4月までに彼氏ができなかったらジムに通おう⑦

【番外編】学べない女

恋におちてしまった。

駅前は人が多いから、と、初めから居酒屋の前で待ち合わせ。約束の時間1分前。駅の方からスーツ姿で走ってくる男性がいた。

27歳。不動産。小学校の先生を目指して、通信大に通って免許取得中なんだって。

一目見た瞬間から、
「あら〜これは私好きになっちゃうタイプだわ〜」と思った。 

私は、基本、直感で
アリ ナシ
がはっきりするタイプ。
少し話をして、アリがナシになることはあるけど、ナシがアリになることはない。

つまり、初対面で印象が良くて、話も合うとなるとあとは気持ちが加速するだけなのだ。


彼は、話せば話すほど大アリになっていって、もう、ほぼ好きだった。

ここで、楽しかった会話の一コマを。

「俺、2年前、元カノと別れてショックすぎて食欲なくなって10キロ痩せたんだよね」
*「え〜!!何食べて生きてたの?」
「サラダしか食べなかったね。毎回スーパーで、生野菜サラダ・ゴボウのサラダ・サラダパスタを買って毎日食べてたら痩せたんだよね。」
*「、、、それって本当に食欲なくなってたの?」


「サッカーは幼稚園から大学までやってた」
*「えー!すごい!!大学までサッカーやってたの?」
「まあ、大学はサークルだけどね。」
*「へえ〜!!!」
「大学もサッカー部でやってて欲しかったなあって思ってるよね?」
爆笑


「俺アプリ初心者なんだけど、この前初めて会った子が一目見た瞬間に帰りてえってなってさ」
*「あーあるよね(笑)お互い様だけど(笑)」
「一応、お店入ったよ。そしたらさ、苗字当ててとか言われてさ。分かるわけないじゃん?」
*「何百とある苗字当てって果てしないクイズだね(笑)」
「でさ、俺、じゃあ名前順で前半か後半か聞いたの。」
*「うん」
「そしたら、前半って言われてさあ(笑)とりあえずこのクイズ何が面白いか分かんないけど、石田って言ったんだよ」
*「そしたら?」
「正解した(笑)」
*「すご!!!!」
「早く終わらせたくて、一発で当ててやった」
*「たまたまでしょ(笑)」


あっという間に3時間が経ち、気づけば22時を回っていた。
彼がごちそうしてくれたから、じゃあ次は私に払わせてね、と、カラオケに行くことになった。

私の好きな流れだった。

*「いつもどんな曲歌うの〜?」
「俺、声低いからさ、ネバーヤングビーチとかかなあ。知ってる?」
*「知ってる!明るい未来!!!めっちゃ好き!」

それは、元彼との思い出の歌だった。

「ネバヤン知ってるのありがたい!!結構知らない人多いから歌うの我慢する時ある」
*「私、お別れの歌とかも大好きだった〜!」
「おい、誰のこと思い浮かべて聴いてたんだよ」

そんなやり取りがあったりして。
あー楽しいなあって。
久しぶりに心から思った。

カラオケで、一曲目に明るい未来を入れて、「いい曲〜!!!」て2人で盛り上がって。

気づけば、距離感が詰まってて。

どちらからともなく重なった手。お互い探り合いの中、ギュッとつなぎなおしてくれた時の気持ちの高揚感が忘れられない。

そして、退室10分前の電話がかかってきた時にはキスをしていた。

「ホテル行こっか」
流されるまま、腕を組んで手を絡めながら繁華街を歩いた。

ずーっとずっと楽しかった。


ねえ。

愚か者よ。


どうして、あの時、カラオケに行っちゃったのでしょう。
どうしてあの時、名残惜しい気持ちを抑えて帰れなかったのでしょう。



彼とバイバイしてから2日が経った。

未だに彼から連絡来るんじゃないかって、ドキドキしてLINEを確認する私がいる。


そんなの来ない。

来ないよ。


ここから挽回があるって、まだ進展の可能性あるって期待してる自分がいる。

分かってるのに。
そんなこと、絶対にないんだから。
今までこんな想いをしたこと、いくらでもあったじゃない。

大丈夫、次いこ、次。また、イチから頑張ればいい。

って、何度繰り返せばいいのだろう。
この前、弟から結婚の報告を受けたばかりなのに。

私、何やってんだろうね。


「感情は歳を取らない。対処の仕方が大人になるだけ」
小説の一文。

ああ、そうだ。
強がってるけど、私、傷ついてる。
ちゃんと、毎回落ち込んでる。


ばかだなあ。
本当に愚かだ。

学べ。

強くなれ。

今日はもう遅い時間だけど、走り出そっか。

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