見出し画像

推し活してたら偶然見つけた、推し活する女子の推し活をする私。

「夢女」と「壁」についてはこちらを↓

大体わかるし、面倒なら↓読んで下さい。

突如Bリーグに沼落ちし、最推しの富樫選手の写真を見漁る為、フォローさせていただいた人の中に、何故か比江島選手の夢女さんがいた。
彼女は推しとの恋愛を本気で夢見る「夢子さん」
鼻くそほじりながら私はその動向を見ていたが、いつしかその熱心さに心を奪われ、気が付けば私は彼女の「壁」になっていた。

2人の何かが交差しそうな出だしだが、そんなケミストリーは存在しない。


私が夢子さんを意識し出したのは、2023年の秋の初め、リーグが開幕した頃。

私は夢子さんの恋人(近い未来)宇都宮の比江島選手を特段注目していない。
だからと言って嫌いでもないし、会えると言われたら会いたいけれど、それは震えるほどの感情でもない。
比江島選手も富樫選手と仲は良いが、SNS上では絡みがほぼ無い。公式戦でお目にかかる程度。
個人的には、ヒロアカのデクのクラスメイトである砂藤くんくらいのポジションだ。

だが、夢子さんはが絡むと一気にお茶子ちゃんにプルスウルトラする。

朝起きて、朝食と身支度そして掃除を済ませると、一旦コーヒーを淹れながら推し達(富樫選手とその周りの選手皆様)をチェック。一通り済んでから夢子さんだった。

だが、夢子さんの「壁」になった今の私は、コーヒーを淹れたら5秒で夢子さんだ。
もはや夢子さん>富樫の日も近い。

まず、夢子さんは私の恋愛の辞書にない「マメさ」がある。

朝の出勤前(予想)おはよう❤️
出勤途中(妄想)今日も頑張ろうね☺️
お昼休み(自信ある)今も練習中かな?怪我だけは気をつけて💦
帰宅途中(きっと多分)週末は試合、やっと会えるね❤️
帰宅後(犬飼ってる)いつも一緒に応援してるよ🫶
就寝前(健康的)おやすみ💤ひえじの夢見れたらいーいな!なんてね🥰

*全て私が考えた忠実な例です

毎日このルーティンを欠かさない。
宇都宮の気候、所属チームに関係ありそうなニュース、選手の挙動を逐一チェックし、それを織り交ぜた四季折々かつ、時には姉の様に心配し、また時には後輩の様に慕ったメッセージを綴り続けている。

人の頑張りを自分の生き甲斐にできる。

年の数だけ恋愛はしたが、私には装備されなかったこの感情を彼女は標準装備しているのだ。君は君でまぁ頑張れ、私は私でそれなりにやるわ。とはならない。
富樫選手が試合をする姿は確実に励みになるが、人生まではかけない。この辺りに「壁」の習性が色濃く出ている。

さんまさんも言っていたが、ファンというのは本当に有難い存在で「今週は栃木で来週は北海道。絶対来てね!」と言われて「はい!喜んで!」と駆けつけてくれる人がこの世に何人いるだろうか。

息してたらそれが最高のファンサなんて言ってくれる。下衆な私は言えない、だって可愛い姿が見たいもん。

自分に無いものを持ち、それを惜しみ無く注ぎ続ける夢子さんを、私は心の底から尊敬している。

友人(限界オタク、夢女拒否)に話すと「いやぁこの手の人は・・・」と言葉を濁したが、よく考えてみてほしい。

今、一番、人道を外しかけた謎の行動を取っている私が目の前にいる事を。

途中から何やってんやろって薄々感じてた。
これが灯台下暗しか。
己が一番気持ち悪い事に気付けない哀れなモンスターか私は。
だが、例えモンスターに成り果て、街を追われ山奥に逃げ込み、震えて生きる日が来たとしても、私は知っている。
人間の愛を。
それを夢子さんは教えてくれた人だ。たった一つ愛があれば、人は人でいられる。


