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【秋の腹時計】毎週ショートショートnoteお題「秋の空時計」をSFで。

その男は空腹だった。空に浮かんだ雲さえうまそうに見えた。腹時計がぐぅぐぅ鳴る。
「食欲の秋だな。ランチは何を食べようか」そんなことを言いながら雲を見ていると、赤く光る数字のような文字が浮かんできた。目を凝らすとデジタル時計に見えた。

【0:00】

腕時計を見ると丁度その時刻だった。
「ほう、空時計か。秋の空時計、なんだかロマンチックだな」そんなことを言いながら雲を眺めていると、雷みたいな音が聞こえてきた。というより腹時計が鳴っているような音だった。

雲はだんだん男に迫ってきた。

男が目を凝らすと、『0』が口で『:』が目だとわかった。
赤く光る目は、逃げる男と付近にいた人間に不気味な光を照射すると、赤い3つの口から鞭のような触手を出して、男らを吊り上げ呑み込んでいった。

雲は次々と人間を捕食すると、夕焼け雲のように紅く染まり巨大化していった。



たらはかにさん企画
毎週ショートショートnote
お題『秋の空時計』より

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