東西 七都
市立善理高校に入学した和渡部 愛唯(わとべ めい)は、幽霊部員だらけの文学部に入部する。そこには、出徳 司(でとく つかさ)と言う女生徒がいて、時々ちょっとした推理や論理を展開して愛唯(めい)を驚かせるのだった。 人の死なないコージーミステリーで、一話完結の連作短編小説。ありそうでない、文学部部員がつづる日常。
純文でつづられたショートショート集。名前のない語り手によるお話。
作品解説や色々まとめた記事を掲載。
2022年夏に起きた未解決事件を追ううちに、過去に消えてしまった、才能にあふれた人間ばかりを生み出す私立『マギ ルミネア』中学校が、なぜかその影を行く先々で落とす。事件と卒業生達が織りなすストーリー。
ホラー雑誌編集者として働く守美日和は、ある日、差出人不明の手紙を複数受け取る。誌面上で何度も呼びかけるが返答はない。 名前のない語り手によるショートストーリー。
自己紹介 初めまして。東西 七都と申します。 お寄りいただき、ありがとうございます😊 筆名: 東西 七都(とうざい なつ) 出身地:神奈川県出身。その後、幼少期の大部分を千葉で過ごしました。 年齢:ヒミツです。 趣味:読書、旅行、語学勉強(英語) 仕事:事務系のお仕事。いわゆるバックオフィス業務です。 小説を書き始めたきっかけ:以前から短編小説を書いては放置していました。2023年秋~冬頃からサイトに掲載できるような作品をもっと書いて、腕をみがきたいと思い、現在に至りま
第一話 一 四月から時間が経ち、あと三日で五月になるという頃だった。 五月と言えばゴールデンウイークだから、学校の生徒の中には、一週間前から休みの予定を話している者もいるくらいだった。 授業が終わり、部活の時間になって、あたしは文学部部室の中へ入った。 相変わらず、部活動をしているのかしていないのか、不明な部ではあった。 いつ行っても、部長の姿は見えない。 司が言うには、二、三回会ったことがあると言うのだが、塾の勉強をこなすので手いっぱいで、部室にも寄れないと言
プロローグ 学校の廊下を歩き、つきあたりの部屋の扉、一歩手前。 そこで、あたし——和渡部愛唯は立ち止まった。 図書室のそばにある小さな部屋。 ここは、市立善理高校文学部の部室で、部として定員数をやっとそろえたぐらいの文学部にはふさわしい、活動の場所だ。 あたしは、扉に二回、こぶしを軽くぶつけてノックをする。返事はない。 扉には中をのぞく窓があるものの、すりガラスが、ぼんやりとしか中の様子を見せてくれない。 あたしは意を決し、そうっと扉を押し開けた。
「言葉を、みすてないで ~文学部部員の推理~」の第二話までカクヨムに先に投稿しました。noteには連続投稿をさけて後で上げます。 内容は全年齢対象、女子高校生二人のコージーミステリーです✨ 略して「コトミス」をよろしくお願いします💕 https://kakuyomu.jp/works/16818093076580109005
「春の夢」 最近、春なのに、あまり良い夢を見ることができていない。 一昨日は、過去に言い争いをした人との夢。昨日は、知らない公園の中を、ぐるぐると歩いていた夢。 夢だから、漠然としか覚えていない。 わたしはベッドから立ち上がり、カーテンを開ける。 見慣れた風景が窓の奥に広がり、わたしはほっと息をつく。 目の覚めるような青空に白雲がたなびいて、夢の世界を吹き飛ばすような、鮮やかな美しさだった。 今日も、かけがえのない新しい一日だ。 ただ、そう思った後
スキ200回もいただくことができました。皆様ありがとうございます! GW1日目、めちゃくちゃ嬉しいですね😊✨
山門文治さん、「今、このnoterが面白い」選考担当マガジンに当ブログ記事を追加してくださり、ありがとうございます!! かぷぷさんのマガジンに追加されたら、わらしべ長者的にマガジン追加されて大変嬉しいです。かぷぷさん、ありがとうございます😊✨
【感謝】ショートショートの掲載報告 こんにちは! 小説とショートショートを書いている東西 七都です。 当ブログのSF短編小説、「【SS】名前のないディストピア」を他のマガジンに追加していただきました! かぷぷさんの「早く気づいてあげて「発掘」マガジンに掲載されています。 かぷぷさん、ありがとうございます!! ショートショート、書いてきて本当に良かったな、と思いました。 こういうことがあると非常に嬉しいです😊 今後の予定 現在、予告した通りの新作に着手しています。
