4月までに彼氏ができなかったらジムに通おう⑧

【episode6】馴染みすぎてる男


それは、とても心地良い時間だった。

波長が合うってこういうことか〜って素直に思えた。
友達以外の男性と、こんなに笑って、無理なく話が弾んだことないかもってくらい。
久しぶりに、なんの違和感もない男性に会えた気がする。


彼とは出身も育ちも学歴も全く違うけれど、
実家の最寄りのほどよい廃れ感とか、
都心へのアクセスの悪さとか、
学生時代遊んでた場所の栄え具合とか、
卒業した大学のレベルとか、
子どもを相手にする仕事に興味があるところとか、
お互い次男次女なところとか、

なんとなく、育った環境がすごく近く感じた。

だからかな。
会った時から見た目も雰囲気も、なんだか、私っぽいな〜って思えて。
たぶん同じ学校にいたら、自然と仲良くなっていただろうなっていうタイプ。
もしかして、同じサークルだった?と思えるくらい。
きっと私の友達に会ってもスッと違和感なく話し出せるんだろうな、みたいな。

食べたものがそのまま体型をつくるように、
経験したことや出会いがその人の人間性を育んでいく。
そんな中で価値観が形成されるのだったら、
成長してきた環境が似ていれば、考えや大切にしているものが近くなってくるのは自然なことかもしれない。


私の結婚願望が強すぎるせいかもしれないけれど。
彼を自分の友達に紹介するところも両親に紹介するところも、なぜか容易に想像できた。


まだ付き合ってもいないのに。



その日は、美味しいごはんを食べて、次は30日に会おうって口約束をして別れた。

次のデートまで2週間空くとなるとその間のLINEのやり取りとかどうなるのかな〜と思っていた矢先。



帰宅後のLINEで
「30日は新宿御苑でお散歩しよう」
となったところで、返信が来なくなった。





それから5日が経ち、
次会う約束の日まであと10日となった今日。

彼のことを思い出してみた。

二重の線だけ入っている一重の瞼。
顎の髭がブツブツと生えかけている口元。


あれ?

なぜか、断片的な記憶しかない。


彼の顔面の姿形の全体像がまるで思い出せない。

そんなこと、ある?

記憶にあるのは、彼との食事の時間は本当に楽しかったということだけ。


LINEのアイコンは、おそらくキャンプでのチルアウトタイムみたいな写真なのだけれど、ぶれっぶれだから、参考にもならない。


あまりに自分と身近な人と思いすぎて、なんだか馴染みがあるような気がして、私の印象に残ってないのかな。

なんだか、このまま消えていきそう。


約束の前日あたりに
「明日どうする〜?」
ていうLINEが、彼からから来ない限り、

このままもう二度と会えない気もする。



居心地の良さを感じたのは私だけだったのかな〜


ああ、まただめだったか〜
という諦めの気持ちの中に、


ちゃんと、30日はデートに行けるんじゃないかと期待してる自分がなんだか悔しい。


もう、顔も思い出せないくせに、、



縁があればまた繋がるし、なければそれまでっていうテンションで、期待することなく構えていられる自分でありたい。



この世に男も女も数えきれないほどいるけれど、素直に好きと思える人に好かれるって、恋愛するって、簡単じゃないんだなあ。

自分が勝手に運命を感じても、これが一方的だったら意味ないもんなあ。


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