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スコアシートから見るコンテスト(1)

教えてやる… サッカーってのはな… 相手より多く点を取るスポーツだ

漫画「ブルーロック」1巻

競技である以上、ルールがあり、得点化され、勝ち負けがあります。
サッカーや野球はまず「何対何で、どちらが勝ったか」、レースなどでは「何点取って何位だったか」ということが重要視されます。
今日ヨーヨーの競技会、大会というのは後者のフォーマルで競い合われています。
得点化されるということは、何かしらの基準があり、それが評価されるということです。
プレイヤーは「勝って良かったね」「負けて悔しかったね」ではなく、「何故勝てたのか」「何故負けたのか」という観点で、
観客は「どういう勝ち方だったのか」「何故あの人よりあの人の方が上なのか」などの観点で、
それぞれ踏み込んだ目線でスコアシートを見ると、より深く競技を楽しめるはずだ、と考えています。

この章では実際の演技とスコアシートを見比べながら、入船の個人的ハイライトを書いていこうと思っています。

*入船個人の感想です
*ある程度引用はしていますが考え方そのものにリファレンスはないので入船個人の見方になります


2023JN  (1A部門本選)

まずは演技をご覧ください

そして演技後、西村選手をスポンサーしているJTのアカウントからのこんな裏話が。

「交換したら勝てない」
この言葉の重みは、最前線で戦ってる選手であればよく知っているであろうと思います。
交換をする、ということはルール上の「放棄」を選択することになります。

https://www.jyyf.org/fsrule

ルール上の「追加減点」の項目に含まれる部分になります。
追加でない減点というのは、クリッカーによる減点(操作ミス)です。
スコアシートのTEの部分に含まれる項目になります。

https://jyyf.us14.list-manage.com/track/click?u=b8d1fd1032eecfdfbdfba46c9&id=4999c23c9a&e=afda1cc11b

これがそのスコアシートになります。
一番左の青く塗られているTE合計(60%)の部分がジャッジがクリッカーによって加点、減点をカウントする基礎的なポイントになります。
そしてその右のFEが演技の内容、ストリングタッチ以外の構成要素を評価する部分になります。
そして加点合計があって、その後に追加減点が出てきます。

つまりどういうことかと言うと、演技における評価をノーマライズされた後から直接減点されることになります。
僕自身が大会に出場していた頃も当然念頭にはあったものの、それがどれほど成績に影響を及ぼすか。今回の事例がこれ以上ないインパクトを与えました。

該当の部分を大きく表示します。
西村選手が交換を行っていた場合、92.6から直接-3されて最終得点は89.6となります
上位4名がここまで混戦していて相当レベルが高い大会でしたが、この判断ひとつで1位が5位になっていた可能性があるわけです。そうなると表彰台にすら立てていません。

現行のヨーヨーの大会はフィギュアスケートのようにリアルタイムでスコアが出て順位が分かるシステムではありません。西村選手は演技順は最後から2番目でしたが、自分の前までの選手の演技のスコアが分かっていた上で、「交換したら勝てない」と判断したわけではないわけです。
おそらくは肌感や今までの経験則から導きだした結論だったのだろうと思います。
全国大会の決勝、しかもその演技中にその判断と覚悟を持てたということがどれほどドラマチックなことか。
ここからスコアシートを追う面白さを見出しました。

ここからはより実践的な内容を含めて現在開催中の大会を追いたいと思います。

2024年WJ(1A部門予選・本選)

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