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最新調理テクニック紹介『トランスグルタミナ ーゼを使ったロールサーモン』

以前『トランスグルタミナーゼを使った成形 ローストビーフ』では肉の結着をご紹介しましたが、今回は魚篇です。

切り身があるけれど「ちょっと薄くてボリュームがないなぁ」という時はあるのでは ないでしょうか。薄い切り身を焼くと火が通り過ぎてしまいます。そんな時に使うテクニックです。今日は刺身用のサーモンを使って いますが、基本的にどんな切り身でも同じようにロール状に成形することができま す。

注意点は肉の場合と同様に細菌対策です。すでに掲載している以下の記事を参考にしてください。

低温調理における安全性、リスクとどう向き合うか(その1)
低温調理における安全性、リスクとどう向き合うか(その2)

前回の『トランスグルタミナーゼを使った成形 ローストビーフ』の場合はパスチャライズされる温度帯、時間で加熱しているので比較的、安全なはずですが(理論的根拠については上記の記事を参考にしてください)魚の場合は最適な加熱温度が安全な温度帯よりも低いため、低温調理には特に注意が必要です。

安全面での問題をクリアするためには、あらかじめ食中毒菌が付着していないことが担保できるお刺身用の魚を使う必要があります。夏場に釣りをしてきた魚を台所でおろして低温調理というのはおすすめしません。その場合には別の場所で常に低温を維持し、調理する台所とは別の場所で魚をおろすこと、真水できちんと洗ってから台所に持ち込む、などすれば安全性を担保することができます。

また、これは低温調理に限った話ではありませんが、魚を扱うとき、とにかく気を付けるべきは温度管理。スーパーから家に持ち帰る時も氷をかませて、温度を上げないようにつとめましょう。

半分に切って、長方形にします。腸炎ビブリオが心配であれば真水で洗います。

サーモンに味をつけます。ブライニングという技法を使ったほうが仕上がりがきれい です。ブライニング液は水200cc、塩20g、砂糖10gを溶かしてつくります。このく らいの大きさの切り身なら20分も浸ければ大丈夫です。この時、水溶液の温度にも注意しましょう。菌が増えない5度以下を遵守してください。

ペーパーで表面の水気を拭き取ります。左側にあるのは尾っぽの方の身です。通常、 尾の身はボリュームが出ないのでなかなか利用が難しいですが、このテクニックを使えば遜色なく提供することがで きます。

ラップを敷いたところに魚の切り身を置き、トランスグルミターゼをまんべんなくふ りかけます。

もう一枚の切り身を重ねて・・・・・・

ラップで硬く巻いていきます。

45度のお湯で30分間加熱します。かなり前にご紹介した低温コンフィは生に近いレア の食感のため40度で加熱しましたが、今回はミディアムの食感を出したいため加熱温度は45度です。

とりだすとこんな感じです。少し身が膨らんだのでさらに丸くなっていますね。

二枚の切り身がぴったりとくっついて区別がつかないはずです。

適当な厚さに切って、強火で熱したフライパンで表面に焼き色をつけます。焼き色が ついたらマルドン産の塩など粒の大きい塩を表面に載せます。

簡単なソースをつくっておきましょうか。焦がしバターでもおいしいのですが、今回 はさっぱりとピカタソースを添えます。ピカタソースはイタリア料理のpiccataに添え るレモンソースをアレンジしたものです。


ピカタソース
白ワイン 90cc
ケッパー 10g(塩漬けを洗ってから使う)
レモン汁 15cc
オリーブオイル 大さじ2
バター 20g
イタリアンパセリ 適量


まずは鍋に白ワインとケッパーを火にかけて、軽く煮詰めます。目安としては60ccになるまでですが、適当でも大丈夫。

煮詰まったらオリーブオイルを加えて、

バターをいれたら火を止めてよく混ぜます。ケッパーから塩気が出るので味付けはし なくてもいいでしょう。ちなみにこのソースは鶏肉や子牛肉とも相性がいいもので す。

さっぱりとしたソースとミディアムな食感の鮭がよくあいます。トランスグルミター ゼを使えば魚の形を色々と変えることができる、というテクニックでした。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!