19世紀を理解するところから始めよう
19世紀は近代構築の要であった。第1にナポレオン戦争が終わるまでの1815年までである。
ここで近代理念の自由主義と国民主義が誕生した。やや場所によって時期は違うがこの自由主義と国民主義の影響は必然であり影響を受けていない地域は存在しない。
第2にウィーン体制が崩れていく1848年までである。ウィーン体制は復古反動主義の一面を持っていたが、比較的平穏な時代であった。
この時代にヨーロッパ産業革命が本格化されて新しい社会階級から労働者が生まれる事となった。
1848年には至るとこで革命が勃発していく事となった。労働者という観念も現代人として無縁ではないだろう。
第3に1870年前後までである。第1時代と第2時代を踏まえた上で国民国家が成立していく。ロシアの奴隷解放やアメリカの奴隷解放など個々人の自由がより認識されるようになっていく。
第4に1870年代以降は各国の産業革命を前提として新しい潮流が生まれていく。資本主義が進み帝国主義といわれる段階に入って経済の自由主義が曲がり角を迎えた。
西欧列強の植民地を巡る対立が激化していく。
基本的に自由主義による個人主体の自覚、国民主義による官製的民族意識、資本主義をめぐる労働者意識、帝国主義による支配-服従の関係、現代に通じる差別問題などは、19世紀という時代と社会を通過することで発生していったと見られる。
20世紀は19世紀よりもこの範囲が拡張されるという事だ。
そこの自覚なしに19世紀以前の人々が同じような観念を持っているとは思わない方がいい。概ね19世紀とそれ以前は大幅な断絶があるし、20世紀になってその断絶はさらに加速化される。
封建制度や奴隷制度には問題は多かったが、そこから自由になる事で生きづらくなったともいえる。
近代労働者というものもここ最近生まれたものともいえる。差別の問題も帝国主義が起因になっているともいえる。
〇〇人というものも近代に人工的に作り出されたものである。単一民族幻想もナショナリズムが生み出した幻想である。
■参考文献 『19世紀問題 近代のはじまりを再考する』 関 眞興 PHP研究所
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