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人質取り【地底帝国の詩 100】

ヤマトとギロチヨと構成員のひとりは
培養液に沈んでいるため
目を開けることが出来なかった

そのため
ヤマトが気配を察知し
出てくることを合図として
他のふたりも出る算段のようだ

慌てて入って来た研究員が
ヤマトの入った培養液カプセルの前を通ると
他のふたりはそれに反応して勢いよく飛び出た

肝心のヤマトは
身長タッパが足りず
カプセルから出ることに苦労していた

ギロチヨは前を横切った研究員を人質に取ると
それはかつてのギロチヨの同僚
アサツキであった

「た、頼む、殺さないでくれ…!
俺には家庭があって、子どもだっているんだ…!」

── 研究員

「ん…?お前…アサツキじゃないか」

── 副族長ギロチヨ

「その声ギロチヨか?
お前、自分が今何をしているのか分かっているのか?」

── アサツキ

「アサツキ、お前こそ。これらはなんだ?」

── 副族長ギロチヨ

「オレだって、人殺しにはなりたくない…」

── アサツキ

「だが、ここにいれば人殺しのようなものだぞ?」

── 副族長ギロチヨ

「それは分かっている…!
でも、俺がここを裏切れば、家族は殺されるんだ…!」

── アサツキ

「オレはお前も、お前の家族も救ってやる。
必ずだ。約束する」

── 副族長ギロチヨ

◆ 新事実 ◆

・人質にとった研究員は、かつてのギロチヨの同僚、アサツキであった。

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