コンテナ革命から学ぶイノベーション
コンテナ革命とは
「20世紀最大の発明のひとつ」ともいわれる、コンテナ。僕も、調べてみるまでこんなにすごいものだとは思わなかった。世界規模でコンテナの規格統一、普及が進ん結果、サプライチェーン革命がおこった。
コンテナ発明についての動画。5分ほど動画だけどコンテナの偉大さと発明者の熱意がよく伝わってくる。
コンテナ輸送の歴史はまだまだ浅い。1968年にISOによって規格が定義され、規格に基づいたコンテナ船が初就航している。
コンテナのもたらしたメリットは大きく3つ。①安全 ②安定 ③効率 の3だ。
①安全
ひとたび貨物がコンテナに詰められたら、目的地に着くまで触れられることがない。コンテナの中身は見えない。コンテナは封鎖されているため安全性が高く、不正開放も認知しやすい。荷物がつぶされにくい。
②安定
作業天気の影響を受けにくい。荷役と運送手順の統一。納期の定時性が保証されるようになる。
③効率
荷積み・荷下ろしの圧倒的簡素化
トラックからそのまま船に乗せられるので楽ちん
労働力不足と待ち時間の解消
輸送コストの劇的削減
コンテナ輸送導入から3か月で1/40にまでなったのだとか!
結果としてコンテナによる世界レベルの変化は以下の通り。
・船やトラックなど輸送手段の標準規格化
・クレーンなど輸送機材の標準規格化
・湾岸労働者の失業(それまでは人手不足であったにも関わらず!)
・物流の定時運行化
・在庫削減(物流予測が精緻になったため)
・国際貿易の急増
・輸送コスト減による生産拠点の移転加速
・つまりグローバル化の根本
恐ろしいまでの影響力である。
コンテナ革命に見るイノベーション
コンテナは「ただの箱」であるが、「ただの箱」を標準化し普及させたたことに大きな意味があるのだろう。世界規模での規格の統一がサプライチェーン全体の「ムリ」「ムダ」「ムダ」を削るに至った。
コンテナ本体に驚くような要素は少ない。特に最新テクノロジーが導入されているわけでも、全く新しい概念が詰め込まれているわけでもない
要は既存のアイデアの組み合わせ、ただそれだけである。
おそらくコンテナ発明の背景には、物流を改善したいという熱い思いがあったのだろう。盗難、高すぎるコスト、長すぎる船積み時間。。。これら厳しい現実を直視した結果生まれたアイデアに違いない。
コンテナ発明の父、マルコム・マックリーンがこのアイデアを思い付いたのは1937年。コンテナ革命に至るまでおよそ30年の年月を要している。
イノベーションを起こすのは最新技術ではなく、正しい課題認識とたゆまぬ努力の積み重ねである。
コンテナ革命はまさにイノベーションのお手本だと思った。
参考文献
『10分でわかる貿易のプロをめざす人のための国際海上輸送の実務』
姉崎慶三郎 著
姉崎先生による10分でわかるシリーズ。海上輸送の基礎を学びたかったので購入。このシリーズは300円程度で購入でき、中身も素人向けなので本当にありがたい。
『Good to Great』/ Jim Collins
イノベーションを起こす組織についてまとめた良書。過去に紹介しているのでこちらもぜひ。
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