを挙げてきたが、足元に国内政局の問題がある。
(11)派閥解散について
第2部;中長期の見方
(1)日銀の量的緩和の縮小は、静かに進行している。
(2)日銀ETF、市場に放出を始めるか?持続するか?暴落があった場合、機動的かつ積極的に買い入れを再開できるようにしておくか?これを考える段階に入ってきた。
(3)「3万2000円×1.88≒6万円」
(4)「日本株、収益期待で上昇へ」─各氏の見方と要約
(5)世界経済、大きな景気後退はなく軟着陸(ソフトランディング)の可能性
(6)「バーナンキショック」とか「バフェット効果」というが、或る著名人の発言で大相場が生まれるということはない。
(7)中長期の見方
(8)海外マネーの流入傾向とその背景
(9)米中経済を切り離すデカップリング論について
(10)中国実態経済の悪化
(11)中国関連株の突っ込みは買い?
(12)日銀が目標とする「2%インフレ」が続いた場合は「換物運動」が起こる。
(13)「インフレは10年〜15年続く」
(14)日本女性の社会的地位
第3部;読者との交信蘭
(1)K様の御子息との交信─NISA口座を開いて、株式投資を始めたいという交信
(2)古くからの読者Y様との交信─グーグルの社債やドル建て国債について

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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