ankowakosianha

映画・読書・もろもろの雑感置き場。 主に壁打ち用です。

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最近の記事

現代アート界への皮肉たっぷり社会風刺映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』感想

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017) 原題 The Square   監督/脚本 リューベン·オストルン ド 全編皮肉、振り返ってスクエア(スクリーン、TV、タブレット、スマホ)越しにこれを観ていたこちら側も盛大に皮肉をぶっ被る話 あらすじ 現代美術館のチーフキュレーター、クリスティアン。次の展覧会の目玉である「スクエア(地面に正方形のエリアを区切っただけ)」は"すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる"がテーマ、彼自身もそれに恥じない人間であるとの自負がある

    • 男は〇〇であれの固定観念から逃れられない悲喜劇映画『フレンチアルプスで起きたこと』映画感想

      フレンチアルプスで起きたこと(2014) 原題 Turist    監督/脚本 リューベン·オストルン ド あらすじ フレンチアルプスに家族旅行で訪れたノルウェー人一家。さっそく雪山を楽しもうとした矢先に、父親が大失態、それを妻からはネチネチ責められ、子供達からは冷ややかなまざし バカンスが始まったばかりなのに針の筵状態になってしまった夫、妻と子供達との関係はリカバリー可能か?というブラックコメディ フレンチアルプスのリゾートホテル、さすがに快適そう、天候もほぼ恵まれて

      • 【映画感想】殺人ホテル

        核災害にみまわれた近未来の世界。 街は荒廃し、霧と曇天が空を覆い薄暗く、生き残った人々は飢えに苦しみ日々を生きることさえままならない。 ある篤志家がホテルで一夜限りのディナーショーを開催するという。 それに参加したある一家が体験する恐怖の話。 主要登場人物は レオ(ギッテ・ヴィット)元女優 ヤコブ(トマス・グルスタッド)レオの夫 アリス(トゥーヴァ・オリヴィア・レーマン)ふたりの娘 マティアス(ソービョルン・ハール)ホテルのオーナーかつディナーショーの演出家 ショ

        • 【映画感想】ブーブル

          インド産ダークファンタジー。 三兄弟が全員クソ。  長男・領主、DV夫。 次男・レイプ魔。 三男・兄弟の中では善良だがボンクラ。 児童婚(ブーブルは5歳の時に領主と結婚)と、インドの女性に対する考え方(持ち物-女性への人権意識が薄い)の問題を扱った寓話的ファンタジー。 超自然的な力を得ることでしか男逹に制裁を加えられない……という設定が少し哀しい。 ブーブルの場合、貧しい実家ゆえ5歳で裕福な領主の妻になり。しかし扱いは奴隷(足に指輪-トゥリング=人差し指に嵌めるのは奴隷

        現代アート界への皮肉たっぷり社会風刺映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』感想

          【映画感想】哭悲(こくひ)/THE SADNESS

          ダニー・ボイル監督『28日後』の後継的な台湾パンデミックバイオレンスホラー。  監督はロブ・ジャバス。 観終わった後の感想は(意外と綺麗な血みどろホラーだったなー)というもの。 後日、腑に落ちない点をあれこれ考えた後にパンフを読んだら"余計な表現は無くし(中略)醜いアイディアを高い純度で伝えることを意識した"という監督のステートメントがあり、自制の取れた表現方法をあえて選んでいたと納得。 序盤〜中盤はお見事。 屋上に佇む白髪の老婆、そして料理屋でジュンジョーを見てに

          【映画感想】哭悲(こくひ)/THE SADNESS

          【短編映画紹介】モンスターがパジャマパーティーを襲う

          アトラクションの前フリみたいな30分の短編。 最初にマッドドクターからの警告があり、そこから更に6分間がゴリラによるキャスト・スタッフ紹介。 本編は、女子学生クラブの入会儀式のため廃墟で一晩過ごすことになる新入生の女の子達。 しかしそこはマッドドクターとその下僕のゴリラ、せむし男、魔女?が住んでおり、女の子達を拉致って実験に使おうと待ち構えていた……というもの。 女の子達はみなスタイルがよく、お揃いのデザインで色違いのヒラヒラしたパジャマかかわいい。 昔のドリフター

          【短編映画紹介】モンスターがパジャマパーティーを襲う

          【映画感想】82年生まれ、キム・ジヨン

          原作既読。 原作が小説というより患者のカルテという形をとった全体が問題提起の内容の……フェミニズム小説(小説とも言い難い)そのため、キム・ジヨンが抱えてきた葛藤や悩みを "何故女ばかりが背負わなくてはならない?" という疑問を投げかけている。 ただし、その解決は提示されないまま終わる、原作のほうは。 その点で言うと、映画のほうはラストでキム・ジヨンのある着地点が示されるので"物語"としては映画のほうが纏まりが良いと思う。 トピックひとつひとつを見てみれば、日本でもある

          【映画感想】82年生まれ、キム・ジヨン

          【映画感想】ファイナル・デッド・ツアー

          売れないバンドとツアーに同行する食人鬼おじさんとのほっこり(ではない)スプラッターホラー。 むしゃむしゃと食事しているところをジュディに目撃されて、彼女はともかく、ペックまで「きゃー!!!」ってお前は乙女か!!! その後、レストランで3人に詰められて"しゅん"としているペックさん、彼の目の前にはイチゴが乗ったパンケーキ……やはり乙女なのかペックさんwwww ペックさんステージの盛り上がりに一役かうし、いつの間にか販促物も完売させる売り子としても使える子、なにより"ダー"

