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【印刷相談窓口 Q&A】 黒の色差

「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた、印刷・加工に関する質問を、シンプルにわかりやすく解説する【印刷相談窓口】。紙もの制作に関するちょっとした疑問を、紐解くヒントになりますように。

Q.

黒い文字や絵柄が、他の絵柄と重って透けて見えている箇所があるのですがどうしてですか?また、透けて見せないようにする方法はありますか?

A.

墨100%で出来ているオブジェクトは、オーバープリント設定をしていなくても下のオブジェクトが透けて印刷される場合があります。これは各印刷所の設定によります。データ作成時の工夫で回避することができます。


解説

黒の多くは墨ベタ(K100%)で表現され、本やパンフレットなどの細かい文字や表などの罫線も、この色で作成することが多いと思います。

印刷では、細くて小さいオブジェクトは見当ずれにより他の色との隙間(紙色)が目立ちやすく、それがクレームの原因となるため、印刷所ではRIP時に、墨ベタ(K100%)で作成された部分にのみ自動的に墨ノセ(ブラックオーバープリント)処理を行うことがあります。そのため、墨ベタの下にある他の色のオブジェクトが透けたように印刷されます。

【Q&A】オーバープリント-06



自動墨ノセによる、意図しない表現 ※1


●その1:写真やイラスト上の墨ベタの帯
水色とスイカの色が黒い帯に透けていて、色差ができている

【Q&A】オーバープリント-01_アートボード 1

●その2:白フチをつけた墨文字
墨文字の下に白フチの内側と背景の紺色が透けていて、色差ができている

【Q&A】オーバープリント-02

●その3:人物イラストの墨ベタの帽子
墨ベタで作られている帽子が透けて、見えていなかった坊主頭が見えている

【Q&A】オーバープリント-03


データ作成時に、自動墨ノセを回避 ※1

❶ CMYいずれかの色を、0%→1%にする

【Q&A】オーバープリント-04

自動墨ノセは、墨100%時のみに適用されるため、1%でも他の色が混ざっていればノセにはなりません。C,M,Yのいずれかの色を1%入れる事で、自動墨ノセを回避できます。ちなみに、他の色が1%墨ベタに入っても、人間の目には識別できないと思います。

❷ 墨ベタ(K100%)を、リッチブラックにする

【Q&A】オーバープリント-05

❶と同様の理由で、墨100%ではなければ自動墨ノセは適用されないので、例えば C20%,M20%,Y20%,K100%などの色(リッチブラック)にすれば問題は解決され、墨ベタの黒よりも少し濃く深い黒色になります。※2


※1 イラストはイメージです
※1 ❶❷共に、 のオブジェクトにはオーバープリント設定・乗算設定をしないでください
※1 印刷所で使用されるRIPによって、出力結果はこの限りでない場合があります
※2 インキ総量(色の%の合計値)が多すぎると、裏付きなどのトラブルの原因となります。


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