見出し画像

書店と旅は似ている

ここ数年、個人書店へ行くようになった。個人書店とはその名の通り個人で経営している書店で、店主独自の基準で本が並んでいる。書店によってやカフェやイベントスペースを兼ねているところもある。同じ書店といってもラインナップが全く異なり、その店独自の雰囲気があらわれる。お気に入りの書店を見つけると、足繫く通ってしまう。

もし特定の本を買いたいだけなら、便利なのは大型書店やAmazonだろう。たいていの本はそろっているし、欲しいと思ったときすぐに購入できる。私も時々利用している。
本を入手するのに便利な手段も普及しているので、普段は個人書店に全く行かないという人も多いだろう。個人書店は大手の書店よりこぢんまりとしていて、駅から遠い店舗もある。人によっては入りにくいと感じるかもしれない。
日頃個人書店を利用しながら、行ったことのない相手にその良さをうまく説明できずに困っていた。店の雰囲気や店主の人柄ももちろん理由になるのだが、どうも本質的な答えにはならない。答えを探るうちに、私が個人書店に通う一番の理由は「本との出会い方」にあると気付いた。

同じ電車に乗った人と仲良くなる機会はめったにないが、同じ職場や学校にいて仲良くなることはある。同じように本を手に取る機会があっても、出会い方が変われば印象も変わる。
個人書店の本は、店主が自分のセンスで選んだものだ。限られたスペースの中で、店主が置きたいと選んだ本。それだけで特別な存在だ。ネットの画面や大手書店の一角ではなく、小さな書店という空間で出会うからこそ印象に残る。

未知と出会う機会という点で、本屋と旅は似ているのかもしれない。
旅でも思いがけない人と仲良くなる。それは旅をしなければ起こらなかった出会いだ。その出会いを通して新しい価値観に出会い、自分の中身が変わっていく。
実際、個人書店で出会ったのがきっかけで手に取った本は多い。休職していたときにイトマイさんで『無職本』を手に取り、フリーランスという選択肢を発見した。でこぼこ書店さんで『ロングゲーム』を読んでからは、すぐに成果が出ない情報発信にも力を入れるようになった。
本との出会いを通して、私の生き方は変わってきた。書店を「本を買う場所」だけでなく「自分にない何かと出会う場所」として活用してきた。
最近、ありがたいことにいくつかの書店に自分の作品を置いてもらっている。私の作品が誰かにとって、新たな気付きを得るきっかけになればと思う。

本屋イトマイさんのいちごのせプリン(季節限定)とカフェオレ
でこぼこ書店さん


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはZINEの制作費に使わせていただきます。