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【2つのポイント】400m走のパフォーマンス向上について

どうも。
大変ご無沙汰しております。さかもとです。

最近は、トレーナー育成のコンテンツ作成に時間を割いており、なかなかこちらの更新ができておりませんでした。YouTubeもしかり…

昨日、『来シーズンから400mに専念する』との相談を選手から受けました。

今まで400mを専門した選手を見てこなかった為、いい機会だなぁと思い、いくつか論文を集めました。

選手への説明前に、noteにまとめておこうと思い、こちらを書いています。

※相談相手が女子選手である為、論文の一部は『女子選手』のものとなります。

後々、YouTubeでも動画講義を撮りますので、出来上がったらこちらにもシェアしますね。

↓↓(10/4アップ)

https://youtu.be/spLvy2WRl1k

400m走とは

ますば400m走の理解からですね。

400m走とは、走行時の消費エネルギーの60%が無酸素性エネルギーに依存し、乳酸性疲労と戦う競技である。
スタートから80mで最大速度に達し、その後は徐々に低下する。この低下率が低いほどパフォーマンスが高いと言える。
(400m走における筋活動が疾走速度に及ぼす影響,鵜飼)

と定期?とは言わないものの、400m走についてこちらの論文にてまとめられていました。

ちなみに40%は有酸素エネルギーと近年は言われているようです。

400m走に求められるエネルギー供給

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400mは、無酸素系の「乳酸系(解糖系)」と言われるところに分類されます。

感覚的にも1番しんどいやつですね。

400m走の目安タイム

【高校性400mの平均タイム】
男子:55'28
女子:65'62

となっています。

もちろん学年により、平均タイムに変化はありますが。
高校平均としては、上記のタイムが目安になるかと。

初めて挑戦する方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに…

【男子】
50秒を切った選手は全体の0.1%
52秒は14%、54秒は42%
・・・日本記録:44'78

【女子】
58秒を切った選手は全体の3%
60秒は8%、63秒は24.5%
・・・日本記録:51'75

となっています。

すでに400mを専門にされている方は、こちらを目指して頑張りましょう。

ここからは、パフォーマンスを高めるためにどうしてらいいのかを

2つのポイントにまとめて書いていきます。

Point①:400m走に必要な筋肉

ここが知りたいポイントですよね。

結論から言うと

ハムストリングス、腓腹筋(特に外側頭)、大臀筋、大腿四頭筋(特に内側広筋、大腿直筋)、内転筋群

となるようです。

100m選手と基本的には変わらない感じです。

とは言え、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)か入っている点は、100mとの違いかなという所。

やや長距離選手的な要素がある様に感じますね。

また、400mのパフォーマンス低下を抑えるためには、股関節屈曲筋と伸展筋の持久力が重要とのこと(尾形,2003)

以下の画像のように走行時の股関節・膝関節トルクは、走速度増加において増大していきます。

400m後半において、有意に減少したのは膝関節トルクだけ。

ただ、パフォーマンス低下との関係では、股関節屈曲・伸展と膝関節屈曲トルクの減少率との間に優位な関係が認められたとのこと。

スクリーンショット 2021-10-02 15.32.52

負荷設定において、特異性が必要ですね。

内転筋がパフォーマンスを上げる!?

女子400m選手を対象とした研究では

女子選手を対象とした研究では、筋横断面積と400mパフォーマンスとの間に相関関係あり。

これを細かくみると
・400m後半の区間タイムと優位な相関関係
・ストライドとの相関関係(ピッチはなし)

これらが、400m選手にとって内転筋群のトレーニングが必要とされる理由

(股関節内転筋群の形態的・機能的特性がロングスプリントパフォーマンスに及ぼす影響,前村ら)

と言った研究結果があります。

100mの時もでしたが、走る上での『内転筋』の重要性が良く分かりますね。

陸上競技選手にとって、めちゃくちゃ大事な筋肉だなぁと思います。
作用から考えても、ハムストリングスの肉離れ予防にもなりますよね。

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☑︎合わせて観たい
【短距離必見】スプリンターが速く走る為に必要な脚筋力について【4種類/筋トレ】 
https://youtu.be/uG7-di6ptuc
トレーニング方法や内転筋の作用などを紹介しています。参考になるかと思います。
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Point②:ミトコンドリアを増やす

【400m走に必要な持久力】
八田(2004)が、持久的トレーニングにより、速筋線維にミトコンドリアが増えて遅筋線維の性質も持つと述べています。

このことから速筋線維の遅筋化によって、乳酸は作られにくくなると考えられます。

全体の傾向としては持久的能力の高い選手ほど血中乳酸濃度は低くなる可能性があると言えます。

実際に、MART(Maximal Anaerobic Running Test)という無酸素性能力を測定するテストにおいて、中距離走選手は、短距離走選手より最高血中乳酸濃度が有意に低い(P<0.01)ことが認められています(森丘ほか,2003)

ミトコンドリアについてはこちら

補足:乳酸の話


「乳酸=悪者」のイメージではないでしょうか。でもそうではなくて。

運動強度(走速度など)が上がり、多くのエネルギーが必要になると、エネルギー供給系の一つである解糖系(乳酸系)が亢進します。

そして、糖分解が進むとピルビン酸が生成されます。

それがミトコンドリアの反応量より多くなると余ったピルビン酸が乳酸になります(八田,2008)

つまり、ミトコンドリアで酸化しきれないピルビン酸は乳酸に変化することになります。

そして乳酸は血中へ放出され、ミトコンドリアの多い遅筋線維などに取り込まれて酸化されます(八田,2008)

すなわち乳酸はエネルギーとして使われるのです。

したがって運動強度が高まると、乳酸は作られ、使われます。

これらのことから、血中乳酸濃度は、乳酸の作られた量と使われた量のバランスで決まるといえます(八田,2015)

速筋繊維のミトコンドリア量をいかに増やせるかがポイント

まとめ

【400m走のパフォーマンス向上の課題】
・基礎筋力の向上
・筋持久力の向上
・心肺持久力の向上
・ミトコンドリアの増加&活性化
(・自分に合った走りとレース展開を見つける)

【トレーニング計画】
・60〜75%1RMとなるよな負荷(回数で言うと10〜20回程度)
・TABATAトレーニング(詳細はこちら

とはいえ『短距離』に分類され、また疾走能力も必要である為、パワー系種目も選択も必須ですね。

参考文献

短距離トップランナーの400m走中脚筋電図の記録

股関節内転筋群の形態的・機能的特性がロングスプリントパフォーマンスに及ぼす影響

400m走 中の下肢関節トルク持続能力と下肢の筋持久性との関係

走の筋電図的研究

400m走における筋活動が疾走速度に及ぼす影響

短距離走における血中乳酸濃度の解釈

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