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【投機の流儀】日経平均が史上最高値を付けた2月末の投資部門別売買動向における奇妙な風景

第1部;当面の市況

(1)今の株価を海外投資家から見ると、どう見えるのか?「今の株価が高すぎると思わないのは、1990年代以降に日本が構造問題に色々と取り組んできたためだ」

先週末の騰落レシオは107.1%であり「買われ過ぎ」とされるレベルには全く入ってない。循環買いが進んでいるからである。一方、25日移動平均との乖離率は+6.3%で、一日で800円近く上がっても「買われ過ぎ」の領域とされる「5%」を少々超えたにすぎない。これは25日移動平均そのものが上がっているからである(ただし、60ヶ月移動平均で見ると大きく乖離している。別の項目で述べる)。

海外投資家から見ると、どう見えるか?モルガン・スタンレー証券のシニア・アドバイザーはこう言っている(日本経済新聞3月2日版より原文のまま掲載)。

「今の株価をどう見ていますか」という質問に対して
「懐かしい水準に来たなと思っている。今の日経平均株価は日本経済の実力通りだろう」
「30年前の株価は実力以上だったが、2010年代からはコーポレートガバナンス(企業統治)が進み、企業の資本の使い方も良くなった」
以上は、原文のまま正確に掲載した。

昨年3月に東証が発した企業統治について、少なくとも投資家と経営者が自己資本利益率(ROE)や純資産倍率(PBR)などについては、共通の視線で対話できるようになった。

ところで、2四半期連続でGDPがマイナスとなった。その中での日経平均最高値更新となった。この件について、同氏に「違和感がないか」と訊くと、その回答は筆者の感じ方と全く同じだったので要約する。

GDP統計とは、速報値から確定値までの間で大きく修正されることが多い難しい統計である。旧経済企画庁時代は四半期GDPが2〜3回連続して前期比マイナスになると、景気動向DI(レベルや量は捨象して、方向だけを示す指標)は下向きになる可能性があると指摘していたが、それは旧経済企画庁時代のことであって、最近では速報値が後に大幅に上方修正されることが珍しくない。したがって、この件は気にする必要がないと筆者は考えている。

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