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書くって楽しい、でもつらい

やっと文学フリマに出す新刊『毒親育ちの恋愛事情』の初稿が完成した。好きで制作しているのに、書いていて時々苦しくなった。あまりいい思い出ではない記憶も掘り起こしながら書いていた。
創作にあたり、どうしても明るい気分ではいられない時期がある。伝えたいことが辛い記憶の中にあり、取りに行くには感情の底に沈まなければいけない。うわべだけのエピソードを書いても、納得できる作品は書けないだろう。
前作『毒親育ちが大人になってから』を読んだ友人が、私の作品を「魂を削っている」と評した。制作中に意識していたわけではないが、そうかもしれない。ライターなので普段から様々な文章を書くが、原稿を書いた後は疲れきってしまう。最近はやたら眠い。原稿がキリのいいところまで進んだら、小一時間寝てしまう。
文章を書くのは楽しい。自分の経験が誰かの支えになるのは、何にも替えがたい喜びだ。それでも制作の過程は苦しい。思い出して昔の感情に引っ張られる。手が止まる。読んでもらうまで、自分の作品がいいものか確信が持てない。
原稿を書くのに何杯もコーヒーを飲み、甘いものを食べる。入稿の前は明け方まで作業をする。余裕をもってスケジュールを組んでいるはずなのに、気付くと毎回ギリギリまでかかってしまう。大学の試験前によく飲んでいたレッドブルを、このときだけ再開する。体に悪いことは百も承知なのだが、エンジンをふかし続けるにはどうしてもこれらが必要なのだ。

前作『毒親育ちが大人になってから』を出してから、何人かの方に感想をいただいた。その中には、書く過程で生じる苦しみを察しねぎらってくれた文もあった。心優しい読者に恵まれたと思った。
苦しいとはいえ、伝えることを諦めたくはない。入稿まであと少し。今までもらった言葉を思い出し、読者を思い浮かべながら最後まで仕上げるつもりだ。
原稿が終わったら一息つこう…と思っていたのだが、5/3のFLEA ZINE MARKETでもコピー本を出したくなってきた。ランナーズ・ハイならぬライターズ・ハイだろうか。書くのがつらいと言いながら、書かずにはいられないのだろう。もし出すなら、また旅行記でも作ろうかな。


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