スキありがとうございます!! 2ヵ月と少しで150スキいただくことができました😊💕
「風車」 もう少しで、つまずいてしまうのではないかと思うくらい、わたしは速く走った。 足元には、多くの花々。 色とりどりの春の花が咲き誇り、定番のチューリップが色違いで何重にも列をつくり、咲いている。その他にも、グラジオラス、デイジーやパンジーなど様々だ。 その花畑のずっと奥。 近寄れば、見上げるほど大きな風車が何基もそびえていた。 柔らかな風を受けて、風車はかすかな音を立て、ゆっくりと羽根を回している。 風車を近くで見るのは初めてだ。今にも落ちてき
完結のご報告 こんにちは! 小説とショートショートを書いている東西 七都です。 本日は、小説完結のご報告です。 本日、『心霊迷図 ~マギ ルミネア編~』無事、完結しました! 嬉しいー😊✨ note上で完結させたのは、『幻影記録』に続き、これで2作目になります。 しかも、1か月に1回のペースで書き上げていることに、自分でも驚き…… 『心霊迷図 ~マギ ルミネア編~』は、今月4月1日からスタートして、本日、12日で書き上げてるのでかなりの早書きになってますね。 どちらの作
エピローグ 研究室からは、時折、波音がしていて耳を傾けると、海の中にいるような気がしてくる。 彼我戸は研究室の椅子に座り、目の前にある窓を先ほど開け放ったところだった。 手元には、いくつかの折った紙飛行機が置いてあり、彼我戸は、その一つに手を伸ばした。 ふと、机の横に置いてある卵型の鏡に目を留めた。 やや明るめの髪色を、肩口の近くで切り揃えた髪型。 白衣を着た女性。 中学の制服を着ていたときなど、まるで、ついこの前のようだ。 昨日、家に帰ったときにテレビ
突然、扉を叩くノックの音も無しに、母親が慌てた様子で部屋に入ってきた。 天降の方を見ると、動転した表情で言う。 「路惟、ちょっと! 今、テレビで」 言葉がもつれて声にならず、上手く説明できない様子だった。 そんな母親の姿を目にするのは初めてだ。 ここまでの動揺を見せるとは、何か事件が近所であったと言うことだろうか。 何回か呼吸をくり返し、ようやく落ち着いた様子で母は言った。 「さっき、夕方のニュースを見ようとテレビをつけてみたらね——テレビで、昨年夏に起こった
樋口の言葉が天降の心に染み込んでいく。 才能。その、忌まわしき言葉。 思ってもみないほどに、『マギ ルミネア』が残した禍根は根深いものがあるのかもしれない。 天降でさえ、その呪縛から逃げ出せたなどと、楽天的に考えることはできない。 いや、卒業生だけでなく、良きにしろ、悪きにしろ、社会にも、その影響力を拡大させているように見える。 天降は、ようやくにして気づく。 はっとした表情で、樋口が示す人物の名前を口にした。 「建木真加——!」 樋口がうなずく。 よう
その日、天降はいつものように、キャンバスに向かって絵を描いていた。 無心になって絵を描いていると、外の世界のことを気にせずにいられた。 部屋の横から見える青々とした庭に、小鳥が来ていて、歌うようにさえずっている。 メロディーのようなものはなく、何かを仲間に伝えているようだ。どのような内容かはわからないが、一心に声を上げている。 姿はここからでは見えないが、おそらく、小首を傾げて、仲間からの返答を待つように、さえずりを響かせている。 天降は庭の方に顔を向け、小鳥の声
第三章 二 あれから、落居はすっかりおとなしくなり、天降にも話しかけて来なくなった。 あんなにも、天降がいると近寄って構ってきたのに、別人のように人が変わって、無言のままだった。 天降も落居にはかえって声をかけづらく、何も話しかけられないままでいた。 そんなときに、ある日の美術部の活動後、双子が天降に近寄って、落居の話を突然始めた。 双子の片割れ、海喜が天降に言う。 「あの子ね、実の両親がいなくて、今の両親は血のつながっていない両親らしいよ」 クスっと幼さを