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トランペットの潰れについて1( #今朝の一言_ラッパの吹き方 )

毎朝7:30に荻原のTwitter(現 XですがわかりにくいのでTwitterで統一します)とFacebook「ラッパの吹き方」に掲載しております「 #今朝の一言_ラッパの吹き方 」。

トランペットのことや音楽に関するひと言を毎朝掲載しております。最近は少々物騒ではありましたが「潰れ」についてのお話がしばらく続いていました。

「トランペットの調子が悪い」の、もっと先、音が出せなくなる状態を僕は「潰れ」と読んでいます。多分同じ言葉を使っている方も結構多いと思いますが。

後輩が潰れてしまった話

僕が高校生の頃(30年ほど前)の話です。当時僕は母校の中学校の部活のお手伝いによく顔を出していました。その時トランペットを担当していた後輩にひときわ真面目に練習をする子がいまして、責任感が強く、とにかく一生懸命だったですが、夏休みに入り吹奏楽コンクールの練習が本格的になってきた頃から、トランペットの調子が悪くなりました。

その子は元々ハイノートがあまり得意ではなくて、でも3年生になって1stを担当することが多くなり、苦戦していたのを覚えています。今ではどの学校に音大生や専門で楽器をやっている人が講師に来ることが多くなりましたが、30年前の小さな公立中学校にトランペットに特化した講師がいることのほうが珍しく、結果、正しい奏法など誰も知らず、どこから仕入れてきたかわからない大昔から言い伝えられている吹き方(口を横に思い切り引っ張るとか、楽器に沢山息を入れるとか気合いとか根性とか間違った情報ばかり)を盲信した状態でみんな演奏していました。僕も。

活動時間に関しても今とはだいぶ違って、当時の部活動は顧問がOKなら公立中学校でも夏休みは毎日朝から夕方まで活動ができていました。そもそも、長くやることが上達への基本という世の中の風潮もありましたから、多分どこの学校も似たような感じだったはずです。
当時は職員室以外に冷房はなく7,8時間もの間、暑い音楽室やら体育館で合奏ばかりを続けていましたから、体力も精神力も消耗は激しかったと思います。

そして最も問題だったのが、当時指揮・指導していた外部講師の指導。大声で怒鳴りつけるようなことをすることは稀でしたが、とにかくコンクールで金賞をとって県大会に進むことへのこだわりが尋常ではなく、そういった意味での精神的な重圧は部員たち強くのしかかっていました。その割に管打楽器に関する知識は十分とは言えず、ウォームアップの重要性はもとより休憩と練習のバランスなどは昭和の根性論そのままに「バテても音が出せるようになれ」「バテてからが練習だ」と疑うことなく言う指導でした。

このような条件が重なって、その後輩の子はコンクールが近づくにつれ、まず高い音が出なくなり、そして中音域も出なくなり、ついにはノイズばかりで全ての音が出なくなってしまいました。
本人もどうやって音を出していたかわからなくなったようで、合奏に参加できなくなり、ひとりで別メニューの練習に取り組むことになりました。

吹奏楽における1stトランペット不在の合奏は、メロディがところどころ消えてしまう結果になり、そんな状態の合奏になってしまったことを自分の責任だと思って責めてしまい、精神的にも追い込まれ、ますます音が出せなくなってしまう負のループが生まれてしまいました。

結局コンクール当日まで完全に回復することはなかったと記憶していますが、この時の経験が僕の中に未だ強く残っていて、正しい知識で正しく演奏することの大切さを見にしみて感じたわけです。

トランペットはスポーツや筋トレをするような体の酷使はしないものの、少なからず自分の体を使って演奏しているわけですから、音の出る原理や体の機能について正しく、詳しく知っておくことが大切です。


…長くなりそうなので明日この続きを掲載します!ぜひ明日もご覧ください!


荻原明(おぎわらあきら)

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