気を取り直そう。

気温も下がり、12月の初め。
私は1月に開催されるBリーグオールスターのチケット争奪に名乗りを上げていた。
人気投票で選ばれし出場選手がYouTubeで生配信と聞き、勇んでオープンチャットに待機する。

私はパリピ気質のお祭り女でもある。
群馬の辻選手はライバルと言って不足無しだ。
大騒ぎで始まった人気投票の開始10分。
私は気付いてしまった。

夢子さんが・・・チャットにいる。

ネットとは言え、事実上エンカウントしているだと?
震える指先、白くなる脳内、そして目の前に君がいる(いつものアイコン)
私は最推し(プロレスラーのYAMATOさん)と相見えても、緊張ゼロで逆にテンションが上がる肝っ玉が眼鏡をかけてオタクしてる様な女だが、この瞬間に関しては初めて張り詰める空気を肌で感じた。

今までただ文字と写真(比江島選手)を見るだけの一方的な私のほとばしる熱いパトスが、思い出を裏切ってリアタイで対峙している。

落ち着くのだ私、息は吸い、そして吐くもの。
その間にも流れ過ぎる残酷な天使のテーゼ(選手発表)を、私は右から左へ受け流してしまっている。

ー集中出来ない、もう、夢子しか見えないー

次の瞬間、私は夕暮れの学校の校庭に立っていた。

「地区大会、準優勝おめでとう」

優しい声が背中を叩く、幼馴染の夢子姉ちゃんだ。
「なにが?おめでたくないって、全国連れてくって約束したのに・・・」
私の目頭は既に熱く、声は掠れている。
初恋の人との約束を守れなかった自分の不甲斐なさが、羞恥心に似た焦りになって素直に笑って振り向けない。
そうだ、振り向いたとて過去になど戻れやしないんだ。
私達は未来に進むしかない。そしてその未来は、夢子姉ちゃんの「卒業」

「私はさいっこう!に良い夢見れて、幸せだったけどなぁ?」
「嘘つきに励ましなんかいらないよ」
「嘘つきじゃないよ!」
ジャリッ
夢子姉ちゃんのローファーがグラウンドの石を噛む。
ゆっくり近づく足音に、怒る肩が震えて涙が一粒グラウンドに染みる。
試合に負けた事より、夢子姉ちゃんの優しさが今は辛い。
歯を食いしばってグラウンドの点になった涙を踏んで隠した。
「君が夢を叶えるために頑張って、私は一緒に全力で応援した。その時間を嘘なんて言わないで?私たちの大事な時間なんだから。私、悲しくなっちゃうよ」
「夢で・・・終わらせた」
「そうね、結果は覆らない。でも良い夢だったよ」
突然グラウンドの照明が落ち、夢子姉ちゃんが小さな悲鳴と共に肩をすくめ、すぐに吐息のように小さく笑った。

遅くまで自主練に付き合ってくれた夢子姉ちゃんを家まで送った帰り道。
花火大会に偶然遭遇し、突然夜空に轟いた花火と光の点滅に、小さな悲鳴も共に肩をすくめて、恥ずかしそうに隣で笑った夢子姉ちゃん。
その華奢な肩に触れたくて。
触れたくて仕方なかった。

あなたは私の青春なんだ。

「私は夢見る夢子!素敵な夢を、ありがとうね」

夢子姉ちゃん!!!

は?!誰やねん夢子姉ちゃんて。

危ない危ない、謎のトリップ中に選手発表が終わってインタビューまでいってるやんか。
あ!ぐへへへ、富樫選手眠そうでかわいい。

よし、通常運転だな!

だがしかし、これは大変な事になったぞ。

オールスターに行けば夢子さんにも富樫選手にも会えてしまう。

大丈夫かな、私、爆ぜない?
誰よりも光を放つ、私が神話になるかもしれない。


毎日エッセイまとめてます。どうぞよしなに

この記事が参加している募集

沼落ちnote

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?