【episode3】小田急線沿いの駅を指定してくる男

私は、初めて行く土地が苦手だ。
世の中のほとんどの人がそうかもしれないけど、私の土地見知りはなかなかだと思う。

東京の西側田舎育ちの私は、馴染み深い中央線の京王線以外の電車がとにかく苦手だ。
そして、特に、小田急線が苦手だ。
苦手というか、相性が合わないというか、縁がないというか、不運な結末を迎える。

これは、小田急線が悪いのではない。
完全にこっちの問題。
私調べによると、小田急線沿いの駅と私はまぜるなキケンなのだ。

理由は、これまで出会った、最初のデートに小田急線沿いの駅を指定してくる男がもれなく最悪だったからだ。

下北沢で会った消防士は、会った瞬間から性交渉のことしか考えていない下心男だったし、

新百合ヶ丘で会った起業家を名乗る男は、とにかく胡散臭かった。なんか、鍋とか洗剤とか買わされそうな臭いがした。

そして、先日、経堂を指定してくる男に会うことを試みた。
27歳、ひとつ下のメーカー勤務。
登山が趣味というのが同じで話が合ったので、会おうということになった。

過去の経験から、小田急線沿いで会うことをなんとしてでも阻止したい私は、新宿を指定したけど、彼が経堂を推すのでそこは譲歩することに。

、、、、嫌な予感がした。

経堂18時30分待ち合わせで、18時17分に到着予定の電車。

大丈夫大丈夫。

乗った電車は、帰宅ラッシュで死ぬほど混んでいた。
それはそれは、ケータイも触らないほどに。

さあ、乗ってすぐに気づく。特急だ！！！！

やっちまったああああ！

さて、次の駅は、、、、、、のののののの登戸？

案の定、ものすごい勢いで経堂を通過した。

うそでしょ？

終わった、、、、、

まず、彼に連絡が取れない。
なぜならば手を動かせないほど混んでいるから。

自分が、間違えたのが、完全に悪いけど！！！

登戸に到着したのは、18時32分。　

ケータイを確認すると

「今どこにいますか？5分以内に返信なかったら帰ります」
と連絡が入っていた。

「すみません。私が電車を間違えてしまって、今登戸に着きました😭」

「電車を間違えるのは、しょうがないとして、連絡くらいできましたよね？」
「連絡もなしに人を待たせるって社会人としてどうなんですか？」

ううううう、、、、
何も言えねえが、言葉が強すぎる。
こいつやばいやつだ。

「本当にすみません！これ以上お待たせするの申し訳ないので、帰っていただいてかまいません。
本当に申し訳ありません。」

「散々人を待たせておいて、帰っていいって自分勝手すぎませんか？」
「本当は残業もしたかったし、ここまで来るのにかかったお金PayPayで払ってください。」
「(電話番号)ここに、1500円送金してください」
「僕は怒ってます。許しません」

立て続けにメッセージが入る。

やばいやばいやばい奴だった。
付き合ったらモラハラ男確定。
「人は別れ際に本性が出る」
イギリスのことわざの一部を思い出して、こんな男に会わなくてよかったと思った。

静かにブロック。

ただ、行って帰って来ただけだけど、心は疲弊していた。

友達は、
結婚目前の彼氏と幸せそうなのに。
結婚して、子どもだっているのに。

私、いつまでなにやってるかなあ。

ごめんなさい。
だから、私は、小田急線が嫌いです。

我ながら、久々に思い出してもイライラできるエピソードだ。

さて、今日は、走るか。