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怒りの病院。(「怒りのアフガン」の抑揚で)

 私は病院が嫌いだ。

 もしも読者の中になんらかの形で医療に従事する方がいらっしゃるなら先にお詫びしておきたい。
 これから医療業界を少しディスりますごめんなさい。
 
 最近の私の体験を元にした「やっぱりこの業界遅れてるよね」という敵対的メッセージである。

 ポイントは3点に絞る。

①ほとんどの病院には、病院(Hospital)なのにホスピタリティが不在である。

 病院に対して「特別に丁寧なおもてなし」を求めているわけではない。しかし、受付・看護師・医師・調剤薬局の受付・薬剤師・・・そのほぼ全員が患者に敵意でも持っているのかよと疑うレベルの仏頂面・事務的対応しかできないというのが心底理解できない。ちなみに別資本で医療ビジネスに参入している「掃除のおばちゃん」はホスピタリティに満ちていることが多い。
 例えば地下鉄に乗っていて、隣に座っている知らないおじさんがマスクをしてゲホゲホと咳をしていたら「ああこの人はいま風邪を引いているのだな。気の毒に。早く帰っておやすみください」と私は感じる。もしも許されるなら背中をさすって優しい声をかけてあげたくなる。それを実際にやったら大変なことになってしまうので実践はしないのだが、ホスピタリティの起源とはこういった思いやりにあると思うし、それを持つべきなのに持たない(仮に持っていても重視しない)病院・医療業界に漂う文化や風潮が私は大嫌いである。
 

②患者を待たせることに無頓着である。

 いまどき、居酒屋さんでも床屋さんでも経営コンサルタントでもアップルストアでも、「相手のいる物理サービス」では、web予約ができたり"順番が来たら携帯に電話する"くらいできて普通だ。にも関わらず医療業界ではほとんどそれが浸透していない。
 1分たりとも待たせるななどと言うつもりはない。ただ、数十分、ひどい場合には数時間も待たせた患者に対し、例えば一言でも「お待たせしました」とか「お待たせしてごめんなさいね」とか声をかける病院があるだろうか。もしかしたら日本のどこかにはあるのかもしれないが、わたしの経験の中にはそのような病院は1軒もない。どのような立場の人間でも、どのような権利関係にある人間同士だって、相手の時間を奪ってしまうようなことがあれば(例え表面上の社交辞令だとしても)とりあえず詫びるというのは社会人としてあたりまえの作法だと思う。
 そして、これは私の病的な妄想と思われて一向に構わないのだが、彼らはある程度そのことを自覚していて、それでもなお「医療に携わる人間は特別で、例えば他人の時間を奪うことだって社会通念上許されるいわば神のような存在なのである」と信じている(ように見える)ところが重ねて腹立たしいのだ。医業は人の生死を預かる職業だから、それ以外の些末な事柄には一切かかわらないのであるということか。
 少なくともその点において、医療業界は例えば飲食業界に負けている。完敗している。ラーメン屋は美味しいラーメンを提供することが唯一にして無二の存在意義であるが、仮に世界で一番美味しいラーメン店があったとして、でもその玄関先にはう💩んこが撒き散らしてあって、イスがなく地べたに座って食べる斬新なスタイルのお店で、ラーメンが提供されるまでにいつも3時間ぐらいかかるお店だったとして、あなたはそこに行きたいかということだ。そのラーメン店に価値はあるかということだ。

③結果通知のためだけに出頭を要請する。しかも雑に。


 今回は、自分がとあるウィルスへの抗体を持っているか否かの検査を受けるための訪院?だった。
 採血したその日のお会計の場で「結果通知は約1週間後になりますお大事に」と例によって絶望的にホスピタリティの欠落したトーンで案内を受け、お釣りの小銭をチャリンと投げるように渡された。これは何度反芻してもその場で笑介的ズッコケを披露したくなるほどに雑な案内だ。
 怒りとモヤモヤのポイントは以下の3点である。
 a.陽性か陰性かを知らせるためだけに出頭!?なぜメールや電話でできないのか。旧石器時代なのか。
 b.「約」とはいつのことだ。それを知るためには毎日電話でもして確認しろと言うのか。
 c.仮に超能力を身につけた私が「約1週間目のその日」を正確に察知できたとして、そのとき私はどうしたらいいのか?電話をすればよいのか。それとも出頭か。
 これらも①と同様にEメール等のwebサービスを利用すれば簡単に解決する問題である。たびたびラーメン屋の例えで恐縮だが、ラーメン屋が「ラーメンを食べたい時は、まずは1週間前に割り箸を受け取りに来てください。この店舗に」と言っているのに等しい。

 ②③について想定される回答として、素人の私でも情報セキュリティの問題とコンプライアンスの問題(主にプライバシー・守秘義務・本人確認の重要性あたり)が想像できるが、いまだに事務員が待合室に響き渡る大声でフルネームの個人名を読み上げるような業界において、情報漏洩もクソもないだろうと感じるのが正直なところだ。ちなみに私の苗字はとても珍しく、私の名を知る会社の同僚・仕事で触れ合った顧客・学生時代の友達などが同じ部屋にいたとしたら100%気づかれることになる。知られて困るような病気を患ったことはほとんどないが、待合室でぶっきらぼうに大声で呼ばれることに強いストレスを感じる患者がいることをなぜ病院は想定しないのか。
 情報セキュリティやコンプライアンスが同じように重視される業界の一つに金融業界があるが、ATM・インターネットバンキング・テレホンバンキングが普及してすでに30年以上経過していることを踏まえても、医療業界は時流に大きく乗り遅れている(=利用者の利便を考慮しようとしない)と嘆かざるを得ない。

最後に

 賢明な読者諸兄に改めて強調し補足しておきたいことは、これは私の個人的な体験に基づく医業、または病院という文化やその体制全般に対するグチであり、業界で日々の業務に精励する特定の誰かを非難する目的の投稿ではないということである。
 似たようなモヤモヤに悩んだ経験のある誰かのモヤモヤが、この投稿によって少しでも晴れる機会となれば幸いである。

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