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しろくまドイツ留学記 【8, 9ヶ月目】【第2セメスター, 就職活動, 白アスパラガスの季節】

3月初めからの1ヶ月の春休みが明け、大学の第2セメスターが開始しました。第1セメスターよりも授業内容が難しくなっているので日々ついていくだけでも大変です。

また、5月からは就職活動を始めました。ドイツではなく日本の企業に向けて行っていたのですが、就活のオンライン化のおかげで例年よりも楽に就活を終えることが出来ました。

そして、ドイツでは長い冬がやっと終わりました。まだまだ寒いですが、白アスパラガスやイチゴといった季節の食べ物が出回るようになり、食卓に彩りが加わりました。

このnoteでは第2セメスター、就職活動、アスパラガスの思い出を書いていこうと思います。

第2セメスターで履修しているモジュール

Advanced Statistical Methods for Metric and Categorical Data

成績評価: 筆記試験 (100%)

このモジュールは"Mixed models"と"Categorical Data"の2つで構成されています。どちらもSASという統計プログラムを使用する授業ですが、前者はMixed model (混合モデル)、後者はBinomial distributed data (二項分布のデータ) の解析方法を学んでいきます。

前セメスターでも同じ教授のSASの授業を取っていましたが、その時は線形モデルやANOVAを使ったt検定がメインでした。Mixed modelは今まで全く習ったことの無い内容なので、理論の理解に苦労しています。将来の研究でt検定が使えないデータを解析する可能性もあるので、なんとか頑張って理解していこうと思います。

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SASのコード例 (Binomial dataのchi-square test)

Breeding Methodology

成績評価: 筆記試験 (100%)

このモジュールでは植物育種の方法論を学びます。まさに私が大学で学びたかったことなので毎週の勉強が楽しいです。実際にEUで行われている育種について具体的に指導してもらえるのも嬉しいです。他にも病気や害虫への耐性など、育種に重要な理論まで学べます。

ただ、ロックダウンのせいで育種実験が出来なくなってしまいました。自分の手でハイブリット交配をやってみたかっただけに、とても残念です。

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授業でよく出る図 (雑種強勢のイメージ図)

Seed Research

成績評価: 口頭試験 (100%)

このモジュールでは種子を使った実験のデザイン方法 (計画方法) について学んでいきます。植物を扱う限り必ず種子も扱うことになるので、どう発芽させたり保管するのかと行った情報は重要です。

とはいえ前セメスターの内容と結構重複していますし、私自身卒論研究でイネの発芽と栽培を頻繁にやっていたので新しく学べる部分は少ないです。

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イネの催芽処理 (卒論研究から)

Plant Genetic Resources

成績評価: 課題 (50%), 口頭試験 (50%)

このモジュールでは作物のBiodiversityについて学びます。具体的には、現行品種がどのような歴史や遺伝的な変化を経て栽培化 (domesticated) されたかと言った内容を学びます。それに伴ってcoalescent theory (合祖理論) やprincipal components analysis (主成分分析)、neutral theory (中立説)、genetic distance (遺伝子距離)、QTL mappingなどの重要な理論を学びます。

1つ1つの理論がとてつもなく難しいので、授業に付いていくだけで大変です。育種実験のバックボーンとなる大切な内容なので頑張って食らいついて行こうと思います。

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トウモロコシの栽培化の歴史 (祖先種テオシントから栽培品種)

Understanding Stress Physiology to Increase Yield Stability

成績評価: 口頭試験 (33%), 課題 (66%)

このモジュールでは植物の非生物的ストレスについて学びます。具体的にはストレスに対する植物の toleranceやadaptationの作用機序や生理的反応の評価方法 (e.g. qPCR, Flame photometry) などです。

学部時代所属していた研究室は塩ストレスが専門だったので、この授業でいい成績を取れなかったら谷口先生に合わせる顔がありません。なんとか頑張っていこうと思います。

オンライン授業の弊害

私の学年は第1セメスターから全ての授業がオンラインで行われています。基本的には録画された授業で自習をしておき、分からないところがあればZoomミーティングで質問するといった流れで授業が進んでいきます。

そのため、自分でスケジュールを管理できないとスグに置いていかれます。

事実、クラスに2人ほど置いてけぼりを食らっている友達がいます。二人とも真面目な学生で、旅行でほんの数回授業をスキップしただけです。それでも、授業1つ1つが重いので一気に差が開いてしまいました。

オンライン授業はモチベーションを保つのがとにかく大変なので、私も彼らの二の舞を踏んでしまうのではないかと危惧しています。

ドイツでは大学院の退学率が29%*1 (ドイツ人以外の学生の場合) とは聞いていましたが、パンデミックが始まってからはもっと高くなっているのかも知れませんね。

他にも、実技的な授業が行われないこともオンライン授業の大きなネックです。私の所属するCrop Sciencesでは毎セメスターで何かしら研究室や農場での実習があるのですが、それも全て台無しになってしまいました。特に遺伝学や育種学は実地で学ぶことも多いので、とても残念です。

次セメスターこそは対面授業になって欲しいですね。じゃないとドイツ中で大規模でもが起こってしまうかも知れません。

*1 DAAD. (2019): Academic success and dropout among international students in Germany and other major host countries.