          【映画感想】ファイナル・デッド・ツアー

          【映画感想】The Dress

          一枚のドレスが次々と災難を招くという呪いのドレス不条理ダークコメディ。 最初の老婦人から妙齢の女性の手に渡り、それは古着屋に流れ10代の少女へ、やがて布切れ、そして絵画、そして土へ還るのですが、人から人へ渡り歩く間に、災難が次から次へとやってくる。 そのドレスを着ると見た男達の性的な欲望が表出するらしく、最初の老婦人のケースは夫に欲望の火がつき"取り敢えず良かったねぇ"なケースに落ち着きますが、次に手にした女性は車掌の男にストーキングされたうえに寝込みを襲われる。 抵抗

          【映画感想】The Dress

          【映画感想】パラサイト・バイティング- 食人草

          邦題がネタバレかましている。 原題(遺跡・廃墟)のまんまでいいじゃん。  そしたら (モンスターが草かよwwwwww ) で意表をつけただろうに。 勿体ないねぇ。 彼等を襲撃する食人草、声真似ができるというスキル持ち。 雌蕊雄蕊を震わして鳴らしているという仕組みなのか、その声真似で大学生御一行のメンタルを削いだり、傷口から侵入して皮膚の下を這い回るという触手っぷりを発揮したりと、植物ながら頑張っている(まあでもCGはそれなり) そこそこエグいシーンもあった。 酔うと

          【映画感想】パラサイト・バイティング- 食人草

          【映画感想】キラー・ジーンズ

          タイトルでネタバレ、ジーンズが人をサクサク殺害してゆくという、とんちき設定ながら意外に社会派なテーマを盛り込んでいるスラッシャーホラー。 ファストファッションに限らず、大企業の下請け労動者の労働環境問題は定期的に話題になりますが、この作品も綿花栽培地(インド)での労働力確保に、まだ適正年齢ではない子供達を雇い、またインシデント隠蔽。 CCCのスローガン『フェアトレード、搾取無し』への皮肉をストレートにぶっ込んできます。 作品は夜勤でてんやわんや中のスタッフをひとりずつ確実

          【映画感想】キラー・ジーンズ

          【映画感想】キュアード

          パンデミック後の世界を描いたホラー。 人間ってのは異質な物(者)に対して恐れを抱くようになっているし、ソレを排斥する方向へ向くのは摂理なんや……愚かだと思うけどさ。回復者達が一般社会に解き放たれて不安に思う人達の気持ちも分からなくはない。            でも"彼等は病気"に感染した人であり"それは治癒した(解消された)"という前提で、彼等の人権もきちんと考えようよ……という話。 メイズウィルスに感染すると感染者同士で感応?みたいなものが出来るらしく、それが仲間意

          【映画感想】キュアード

          【映画感想】プロミシング・ヤング・ウーマン

          パステルカラーで統一された美術背景にレイプリベンジが描かれるガーリー+ポップと胸くそ悪さが同居する作品。 全体的に面白くは観たのですが、難点も。 キャシーの行動原理が、いまいち真に迫ってこない。 劇中ではとことん画面に出てこないニーナ。 彼女の身に何が起こったのかだけははっきりしていて、その他は『頭が良かった』『いろんな男と寝ていた』『泥酔していた』という情報のみ。キャシーとニーナがどのくらい親密で互いに影響しあっていたのかという内面の描写がない。そのためキャシーがニ

          【映画感想】プロミシング・ヤング・ウーマン

          【映画感想】マルケータ・ラザローヴァー

          チェコ映画史上最大の製作費、10年かかって完成した大作。モノクロ。 13世紀のボヘミアを舞台にしたものだけれど、全て架空の物語。 時代の変わり目の中、古い時代と新しい時代の移り変わりの中で、急成するキリスト教、しかし地方の豪族達はキリスト教より異教に属している者たちが多かった。 その狭間で翻弄されたマルケータの物語。 壮大な叙情詩。 対立項が明確になっているので、そこが分かれば物語は追いやすい……ものの最初は戸惑った。 貴族と野蛮な領主。 キリスト教と異教。 ラザル(王側

          【映画感想】マルケータ・ラザローヴァー

          【映画感想】残り火

          旦那がクソ。 弱みを握られた夫が、なんとか妻をやり込めたくてあれこれ画策するも上手くいかず犯罪まで犯してしまい、にっちもさっちもいかず結局は妻に玉を握られたままになるという話。 クリスチャンがクソなので自業自得だろ……と観ていたんですが、ここまでコテンパンにヤられると笑っちゃいます。 レオノーラの「私はキャリアを諦めたのよ!息子のために!あなたは何もしなかった!今更教師ですって?20年間もバイオリンを弾いてないのよ!(雑)」とブチ切れる台詞は、妊娠でキャリアを中断しなく

          【映画感想】残り火

          【映画感想】アントラム 史上最も呪われた映画

          モキュメンタリーホラー。 観たら呪われる映画『アントラム』の伝説と本編映像と検証という構成。 こういう都市伝説的ホラ話は嫌いじゃないです。 なんてったって伝説がふるってる。 ・上映中に火災発生、観客死亡。 ・映画祭の企画者→本作を観た24時間後に死亡。 ・映画を観た翌日キッチンで感電死。 ・映画を観た後、海で猛毒の魚とエンカウント。 ・上映した映画館で暴動。 観たら即です。 7日とか待ってくれない。 速攻で呪われる。 この"死を招く映画"は紛失したと思われていたところ

          【映画感想】アントラム 史上最も呪われた映画