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新人作家が本を出すまで【上馬キリスト教会編】(後篇)


みなさん、こんにちは。
今回は、前編にひきつづき上馬キリスト教会が、本を出すまでのダイジェスト、後篇をお送りします。

出陣


企画書が出来上がったら、この本の出版に向いていそうな出版社の編集者に売り込みを開始する。企画書に合わせて、売り先を事前に抽出しておく。

まずはA社。編集者の方にご紹介すると、ほんのり笑みを浮かべている。
「昔、似たような企画に挑戦したことがあったけど、うまくいきませんでして・・・」


B社。「すごく面白いんですけど、キリスト教をみんな学びたいって思っているんでしょうか?」


胸にあった希望はみるみるうちにしぼんでしまう。しかし、いちいち落ちこんではいられない。またもや断られる前提で、C社に臨む。


彼らの魅力を切々とご紹介したのち、ゆっくり編集者の方の反応を伺う。すると。「まさに、こういう企画探していたんです。知的コンプレックスを日本人はどこか抱いているのかな、と思ってまして。自分は知らない、知りたいと思うけど、難しい。そういうとっつきにくいものを、学べるものが出したいと思ってまして。」


ガッツポーズ。企画書会議にかけてもらえることになった。著者に状況を説明し、ひとまず、それまでの一か月間は待つこととなった。


注:こんな風に、1企画に対して出版社の反応はことごとく異なるものである。同じ企画でも、同じ反応をされることは少ない。1つの出版社に断られたとしても、他の出版社に持って行くと違う結果になることもある。売れる本のセオリーや出版社の持つカラー、編集者の好みなどは異なるので、そこに当てはまればうまく行くこともある。したがって企画が合いそうな出版社に数多く営業し、なおかつ各編集者の好みや傾向性を知っていると確率は高まる。


門は三度ひらく


一か月待った。こればかりは、著者と待つしかない。

待った。
待った。

そして、メールが一通。ぜひ、やりたいと。妄想の発端から、実に約半年後、それは実現することになった。門は三回開いたのだ。早急に編集者の方とお引き合わせし、具体的な出版に向けての話を進める。項目の見直しとスケジュール設定、文体やテイストの確認をする。これで、ようやくスタートに立ったのだ。


ようやく、著者の真面目担当・横坂さんに執筆を進めてもらう。章ごとに確認をし合い、入稿に向けて確実にエンジンをかけていく。ふざけ担当の方にもアドバイスをもらい、より面白い項目になっていった。


サポートやアドバイス、編集協力はいくらでもできるが、執筆そのものは著者にしてもらわなくてはならない。そこではやはり、待つことが多い。正直なところ、当初は新人作家と言うこともあり、どんな原稿があがってくるかは読み切れなかった。しかし、少しづつあがってくる原稿はとてもすばらしいものだった。編集者の方も、期待度があがった。


「twitterの延長になるかな、と思ってましたが、読み物としていいものになったと思います。」と編集者の方。さらに方向性や全体の作りを何度か見直し、打ち合わせ、入稿となった。この企画は大幅な編集や赤が入ることなく、比較的スムーズに進行した。以前からクリスチャン向けサイトや教会のHPで書いてきたので、そこまで書くことに困難は無かったという。その後はプロの校閲が入り、さらに今回は教会の渡辺牧師のチェックも入る。「これが一番厳しい確認ですね」と横坂さん。


入稿してからは、デザイン会社の方にフォーマットを組んでもらう。さらに、プロのイラストレーターさんの絵が入り、いよいよ佳境に入る。今回は、ゆるい世界観にあわせて伊藤ハムスターさんがイラストを描いてくださった。文章の内容が伝わる、実によいイラストだった。イラストレーターさんとは直接お会いすることはなかったが、とても良いお仕事をして頂いて、ほんとうに頭が下がる。

(こんなゆるくてかわいい絵を描いて頂けました)


表紙には、編集者の方と上馬キリスト教会の礼拝にお伺いし、撮らせていただいた教会の写真が使われることとなった。門外漢の撮影にも関わらず、渡辺牧師や信徒の方にはあたたかく迎え入れていただけた。礼拝には、ちらほらtwitter経由で知り、初めて参加した方々もいる。彼らの人気ぶりを、あらためて確認する場となった。この本が出ることで、また新しい誰かが訪れる場所になるかもしれない。ほのかな期待とともに見上げた教会は、秋の陽ざしに温かく輝いていた。

四つ目の門も、ひらく?


さて、校了も済んでしまえば、あとは販促や宣伝を始めなくてはいけない。ファンの方や、興味を持ってもらえそうな人に、積極的にアプローチしなくては、手に取ってもらえることもない。


そこで、編集者の方から思いも寄らないお話をいただく。イエスとブッダがこの今の日本で暮らしたら、という日常を描いたギャグ漫画『聖☆おにいさん』と宣伝コラボができるかもしれないという。『聖☆おにいさん』16巻の発売日が11月中旬と、両者の発売日が近かったことや、同じ講談社で出すということで、相互コラボの可能性があるという。それは、真面目担当・ふざけ担当のお二人のかねてからの願いだった。「もしかしたら、お二人の念願が叶うかもしれません」。


その後、編集者の方の調整や、漫画家の中村光さんのご協力で、コラボさせていただけることになった。これには、お二人も驚くとともに、心から喜んでもらえた。中村光さん、お忙しいところ素敵なPOPを書いて頂き、ありがとうございます!

※一部書店にて、コラボPOPが使用される予定です。


こうして、ただの妄想と思い付きから、約1年3ヵ月後、現実のものとして皆さんにお届けできることになりました。


このような形にできたのも、まじめ担当&ふざけ担当のお二人、編集者の藤枝さん、チェックしていただいた渡辺牧師、校閲の方、伊藤ハムスターさん、カメラマン、装丁デザイナー、印刷会社、twitterファンの方々、関わってくださったすべての皆様のご尽力によるものです。本当にありがとうございます。誰一人欠けても、ここまでのものはできなかったと思います。


前編・後篇に渡った長すぎるこの記事も、そろそろ終わりにしようと思います。最後に、自分の斜め上の熱意を、最後まで信じてくださった上馬キリスト教会のお二人に、感謝いたします。


出版にご興味のある方にとって、面白い記事になったでしょうか。かなりダイジェストでお送りしましたが、少しでも参考になれば幸いです。


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実はチキン野郎でもあるので、記事が伸びていないと、地味に沈んでいます。まあ、やっぱり続けるんですけど。

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