ドイツからの就職活動

私はドイツに留学する前から日本で働くことを決めていました。せっかく海外の大学院に進学したのに勿体無くはありますが、いつか海外で働きたくなってもドイツでの修士号があるのできっと大丈夫でしょう。

会社にエントリーしたのは5月中旬ですが、準備期間を含めればかれこれ半年以上も就職活動を行っていました。

・オンライン化の長所と短所

オンライン化が進んだおかげでOB訪問や合同説明会もZoomで参加できますし、面接ですら1度も対面で会うこと無く完結できるようになりました。ドイツに留学する学生が就活をする場合ボストンやロンドンのキャリアフォーラムに参加したり、わざわざ日本に帰る必要があったのでオンライン化が進んでくれて本当に助かりました。

ただ、説明会によっては日本時間で午前に始まるものも多く、ドイツにいる私は夜中まで起きる必要があるのでそこは大変でした。フラットメイトの睡眠を邪魔したくないので、自転車でwifiのある空港まで行ってカフェで参加することも何度もありました… 今となっては良い思い出です。

ちなみに、私は食品系を応募していたのですが、この業界はまだ国際化が進んでおらず秋採用はほとんどやっていません。つまり、2年の後期の修士論文で忙しい時期に就活することになってしまいます。偶然私の志望先は秋採用をやっていたのですが、ここもやっていなかったとなると地獄だったかも知れません。

・内定先

なにはともあれ、志望していたJT (日本たばこ産業) から内定を頂くことができました。これで私の就職活動は一旦終わりです。

詳しい就職活動の流れや経験談については、後日別の記事として投稿しようと思います。もしドイツから日本への就活に興味のある方は、是非ご一読くださいませ。

白アスパラガスの季節

ドイツの人は本当に白アスパラガス (Weißer Spargel) が大好きです!ドイツでは4月から収穫が始まり6月24日の聖ヨハネの日に収穫を終えます。その間は色んなところで採れたてのアスパラガスを売る屋台が立ち、レストランでもアスパラ料理が提供されるようになります。

私もスーパーで時々買って食べていました。普通のアスパラガスより癖がなく、柔らかくて旨味がしっかりしています。新鮮なものは塩とバターだけで十分すぎるぐらい美味しいです。

Hollandaise Sauceという卵のソースと食べることも多いですが、白アスパラガスは割と水っぽいので個人的には塩バターがベストだと思っています。

そして6月5日、近所のご夫婦に誘われて白アスパラガス専門のレストランに行ってきました!

BAUERLE BESEN
住所: Höhe 1, 70736 Fellbach
営業期間: 6月1日~6月27日
HP: https://www.bauerle-fellbach.de/

このお店はアスパラガス農家さんが始めたそうです。最初はごく小さな屋台から始まったそうで、年々規模が拡大していき、今では立派なレストランになっています。また、直売所だけでなくワイナリーも併設されています。

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手前からフラムクーヘン, 白アスパラガスとソース

肝心の料理はとても素晴らしかったです。特に白アスパラガスが添えられたFlammkuchen (フラムクーヘン) は抜きん出ていました。フラムクーヘンはアルザス地方で生まれたサクサクのピザのようなもので、私の大好物です。何かと食べてきましたが、このお店のものは今までで一番美味しかったです。

昔聞いた言葉で「その季節のものを食べることが何よりの健康の秘訣」というものがありました。ドイツに来てからはこの言葉が改めて実感できます。

また、併設のワイナリーでは無料のテイスティングが出来ます。紹介して頂いたワインが凄く美味しかったので、私も1本買ってしまいました。

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買ったワインは2018年産のリースリング、かつAUSLESE (ドイツワインの最高ランク) のものでした。これで12€なんですから驚きです。もし日本で買おうものなら3,000円は超えることでしょうし、直売だからこそ出せる値段なんでしょうね。

というより、フランス、ドイツ、イタリアはワインが安すぎます。10€も出せば最高のワインを楽しめる環境ですので、ドイツにお越しの際はビールだけでなく是非ワインも試していただきたいです。


勉強と就活で忙しかった2ヶ月間でしたが、新しい分野の勉強に一喜一憂したり、白アスパラガスやワインを楽しんだりとそれなりに濃厚な時間を過ごすことが出来ました。

パンデミックでずっと家に引きこもっていましたが、やっとドイツ留学らしい生活が出来るようになってきたのではないでしょうか。

来月からは宿題の締切と期末試験が迫ってきますので、今まで以上に忙しくなりそうです。最近ちょっとホームシックっぽくなっていますが、気を引き締めて頑張っていこうと思います。


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